逢魔黎明戦斗鏡\漫遊戯曲「百國繚乱十五周1557」
前奏節
碧空の空
此の世に 雲 も 雨 もない
だが
空 と 大地 の合間に 水 はあれり
忘却の泉河 最果ての海が
重惑 に誘われつつ
此処は 精霊達の棲む大陸
時は 妖精の時代が 武階の棟梁
エリクスィード大孤帝が崩御を以つて
王侯相将 宮への司召しを散り解かば
群雄 覇を鎬ぎ会う代に移り
全土は 挙り濫れ随処を割かつ
呪士達は
鉤呪と鉤呪の精言霊を駆り疾き
騎士達も
剣戟と剣戟の鋼鉄肌を猟り合う
その様な鉄嘩抗争が幾許も紅蓮する
今 此の時こそ
百地が国郷 繚り乱るる
百國繚乱が時代 とヒトは言う
一番 序節
此れは ジュウムなる国里の件
統規が歴 千五百五十七渡歳
息満も九つ日過ぐる夜
例がヒト喰い妖怪 六眼傀をば現れて
里が乙女 を攫いつつ
物見櫓に駆け乗らば 娘が衣を毟り剥く
許婚たる若者は 疾く櫓に駆け昇るも
傀が凶爪薙ぎ描きて 胸倉抉り削がれ逝く
傀は 呵ッ と嗤いつも 娘を小脇に抱えては
一歩跳梁 ざざ と藪消ゆ
遺されし若者が 合田の者一同は
弔いの刃を乞うべくに 各々が金子を挙集め
ムオハンヌが都に上りては
冒鋒酒宿へと 駆け込みにけり
女剣客サザンカ「まっ それなら傀狩りの銘を持つ あたいの出番だね…マスター その依頼は直接 指しで貰って来て正解さ」
式呪士ニキリ「僕もその話に乗るよ ガーベラさん所で氣に入った央服を見つけて どうしても欲しかったんだ」
サザンカ「ニィ その傀の移り香の風は、まだ追えるのかい?」
ニキリ「うん 匂いなんて そう簡単に消えるもんじゃないからね『僕の親しき友達 風の乙女達よ 君達が囁く噂の一葉を 僕に伝え届けておくれ』……うん 乗れた」
サザンカ「んで 娘さんは生きてるのかい?」
ニキリ「……うーん それは 聞いて欲しくなかったね…」
サザンカ「…そうか 辛れー事だなぁ…」
神侍官ボルドク「だったら 一丁 そやつの餞別を手向けるや?」
ニキリ「あ、ボル様」
サザンカ「おー おっちゃん 久しぶりぃ」
酒宿の主人アンクタス「これは御法家様 例の依頼の塩梅 どうでしたか?」
ボルドク「うむ たった今 済ませて来た所(と 麻造りが小巾着を主人に渡す)」
アンクタス「確かに例の耳印ですな…承知しました。当局での確認が取れ次第 速やかにお布施の方を御神殿に届け付けます故」
ボルドク「かたじけない では 颯爽と次の功験を修めるべく お主等の依頼に加勢をいたすとしよう」
ニキリ「相変わらず ぱわふりゃん」
サザンカ「へへ おっちゃん の回復魔法で…」
ボルドク「たわけ! 又 魔の法なぞと 言いおって…布石王君が恵み賜えし精言霊『膚土癒合』の福詞だ
まったく 儂は何回 お主に申したと思うのだ?」
サザンカ「そう よく解らない説法はともかくとして その舌噛みそうな いつもの奴 あたい等が危くなったら よろしくね〜」
ニキリ「スミマセン 不作法な姉で…今年の初詣はボル様の所属している鉱霊神殿にしますんで ここは穏やかに…」
ボルドク「……天地雄渾の儀にあやかりて 今はこの胸中に納むると致そう」
一番 冒険節
ボルドク「好色で鼻の効く六眼傀の事だ 暗がりに年頃の娘が一人で歩こうものなら 奴の鼻先に餌をぶら提げているようなものだ」
ニキリ「あっ だったら 作戦は決〜まり」
ザザンカ「(腕組みをしつつ 小さく身震い)ちょっと…嫌な予感がするんだけど・・・」
