第二十四番「イスカーナ六夜祭」

神帝ルーンZ世の統治の下 繁栄を誇るその皇都では
地の精霊の影響が大きく映える季節
命囁の秋月(11月)を前にすると 一層 人々の往来が激しくなる

それは、山頂に氷が見える中節になると例年行われる 
スカーナ新命六夜祭のおかげで
その楽しみはメインの歌姫の祭典と 六夜祭のコケラ落しに始まる

神帝ルーンが上覧する精霊召訣及び総合格闘競技
六召精霊觝技大納会が 近年になって
皇認の"賭事"として設立したとあって 一層盛り上がる


いつもは己の権威固持に燃える イスカーナの四卿が沈黙
今年はルーンの剣の出場もない

「所属 リークレッティ王国、用心棒ボディーガード組合
シェイ=ラァ支部所属 雇備員ガイ」

黒い甲冑の男の 上段から球突きの様な構えからの棒術
その剣筋は見えない
額 こめかみ 延髄の"風弾"を放つ
(頭突きには 棒を一回転 
風紋を 鼻頭に打撃)

で 次々と上位にのし上がり優勝


イスカーナ大皇国 大皇四卿 建式卿 兼 皇衙巡撫長職  
コルイスカナ三州国 国丞
ロムス=ニーヴェルセン皇侯爵(フローネの外祖父)「くっ、さすがは黒一番剣……」

授与式の後 ガイに近づいてくる貴族がいる
イスカーナ領ランテ州
ファスピア県 皇荘・徴税督撫
タイ=ファスピア皇子爵「……あの件は 主が願い出れば陛下も…」
ガイ「それは 民の血税を無駄にし 家の不徳を償うまで
その皇国騎士号を皇国家にお返ししたのは 私の一存にて……」

ルーンの剣"黒の一番"が故の 深き因習

タイ「……我が家のために いつも兄弟には労苦を背負わせる
すまぬ…すまぬ……」
ガイ「天の曇りは いつか晴れます、いつか…」
と いって退場



第二十四番 栞吟



第二十五番「歌姫達の大祭典」

廃神暦3152年
氷の氣立ち始める節
皇都イスカーナにて

リリィが着いたのは 日も暮れる頃だが
祭りの活氣に 一層の拍車をかける

宿屋 水辺の菖蒲 亭
部屋は満室で共同部屋に

リリィはタキアと同席

タキア は今回より始まった歌媛祭の 
皇都代表歌手たる 一般応募歌手の予選を受けたが最終審査で落選
せっかくだから並び組でもいいから
当日券を買って 歌媛祭をみようという事情

リリィ「じゃあ、みんなで、祭り見物にでも……」

さて ここは 南イスカーナ泉広場
堤琴(ヴィオリーノ)を奏でる青年シルバー

二人 ほぉ〜 と聞いている
タキア「この人も、凄い……」


一つの馬車が止まり
老紳士「私は ロアカジナ王国がニミース州
エアーム市知行主 エンデンベルク子爵家に
お仕えする執事コフロスと申します」
老紳士「ここ二、三日のあなたの噂をお伺いし
エフトトミット子爵夫人 オリアーナ様が
是非、お食事にでもお招きしたいと」

シルバー「んー じゃあ あの子たちも一緒なら、ね?」
タキア「え?」
リリィ「へっ?」
リュイス「!?」

イスカーナ皇都
ロアカジナ貴族別邸街の
エンデンベルク子爵別邸宅


三人、食事マナーの方で手いっぱい
シルバー、ゆうゆうとこなす
子爵夫人「あなたは、祭りには歌い手として、参加なさらないの?」
シルバー「ん?僕はいつも氣分しだいで、歌いたい時にしか歌わないから」
少し、繭をくもらせる
子爵夫人「自由人故の楽才と 言いたいのかしら?」

