第18番「スイ牛鬼」
廃神暦3152年
氷の氣立ち始める節
皇都イスカーナへの旅路にて

中央盆地 リークレッティ王国の南東部に
クアイの実を干した「干しクアイ」と
実を醸造し蒸留酒にした「クアイ酒」を売り物にした
ムタンという地方がある
しかし近年 クアイの不作と若者の都市への流出とかで
賑やかな噂を聞かなくなっていた
スカラベ「……そんなんは嘘や」
スカラベ「ムタンから流れてきた若者っちゅーのが、どうも、あまり街じゃ見かけないさかい」
スカラベ「せやけど 家出したと言われる連中の所在も、さっぱりわからへんし……」
(たいてい誘拐等の事件は"クロウ"に情報は流れてくる、マホロバは金持ち相手の誘拐のみ)
ラヴィーザ「ふーん、じゃ、例のアイムタン児童(ムタン地方の種族)の神隠しと何か関係がありそうなんだな」
近年 シェイ=ラァの街を中心とする、リークレッティ王国の誘拐事件の内、ムタン系士族・豪商達が子男女の割合が多いことが判明した。皮肉にもそれが、各国からの留学児が多いこのシェイ=ラァ初等魔道学院の出席簿から発覚したことで、学院内でも噂になっていた問題であった。

スカラベ「そやな、皇都へ行くんだったら、お主なりの 感 使うて
クアイ辺り、探りを入れても面白いんじゃおまへん?」
ラヴィーザ「ああ、この件はいろんな所から報酬が出ているみたいだしな、興味はあったんだよな」



ラヴィーザ「てな訳で、あんたらは先に行っておいてくれ。
俺は、ここからウイミン村にいくから」
リリィ「何言ってるの?そういうことなら時間まで、つきあうあよ」
ラヴィーザ「なんだ、分け前がほしいのか?」
リリィ「はぁ〜これまた、何を言ってるの?社会の一員として
人助けになりえる奉仕は、自分の出切る時間と範囲で
よろこんで行うべきものよ」
ラヴィーザ「価値観の違いだな……まぁいい
あんた、バトル鉄火場の際には弾幕にはなりそうだしな」
リリィ「リュイスはどうしたい?……・わかった、ついてきていいのね。」
ラヴィーザ「どうやら、決まりだな、エイク?」
エイク「ああ、そうみたいだ」

ウイミン村にいく途中
クアイの蔓がかかる 果樹園畑にさしかかる
リリィ「うん、このままなら来年は大丈夫そうじゃない」
ウイミン村の入り口に到着
ウイミン村には大きな湖があって
その真ん中に八方を鎖で止めた
水神を祀る浮き社がある
貴族の屋敷並みの大きさ
リリィ「意外と立派なお堂ね」
リリィは素直にこの村の人たちの信心深さを感じた

村長 マスレイン51才
村長の息子 カリオ(12歳)「(熱で床に臥せってる)アナシアはいきている……ぜったい生きているんだぁ」
マスレインにはかつて カリオの上に2人の兄スーキオ(生きてれば16歳)と姉アムナ(生きてれば19歳)がいて
スーキオもアムナも12歳の時
夜中にこっそり抜け出して
湖で溺れ死んだらしい(誰もみていない)
そしてスーキオの水難事故の時
母親  ヤムナは病気で亡くなっている

半月前いなくなった
アナシア(12才)は幼馴染みで
カリオとちょこっと恋仲同士
3日前から行方不明


次の日の夜
 一同を労う宴
しかし
一同 村長たちの陰謀で
落とし穴の石牢に閉じ込められる
ラヴィーザ「……・ふぅ、魔法の穴を空けようにも
今の気力じゃちょっと壁が厚すぎるよな……明日
朝イチでやってやるか?」
そして
逢う魔が刻の頃
上から
「うっ」
と云う声
やがて
瘤をつくったロープが降りてくる
????「OKだわさ」
エイク「おっ?その声は」
ラヴィーザ「スーさん」
スカラベ「へへ、このカリは高くつくぜ」