ニキリ「(聞いていない)じゃ 夜越しのお仕事になりそうだから ジュウムの里長に嘘祭りの支度と 宿の手配を頼んでみようね」
と 駆け足りて
ボルドク「うむ それが良かろう」
と 後続かば
ぽつねん と
ザザンカ「そして それは既に 決定事 なのね…」
と 溜息一つ
一番 挌闘節
ニキリ「ここだ!」
と矢先の向かう 的てに
欅に腰し掛け にやり と嗤う六眼傀
まま 飄 と放つつも
六眼傀 半身を反らし躱ぐらば
とう と跳び降り 徒党を手招く
サザンカ 駆け寄りて合いを詰め
ボルドク 続き後を追う
六眼傀『我が体内の風供よ 硬く締まれ』
と『風硬衣』を楽み より硬氣帯びし風纏う
ニキリ 弓を左手下げつ 右腕を翳し
『僕の親しき友達 水の乙女達よ 氷室を潜って礫を粧し
郁けない 彼奴に 凍てつく氣咆を放っておくれ』
と『氷礫咆』を楽み より濃密なる 氷霊を応ち返し 氷礫を飛ばさば
六眼傀に着弾 胸板を撃打
サザンカ「ハッ!」
と腰刀を抜きつ 六眼傀が右脇を薙げば
六眼傀 身を引き躱す
ボルドク「うぅぅらぁ!」
と六角棍を振り上げ 脳天に唐竹てば
六眼傀 右に摺り避く
六眼傀 サザンカが頭部目掛け 左手で掴まんと突き進み
颯々 と鉤爪 突起せしめ
サザンカ「うわっ!」
と 急ぎて右に跳び退けば
六眼傀はまま ボルドクが水月に 左肩にて体当たりて
ボルドク「ぐふ!」
と急所を外すも 腹部を撃打
サザンカ「て 鉄の爪?まっ…たく よう」
と 体勢を立てつつ 後ろが六眼傀を向き直す
ニキリ 『氷礫咆』の持続に専念
六眼傀に着弾 右腿を撃打
六眼傀 纏う硬氣が 柔和と化す 六眼傀「チィィ!」
ボルドク 「た たわけ・・・」と衝撃を堪えつつ『布石王君が恵みの許に奏で訴う 土伯眷乙草よ 縛を為せぃ!』
と『土草縛』を奏訴 より濃密なる草霊を応ち返し 堅固な縛蔓を施さば
六眼傀が右足首に枷掛け 傀は一度の克服に能わず足を掻く
一番 必刹節
サザンカ「勝機!」
とさざ構え 左が逆手に 右佩く剣を抜きつ 六眼傀が胸板を挙げ斬らば
六眼傀 胸斜右を刃傷
列ね 己が左脇の透く刹那 左佩く剣を右手に抜きつ 六眼傀が胸板を挙げ斬らば
斜十字を描う可く 六眼傀 胸斜左を刃傷
六眼傀「ぎっ!…がっ!!」
サザンカは並び右剣は納めず 即ち中段に移し構えつ
左剣は傀面を唐竹てば 其が鼻唇を打ち割り往く随に
撃筋も 逆股までを刻み抜く
亦 右剣も胸板を薙げば 其が胸筋を裂き傷ぶ
是当しく 罰 に 十字 が似合う傷を画いていたり
ニ番 序節
冒鋒宿舎が道股 路筋に並屋を設き 諸棚挙りて 軒並びたり
駅宿は不論 酒楼が亭屋 も坊寄せ連なれば
自ず 乾物 得物 旅雑貨 等 何処彼処 と 出立の装いば 概ね依れり
集いて 荒ぐる沙汰場が物騒用件も亦 徒党を傭いて請合うたれ
惟さば 都市規模が 酒宿行会支部の営轄に至りて
酒宿が軒並 庫蔵 貨晶房 も設け
然らば 区画に 柵堀 出入門に 辻番所 も備われり
是 他国の 貴族騎士 家々が居住区と遜色は無きて
内には 不侵央山三十二州連邦
商帥マジェオウが台所 萬款商砦「喧客応林」
商区 拠り挙げ 三都が戸軒と並ぶや越しか
揃わぬ雑貨ぞ 寸毫に無きし と 輿に嵩嵩と謳われり
大陸が冒鋒の本舗たるに 備え様も 又 其が漏れに逮ばざりき
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