シルバー「あっ・・いや、実はただのシャイでして
真面目な舞台に立つと
どうも、ムズ痒くなる性質で」

シルバーは言葉を続ける
シルバー「今もそう言う ころ合いで
その……後に続ける言葉は、心苦しく……」
不思議がる四人、後ろに控えてた老紳士が子爵夫人に耳打ち

エフトトミット子爵夫人は「まぁ」
と 驚きの表情を浮かべるも
シルバーを見て止め 今度は好奇の視線を送りつつ
子爵夫人「なるほど……納得しました。
でも、残念ね、楽通のコフロスが、目をみはるくらいの腕前ときいて楽しみにしていたけど」
シルバー「如何とも、申し分け難く、少し失礼」
と 退席

そして

こつこつ

とドアをたたく音

メイド「失礼します。
デュラリューベル様は御宿に戻られるのでおいとまするとの事」

伯爵夫人「あら、大変。
皆様、この賑やかなる晩餐に 私としてとても残念な事ですが席を外させて戴きます
が 宴の方は皆さんの時間の許すまで お楽しみ遊ばしくだされ では」
と 退散

窓の外に
二、三人
一人は妖狐(エルフ)の女性
タキア「あ、あの人は……」

帰りになんと 人数分の歌媛祭のチケット
しかもかなりのイイ席

酒場の噂
エフトトミット子爵夫人の夫 エンデンベルク子爵は
ロアカジナの代表の推薦者なのだが
その歌い手が今になって喉を痛めたらしく辞退
面子を守るため 補欠代行の者を起用するか 王国別枠推薦として
民間人を代行したいと言うこと
その第一次予選から 周囲の注目をひく美声の妖狐がいて
その姿も美形で すぐその妖狐に目をつけたと云うことらしい

会場前広場
ラヴィジ ダフ屋をしてる
バルシェラ その取り締まりのバイト
すったもんだの最中
バルシェラ「よう、おつかれさーん」
ガイ 人ごみから現る
ラヴィジ「あっもしかして、あんた月桂冠者(チャンピオン)?」
バルシェラ「なんだ、こいつの知り合いか?」
ラヴィジ「いや、でも、あんた召武会の優勝者のガイだよな?」
ガイ 小首を前に傾ける
バルシェラ「はっ?でも、ここで券のモ切りとして、雇われ……そういえば」
みんなガイのゲートのみに集まっている
ラヴィジ「じゃ、一体……」
バルシェラ&ラヴィジ「何やってるの、あんた?」

そう 彼は全ての祝勝会を抜けだし、
戦災金の払い戻しの金を集めている


バルシェラ「そうか…あんたも大変なんだなぁ…」
と 木陰でガイと休憩していると
(いつのまにラヴィジいない)
クラフェット登場

クラフェット「ゼル よ
我に服さば 生くる凛を砥ぎ 迸ほとばせよう
我に背かば 死せる順を疾き 巡らせよう」

上の意味…ギルドでコキ使い、イイ汗をかく
下の意味…逝け!


バル坊「はい、どちらもいやであります」
と言って ガイの後ろに隠れる

クラフェットの鬼眼飛ばし
ガイは仮面の下で動作にもなく

しばしの沈黙
そして

リリィ「あっ!覗き魔のバル公」

という声に
ガイ クラフェット
すれ違い
クラフェット、
リリィのいる方向へ

リリィ思わず道を譲る

バルシェラ「よおー、」
リリィ「んで、誰あれ」
バルシェラ「うんっ、ちょっと氣が触れた可哀そうなおぢさん」
シルバー「そう、みたいね」
リリィ「あれっ、いつのまに……」

バルシェラ「あのとっつあんの得意技は、相手の頭を掴みながら
自分の体に火をつけての 降鴻顎噴火頭突レッド・ジェット・ヘッド・バッド・デュリアース
……洒落にならねぇ……」


会場は
古来神帝国よりの伝統行事たる歌媛祭の会場だけあって
約三万人を収容できる一大規模の建築物
その全ての席が ほぼ 余すとこなく満員御礼

(四人は連番席を貰ってる)

