第99番「十二儚空閣〜終曲 双魂の守護者」


1. ヌゲムルブ VS ギアフェルグ
ヌゲムルブ「何を・・・」
一同「ん?」
ヌゲムルブ「
一体
何を
ぐずぐず
してるのだぁ〜!?」
とギアフェルグを
びっ!
と 指差し
ヌゲムルブ「こいつは
俺に任せてぇ!」
と後の扉に向け
親指を
ぐぃ!
と 差す
ヌゲムルブ「みんな!
俺に構わず
先を急いでくれぇ!!」

しばし
沈黙

一同「わっ・・・」
バルシェラ「(笑いを堪えながら)解かったぜっ!」

ギアフェルグを除く
一同は
ヌゲムルブの脇を抜け
扉を開け
ラヴィジ「さらば
君のことは忘れない」
と最後に手を振ると
扉を閉め
次の間へと急いだ

リリィ「・・・本当にいいの?」
シルバー「ま、ありでしょう」

ヌゲムルブを睨みつける
ギアフェルグ「てめぇ・・・
また人を
馬鹿にしくさって」
ヌゲムルブ「いいじゃねえか
お前はもう
自分の手で
俺を仕留めなければ
治まらねぇんじゃ
ねーのか?」
ヌゲムルブは
笑いながら
言葉を返すと
ギアフェルグも
汗と
鬼面の笑みが
こぼれ始めた

2. カヴェスティーナ シルバー

シルバー「やぁ、麗しき深人。君の心を頂戴に
参上つかまつった次第に」
ふうわり と
揺らぎながら琥珀の機織器を紡ぐカヴェスティーナ
手首から漆紅の血糸が波晶石(ガラス)の床に垂れていく
カヴェスティーナ「あなたは
もはや魔に蝕まれし
我が身が妬け焦がれるほどに
眩しい霊(ヒ)を抱いて現れ・・・」
その血糸を啜るかのように
包まれるは喰らい黯渦(うず)、その奥で朧ろに蠢く二つの碧煌(ひかり)
シルバー「滅翠罪剣・・・いや、この世界の"光の冠"だったな・・・」
カヴェスティーナ「逢瀬に心地よき夢をみるも既に
黒く紅い時月(とき)の鳳(リノーラ)は
全てを砕くまでに
ウツクシク在る異形神の奴のもの
・・・必ず 倒したもう
私の全てを・・・・光に・・・捧げ・・・・たまいて・・・」
と 言い残し 妖貴姫は魂命を閉ざした
「あいつは女泣かせだからね
真剣に考えてみてもいいよ・・・」

3. リジェーラ VS リリィ

リリィ「こんこんっとすみませーん」
ぎぃぃぃ
リジェーラ「よっ」
リリィ「あれっ?導師こんな所でどうしたのですか」
リジェーラ「いや、あんたと相場は死合い程度の、極闘なんか、したくなっちゃってね・・・」
リリィ「私は個人的に貴方と戦う理由がありませんせど・・・・」
リジェーラ「じゃ軽く死ぬだけさ」
リリィ「フーン、じゃ仕方ないですね」
といいつつリリィは跳び蹴り型の"光武鵬衡(クラウザー=デュリアース)"を発動
リリィは天狐ラニキシュミルへの覚醒の際、シレーヌに風舞奥武(ルムブン)を伝授されている。

4. ラギ VS ラヴィジ


ラギ「よう 俺の女(むすめ)
殺す前に  犯られてぇか
犯る前に  殺されてぇか」

ラヴィジ「ふーん
       アンタが
       俺のオヤジか・・・
最悪の
再会だな」

そして
最悪の再会は
最狂の死闘へと
遷り変わる

5.(バルシェラ)
空室

6. (バルシェラ)
空室
バルシェラ「くく、俺ってついてるかも」
と他の連中が中央に戻ってくるまで
様子見という事で
ドアを蹴り破って
その場でゴロ寝


ヌゲムルブ
倒れているギアフェルグ
ヌゲムルブ「(シリアスに首を振りながら)終わったぜ・・・」
ヌゲムルブ「(折れた柱に腰掛け、煙管を取り出し)この年月を思へば、こやつとの戦いがまたあるんじゃねーかと、我輩の鬼柄にもなく、剣磨なんかしてもうたなぁ、(と、倒れるキアフェルグを一瞥)おい?・・・返事が無い、どーやら屍のようだな(つう と口元に血雫を流しながら嗤う)」