そして上階層の貴賓席には
イスカーナの神帝 ルーンZ世と
天雨あまの蓬密臨降院
第四十六代 降吟秘命公
エイクリューネ=ヴェル=ルーナ=イースティクス=アウラウーンの宇受(うず)君
通称 唱秘命巫公(うたひめのみこ)エイクリューネの
御前が座ると思われる空席がある
たいてい 国もしくは州ごとに出てくる公選歌手二十数名が歌い始め
最後に皇都代表である一般応募歌手一人が
演奏もしくは歌を披露していく流れ
代表の奏歌が終わるたびに拍手喝采
そして最後は
昨晩エフトトミット子爵別邸宅でみかけたあの狐人
男女さだかならぬ 細線の美形
見事なカウンターテナー
旋律に会場が魅了される中
シルバーは少し繭を潜めて観ている
そして 無言で立ち上がるタキア
タキア「…あのー…えっと、すみません…でも…」
シルバーそのまま舞台を 真面目に見つめながら
「ん、お化粧直しね
僕は個人的に素顔の方が お氣に入りかな?」
タキア 驚いてシルバーを見るが
すぐに席を立ち上がり
出入り口に足早に駆けて行った
狐人の謳歌終わりて
しばしの休憩

選手一同と
歌姫の帝 登場
大喝采
リリィ驚く
そしてリュイスをみる
顔立ちが似てる
リュイスも
じっと帝を見ている
会場一時 消灯
ファンファーレ
そして帝の口から
「優秀代表 デュラリューベル」
と発せられると
狐人に光が集中
その瞳の蝗めきを見た時
シルバー壇上に向かい 意志の言霊を飛ばす
(急いで!)

暗闇の向こうから
発せられた その臨氣に氣付き
はっ
と暗闇の向こうの
シルバーをを見つめる
シルバーは続ける
(耳を塞ぎ 急いで、この会場から出て……)
帝はシルバーに その意味を問おうとしたが
いつにもなく 己を見つめる氣迫が
険しく真剣な為 言葉を飲み込む
シルバー(早く!)
帝が動くよりも素早く
その狐人の旋律の
声色が
発動した
死へと続く
阿鼻の
凶奏を

そして舞台近くの観客の内の
数十人の雰囲氣が淀んだ時には
その地点に向かうべく
三つの残影が 会場の宙を翔けた

ガイ 舞台下の"刺客"の頭上を跳ねるようにして
杯(ワイングラス)に注がれた 霊光刀の剣舞を連続で繰り出せば
紅く光る刃に体が触れると皆、地に倒れ
グラスの霊光は赤ワインに変化
ガイが
くいっ と飲むと
ぎゅうっ と刺客達は萎(シボ)み
半死の状態

シルバー
敵を裁きながら
シルバー「(ガイをみて)あれっ?やっほ〜」

バルシェラ
投げ短剣を交わしつつ
バルシェラ「なに?あんたら知り合い?」

シルバー
片手で魔法障壁を作りつつ
シルバー「うん、ナンパ仲間」

バルシェラ
空中回し蹴り
バルシェラ「は?この無口な男が……どうやって」

シルバー
空間を剣で切り裂き
裂け目が出現 
中に飛び込む
(平行世界への退避)
シルバー「(裂け目から)あれ 何か具合でも悪いの?」

ガイ跳躍
シルバーの居る
裂け目と交差

シルバー「(裂け目から)何、何?今まで旗(フラグ)が立つ奴がいなくて、萌えないから、だと?」
シルバー、首を出し周囲を見渡し 倒れている舞台上の帝を観て
シルバー「…目がねが曇ったか…いや、好みは人それぞれだな、うん」
と首を引っ込ませると 裂け目は消える

ガイ
刺客の群れに着地

バルシェラ
バリシスクの爪バシルローグを召還
バルシェラ「しかし、これって吸精術だろ?」

ガイの剣圧で吹っ飛ぶ刺客
ガイ「手加減はしている」
余談:ナスタリアは 弱〜中の吸精+麻痺毒
一、二週間で回復
ガイ の奥義は 強制で全身が干からびる必殺の技

バルシェラ 爪でなぎ払い
腰に巻きつけている 蛇腹の鎖と先端に
山羊妖魔の尻尾の様な銛の槍が数本
刺客の胸を掠めていく
バルシェラ「そういう問題かよ……」

ガイ
舞台上まで一足飛び
ガイ「イイ男とは陰靡(よる)の魅魔(いろ)を纏うもの……」
と着地間際 剣舞の一型を振舞い
刺客二、三人が舞台下に転落

裂け目が舞台に出現
シルバー 帝の前に登場
周囲 驚く
裂け目 消失
シルバー「ガイ……ふーん、
ガイ、ねぇ……
じゃ ガイ よ あいつは任せた!」
と倒れる帝を抱き
片手で剣を構える