7.エイクリューネ シルバー

シルバー「あっ やっほ〜」
エイクリューネの幻影
シルバー「いや 歌姫の帝はもうリュイスちゃんだし
次は自分の幸せでも探してみたらいかがですか」
エイクリューネの幻影
かすかに揺れる
シルバー「はい 行く路々の
青梅 櫻桃 白蜜 苹檎
酸いも甘いも ひと摘み
僕自身の失った それを探すための


(誰に
生まれかわったのか
解らないなら)

旅を続けているのももう一つでありまして


(息とし生ける

全ての(とも)(しび)を辿れ)



時間をもてあましている身

よろしければご同行いたしますよ

(我はその為の

不朽(インモータリティ)

詩人(インストメンタリスト)

()()重ねた()恋人(ラリアン)



エイクリューネの幻影
シルバーの持つ剣に融合

シルバー「・・・はい
この世の最悪を止めた後にでも、ね」


ラヴィジ
ラギとの戦いの最中
クラフェットのいると思われる点帰を用い
楼閣ごと粉砕
つーか
11の楼閣全てを粉砕

残るは3つ
と天上の奴等


場面は遷り替わり
リジェーラ「(口から一筋の血)やるねぇ 内臓がもう、ガタガタさ・・・」
リリィ「ありがとうございます では ご覚悟を」
とリリィの腕が真空の手刀と化す
リジェーラ「はっ 上等さ」
とリジェーラの全身からどす黒い炎
煉獄 が吹き上がる
リリィ「うわっ ここまでするぅ?」
リジェーラ「命が燃えている・・・・アツイね・・・ハハ、これが欲しかったのさ」
リリィ「だったら他人を巻き込まず、一人で踊っててくださいな・・・」
リジェーラ「天使になっても
そのつまらない性格までは
変わってないねぇ〜
まあいい いつまでも クール張ってると
軽く死ぬよ?」
といい終えると
黒い炎渦はまさに頂点を向かえ
リリィを溶き滅ぼさんと流れ傾く
リリィ「これは、空間精霊!」
それは
終わりなき業火の回廊
滅亡をうながす凝念と
在りたいと望む
生の意志が
尽きるまでの長い戦い
至英の精神(かみ)の霊(ひ)にまで
達したもの同師の
長い
長い
決斗の旅路


中央にて

ルゲムルブ「(体を引き摺りながら)口惜しいが
もう体が動かねぇ
お前にくれてやるさ
絶王!!」
と剣を天に放り投げ
散華する


クラフェット
死んだ振り をしている シルバーとバルシェラの襟首を捕まえ
シルバーをデュラリューベルの楼閣に蹴り出し
バルシェラをルクセルダンの楼閣に放り投げ 消えていく

9.十二閣 ルクセルダン VS ゼルミオン

バルシェラ
ルクセルダンと共に
奈落へ向かう渦の中にて

ルクセルダン「私は
生来よりの
触魔が首魁として
この世に在を受け
人を貶めた時の
阿鼻叫喚の声
恍惚の波動を
酔い滑りながら
渡りて来ましたが
人の叫びの中で
光りの救いを求める
祈りとやらは
カミの使いなるものを
この地上に招き入れ
その鉄槌を
打ち据えられた時
暗く 冷たい
奈落の底に
叩き落されました