バルシェラ
黒爪の間で剣を絡め捕り
バルシェラ「あっ ちくしょう、先を・・」
舞台に上がろうとする
バルシェラの前には可也の使い手
バルシェラ「どけよ、遊んでる暇はねぇんだ・・」
それは毒霧を吹いた

VSデュラリューベル

シルバーの眠りの歌
シルバー「うわ、ショック!呪歌の相殺が効かないじゃん」

ガイ 肆蛟霊陸台狂獄(マディル=ステイバ=カンバロンド)

デュラリューベル 無傷
その爆煙に乗じて
ガイは間合いを詰め
兜割りを仕掛け
デュラリューベル それを神速でよけ
会場が衝撃で歪む
デュラリューベル 口元から血が一筋
(触魂による代償で回避)

毒霧使い「不測の事態だ、引き上げるぞ」
と黒い渦を召還
デュラリューベルもうなずき それに入っていく
あとの刺客は お札をはった木人形が変身した姿
青紫の煙を噴きだしながら その正体を曝していく

渦に向かいコバルト
コバルト「おまえのそれは滅び……歌ではない、
滅びには美学などない。だが"力"だ。
俺が全てを捨ててでも、
その為に世が滅びようとも、
欲しい"力"だ……」

と剣を納め
最上階の来賓席にいる神帝に
包拳すると

しゅ

と姿を消す

シルバー「あちゃ、追うつもりなのねん」
バルシェラ「じゃ、俺も」
と外に跳び退場
シルバー「あれ?あれれ??」


氣が付いた 歌姫の帝 

シルバーを 帝 主催の宴の会に招待

帝「今晩は皆さんで ご一緒にお食事でも……」
シルバー「ええ、もちろんいいですとも」
帝「よかった……では…
…あっ 先ほどの騎士殿も
ご一緒にと、お伝えください」
シルバー「うーん、たぶんアイツは、
さっきの件で 残業している最中でしょうから」
帝「そうですか……では、騎士どのにも
お手すきならばと お伝えください」
シルバー「ま、大勢が賑やかで いいんでしたら……」
帝「はい、どなたでも お誘いくださって結構ですよ」
女侍中「今日の様な凶賊は、例外でしょうが……」
帝「あっ、そうですね……」

周りに談笑が 生まれる



屋敷の寝室
シルバーおめかしの後
ガイ=ファスピアの部屋 通過

一人鍋をつつく
ガイ

シルバー「おや〜、結局どうなったの?」
ガイ「周到に 平行次元断層の
螺旋結界を張り巡らしていた
無理に追って お迎えがあっても
あの時点での氣力の 消耗具合じゃ対応に困るからな……」
シルバー「ふーん、見たところ食事中だな」
ガイ「ああ」
シルバー「・・そっか、じゃ、誘っちゃ悪いかな
では僕は大事な用があるので、さいなら〜」
と 階段を駆け下りていく

跡は
暫し の静けさ

ガイ
鍋の中の白菜をつつく
ガイ「今日は 冷えるな……」


別邸の迎賓館

帝 シルバーの剣をみて
シルバー その視線の先に氣付き
「ああ、これは滄桑悶絶の剣と云いまして
その名の通りの大層な実力を持ち
その持ち主も 又 伝説神話の美男剣士ということで」
帝 今一度シルバー
をみて

にこり

と微笑む
「まぁ ホントはそれ以上に
吟謡を愛でる只の旅人です」

主間とは 別室の美術展覧室
その壁の一面を占拠する
ある白礼装の美男子の絵
シルバー「こ、これは……」

帝 登場
「この絵は……少々事情がありまして、
ここで預かることになりました
かの靭武御剣 リマジオ公の肖像画です」

その絵画に描かれた 珠髪は 
綺羅めく 黄金の流星にして
照陽を被る  頭縁には
萌え栄え発つ 暁晃を宿し
その 透き通るかの如き
白哲の肌と 積雪の寒椿に
薄咲きの紅を敷いた 輝かしき艶華は
見るものを射刺す 碧眼麗子な似姿
それこそ
美意識 なる感覚を 心 有るものに
深く 
底深く 
焼き付けて
離さない…


リリィ「こりゃ、イイ男だわいな」
と言うと同時に
「罪穢御剣の肖像
見るもの精氣を糧する呪いありき」
という噂も なるほど 納得できた

リュイスはただ
  ほ〜 
と 見つめる


帝「彼は古今無双の剣聖にして
 万人平等 の信念と
世間の大乱を諌めるが故の
 自決御供 という
あまりにも 氣高すぎた志魂の為
時勢の嵐に飲まれていきました」

帝「しかし 彼の生き様は 人心に
生きること とは 
己の意志で決めること
という自主自立と
己を信じ慕う達の為に
人の命は存在すること
という尽義献身の在り方を刻んだといえましょう」

リリィ「私 知らなかった」

ラヴィーザ「当時、それを知ることに弾圧と
隠蔽があったからさ」
と ラヴィジは高値が付きそうな
他の光りモノを物色しながら答えた

シルバー「それに こんな美談
今の生活を省みない人達
大抵は 裕福階級にとってだけど 記憶にもないことだかね」

リリィ「へぇ……私はこの大地に
大きな災いを降ろそうとした
天変戦犯って聞いてただけだから 今度 よく調べてみます」

帝「では 私の知る限りの リマジオの伝説を
よろしければ聞きますか?」

リリィ「はい、是非!」
リュイス「(こくこく)」

三人はこの逸品をきっかけに
団欒が途切れなかったが

すでに シルバーの興味は
他の展示品
(半裸の美女像)にあり

ラヴィジは他の所へと出ていった

(結局、御終いになったんじゃあ、ただの期待外れ、さ)



宴も終わると 皆も宿へと帰えり
従事が片付けをし始める頃
窓の外を見つめる帝が
ふと
テーブル上の果実皿に手をやり
皿上の林檎をとると バルコニーの縁まで出てみる

騒ぐ風 一つ

そして外庭に 林檎の実を一つ落としてみる

下にはバルシェラ
番犬の頭をなでながら頭をかき
バルシェラ「へへっ、やっぱりバレてたかのかよ」
帝「(嬉しそうに)お久しぶりですね 赤一番の皇騎士殿」
バルシェラ「くっ その呼び名は
未だに むず痒いからやめようぜ」
と 林檎にかじりつく
帝「では、ルージュ様 また貴方に
この命を繋げて頂く事になろうとは、思いませんでした」

バルシェラ 口に林檎を含みながら
「べっ…つに…有りがた…がらなくても
…いい…けど…うぐっ、と」
俺にはこれで十分さ
とかじりかけの林檎をほうりあげると
踵をかえし
そのまま 
すっ と
暗闇に消えていった
帝「あっ……」
あとは林檎が
ぽんっ
と地に落ちる

帝 しばらくその影を 見つめていいたが
やがて
夜空をみながら
「安寧の星霊イスムアルフィナ
願わくば 生ける人すべてと
かの流冠の者にも
御汝の大いなる恩恵がかけらを」
と 祈念した


シルバー へべれけ
その帰り

シルバーの目の前に
月夜に照らされた
一つの長い影

シルバー「およ……おー……」
シルバー「いや、どうやら別人、みたいね……
あんた、誰?」
影の向こう「招かざる異界のものめ……
その剣 お前には出来すぎた代物よ」
影の向こう「もはや我は屍…
あるは、剣が鬼魂と只 信念のみ」
シルバー「だから、誰って聞いてるの〜」

だがその影は
神位最速の働きをもって
シルバーの姿を引き寄せ

大地に

どさっ

と倒れる音
そして

三つの閃光が
星空に散った

リマジオ(の中の"奴")「捨テタハズノ泪(こころ) 
否定スルハズノ心(アイ)……」



第二十五番 栞吟




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送