私は
己の臨界に絶望したとき
大いなる イシン の御手が現われ
その圧倒なる存在に
全てを委ね
屈辱よりもむしろ
安心 を見出すことが
出来ようとは・・・」

「その偉大なる
悪の渦華(ダアクネスダリア)は
私に再び 地上 を 与えられ
その御言霊は
我に告げられた
余を支える
 柱となり

 永遠 に
生きよ と」

バルシェラ「勝手にほざけ・・・」

ルクセルダン「フフ・・・
どちらが
先に
己を
亡くすか
永い
ナガい
魂比べ
といきましょう・・・」

バルシェラ「くだらねぇ
俺は寝ちまおうかな・・・」
と 黄金の獣
ゼルミオンへ変容していく

10. デュラリューベル

シルバー「あいたたた・・・あ、あれ〜・・・だれでしたっけ?」

デュラリューベル「ようこそ
天意の反神ヴェルラーンの人形
エイクリューネの
これまた
道化騎士のお一人」

シルバー「たしかに
僕は淑女の騎士だが
正義の味方じゃない
でも
君の悲劇の道連れなんかで
死んでいい他人なんて
誰もいないことは知っている」

デュラリューベル「過去の私の知己で
あられましたか・・・・
否 今の私は純然なる滅びの神の使者
只 滔々(とうとう)と」
暁に 手甲の天眼が開く

初代ルクセルダンの声色で
デュラリューベル『
この世の崩歌を謳えばよい
心に触の闇を
棲まわせる虜(バケモノ)よ

怒り
怨み
奪い
殺し

そして

滅べ

滅べ

大地に
絶望の渦を
破局の歌を
降ろせ』

すると
鉛色の触渦が空を覆い
人々が発する
苦しみの凝念が渦に注がれ
肥大を増していく

シルバー『そりゃ
痛いときは痛い
それが人の世ってもの
でも みなさん
心の淵から
死にたくはないでしょ』

すると
人々の心は
抵抗へと移りだした

ラヴィジ

バルシェラ

リリィ
にも届く


やがてすこしずつだが
群渦が退いていく


シルバー『そうそう
みんな
なんだかんだ思うけど
いまここで
生きていることは
たしかだからね』

そしてデュラリューベル自身の
蝕罪が清算の時
群雲は引いていくが
自身から生まれた渦念は
もはや唯一つの標的しか
飲み込みこむことを許さない
そう
自分自身を呑み
滅ぼすまで・・・



11.十二閣 シオン
路傍に横たわる
リリィ
ラヴィジ
バルシェラ(砕けた赤い宝石をにぎりしめ)

そして シルバーは
扉を開く

そこには

黒いドレスを
纏うシオン

そして
ゆらり と
振り向いた

シオン「私は
生まれたときより
未亡の蝋尸(アンデット)・・」

唇に
薄紅をひく

その髪は白髪に変わり
さわ
ざわ

墜ちて
散る

シオン「あなたはだあれ?
ママ?
わたしはだあれ?
シオン?

シオンは
男のコ?

女のコ?

ナゼ 
しおんの体は
大キイの?

ズット
ズット コノママ ダネ・・・

生キテルコトガ
マチガイ
なのかな・・・」

シオンは
ユラリ と浮立ち

シオン「せめて触(ヤミ)を止め
人として
死にナサい
と母はススリ泣く・・・」

一人で
輪舞を踊る

「ただ
幾可学模様の
服を来た道化師さんは
嬉しそうに
教えてくれた・・」

シオンの体中に
メスを刻んだ傷が
浮かび上がり
血が
つつ
と流れ落ちる

シオンは微笑う

「タノシイナ」


只一人で
踊る

額に
盛痕(ケロイド)が
浮かび上がり
シオンは皆に
顔を向ける

「僕は
狂ってイるの?
生まれたのは
間違イなの?
みンな
教えて・・・」

シルバーは答える
「何が狂ってるんだ?」
と 剣を引き
「ただ 一人で楽しむのは
ズルいこと
ナンだぜ」
と 提琴を引こうと構えるが


"奴ら" は云う

「何ヲ ホザク
オマエ は
狂ッテ 居ルカラ
オマエ ナノダ・・・」

その
強制の言霊で
傷負人(ヒト) は 又
艶やかな尸蝋(シオン)に戻った
"奴ら" は云う


「モハヤ

無駄

ヒトツ

ゾウチョウ

ココマデ」

 

 

「 シ

ツカワス」



それでも

シオン は

未だに 微笑う

 

シオンは

只 

 

歪み

 

笑う

 

 

タダワラウ

 

 

それが

彼が

最後の

 

断殺の象化(ラストシーン)

 

 

“奴ら”は己の頭蓋を

5指全てで

わし掴みにし

そのまま指を埋め

脳内に侵蝕させていくと

霊脳体の一部“米粒”を摘み

スゥ とそれ取り出す

刹那

その米粒は

瞬時に凍結し

同じく

シオンの姿も

凍り就き

それは

ガラスの標本の如く

透かれるが

 

“奴ら”は米粒を

叩きつけるかの如く

振り降ろすと

虹鈍の炎を揚げ

散っていった

 

波璃ボテの標塊(シオン)も又

 

一瞬の光の(ざわ)メキがあると

 

ピッ

 

と頭部から

 

ヒビ割れ

 

灰塵の如く

 

崩れ墜ち

 

地に付く前に

 

霧と化しながら

 

シオン と云う存在は

 

その存在は

 

無 に還りはじめた

 

 

キエ

ながらでしか

 

トベ

ないのなら

 

キラメク

ことが

 

ナイ のなら

 

スベテ

 

亡く

ナレ・・・

 

 

 

シルバー VS “奴ら”

 

そこは、個我さえも掴めぬ懣沌の楼閣

 天上の際果ても

 朱色に染まる灼熱の大地も

 暗黒の那辺さえ、ここには無い

 

 自分、さえ失いそうな

 

 自分以上に大切な言(コト)、さえ失いそうな

 

 己の中の影

 

 自己ではない自分

 

 それが 奴 の精神世界 

 

 El−Mentals

 

奴 は微笑う

 

『善モ悪モ道化モ 全テ 虚構

 

嘘ニ笑ウ自分モ 虚構

 

それデモ宛(ノゾミ)ガ有ルのなら

 

僕ヲ前(コロ)シテ モガイて ミセて‥‥』

 

シルバー「・・・何故だ?」

 

“奴ら”「コノ世界(ヨ)ノ

前途(スベテ)ヲ

摂リ込ンデクレル・・・」

 

シルバー「只 一つの命を守る為に・・

かよ・・・

・・・お前も・・・」

 

互いの沈黙の後

 

ミランは構える

 

コバルト「俺も・・」

「飛燕、横一線」

 

“奴ら” は放つ

ラギ「無駄な・・・」

 

「真っ向・・・両斬」

 

 

リュイス「それは愛しさと云う感情」

 

ノービス「ディアーコバルト。

破滅に導く

石積みの遊戯もこれまで・・・」

 

後は

只 

 

 

二つ の

 

リマジオ「だが 己を必要とする

人がいる限り

強い輝きを持つ力」

 

 

軌跡

 

シルバー「結局・・・

その正体は

自分自身にして

その投影」

 

一つ の

 


奴 「

ソレガ観エドモ

良シトセヌ 

神(モノ)ヨリ

出デシ果実

 

不和ノ霊(ヒ)

触ノ魂(タマ)

スナワチ

我(奴)ノ器 ガ

産マレ

 

ソレガ観エドモ

善シトデキヌ

人(モノ)ニ対シ

我 在リ続ケル為ノ

意志デ 我 成ス

 

我ガ力

破極ノ剣ニ化エ

我ヲ

ヨシトセヌ

モノタチニ

滅亡ヲ

振舞ウ」

 



エイクリューネ「

愛は

憎しみに双じた連魂

私の詠う詩唄の中にあるは、

息とし生ける者達への

無上の救いを

願う祈り・・・」

 

 

S・ラチェイシャ「我が分け身のかけらにして

それを良しとせず

生き抜くものたちよ

そのような志あらずんば

大いにそれを示せ

表すことこそ

ヨ と共に興る力なり」

 

 

 

すべてが滅びきり

 

また、太天に飛び立つため

 

“奴”は

何時でも蘇る

 

命を受け継ぐもの

生きるもの

たましい

尽きるまで

 

それは

“凰”に未だ巡り会えぬ

“鳳”

戦いの神話の一つ

 

『ティアーズ』

 

そして

 

その終焉

それは

双魂の守護者が

ここに果てる 

と 云う事

それは

一つの物語が

ここに還る 

と 云う事

虚無と虚無の間の

 

無と無に囲まれた

 

在が存ずる

 

無限の神話が

 

織り往く

 

一つの調べ

 

二つの斗息

 

永らかな

 

白く

遠き

久宙(クーン)の中で

 

巡り

 

巡りて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

『ELEMENTAL TEARS 〜 双魂の守護者』

納曲

 


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