スカラベ「……たまにゃ、実践 こなしとかないと
腕がナまっちまうからよぅ、様子見のついでに、これだ」
エイク「じゃ 協力してくれるってことかい?」
スカラベ「今度の仕事は
今のところ100金貨と7銀貨
分け前ははずんでくれよ」
リリィ「ふぅ……なんて人たちなの」


エイク
村長の祭壇に祀られているお神酒に注目
そして祭壇を下ろす
エイク「スーさん」
スカラベ「さすが 綺麗好きのエイク
また埃の付きかたに目がいったってか」
とその神酒の臭いをかぐ
中は
水牛鬼が分泌する催眠液


ラヴィーザ「さぁ 村長?
こちとら、氣がたってんだ。
おとなしく ハかないと、何をするか解からないぜ?」


社のお堂の中
沢山の酒樽


リリィ「『人器に宿る焔蜥蜴よ 我が呼びかけに応じよ』
……あの・・樽の中!!」
中にカリオ
「……もう一人……あそこ」
一番奥の空樽にアナシア
(酒に人を浸して精気を抽出する)
エイク「ふぅ まだ、料理されては無いみたいだな」

中央に大きな穴
水牛鬼出現
口に牙をはやし
六つの腕をもつ人
水牛鬼「並みの畜生の中でも
特に人の精氣は実にイケる
特に活きのいい
死にたての子供搾りが最高だ」

ラヴィーザ 水 エレニオン

触化
水の妖魔 水牛鬼
水蜘蛛アメンボウと強酸の糸を放出
勢いにリリィの炎が押されぎみ
リリィ「何……炎の力が水に押されてる?」
ラヴィーザ「くく、いいねぇ
これだけ水の妖力の強い場所だ
せんぱぁーい」
リリィ「何?」
ラヴィーザ「ちょっと、援護をちょうだーい」
リリィ「何か考えがあるのね」
と炎の槍をくりだし前にでる
強酸の糸を放出
その勢いで
リリィ横転
リリィ「くっ」
そのあいだラヴィーザは
ラヴィーザ「やい!水の化け物。だったらこいつはヒヤ汗もんだろ?」
と懐から首飾りをとりだす。
酔牛鬼 アモンゼウム「それは、龍水晶ウォルドラグティアーズのかけら……ぐっ、よもや、貴様……"強いしものたち"か!」
と全身から粘りのある汗を大量に分泌
エイク「おっ……それは……」
とエイクは突然 ある指剣を持って
印をくりだし 呪文を唱える
エイク『霊妙律令 司星あまねく 護式の英傑 
懲妖帥虎 咆哮招来…撥!!』
そのペンダントが発光
ラヴィーザ「いっけぇ〜派手に暴れてやりなぁ」
ウォータードラゴンの息吹ブレス
酔牛鬼 全身 青い炎の火達磨
エイク「(冷や汗)はは、かけらのくせにこの威力かよ」
そして酔牛鬼の眉間にお札付きの矢がヒット
スカラベ「いいね、いいね。オイシイねぇ〜!」
妖魔 消滅

昔は半年に一回だったが
回数を重ねる内 他所の地方の子供まで誘拐することに
やがて切羽詰ると
その身に危険がせまりつつある
村長の我が息子可愛さに
冒険者を密かにやとい失敗
その腹いせとして
最近では半月に一回
夜中 お堂に現れて生贄を要求
最近の生贄がアナシアであった

スカラベ「まずは……ほぃ!」
とアナシアの背中を叩き 意識を取り戻す
アナシア「(錯乱状態)怖い……コワイ
誰か タ・ス・ケ・テ…」
ラヴィーザ「こわい?誰かたすけてだと?
自分が強くなりな……そうだな
いっそのこと
あんた自身がこれを持って
村を護る神になりな」
と龍水晶をアナシアの首にかける
ラヴィーザ「幸いここには霊神主の小倅れ
(エイク)が英神の明祝を立ててくれるし、
こいつの発動の祈詞も置いといてやるから
並大抵の 邪霊 はこの村に近づきもできないさ」
かくして
アナシアが次の水神となって祀られることに


エイク「……ところで」
ラヴィーザ「ああ、あれ?
誰かからパクった 誰かは忘れた」
リリィ「おいおい……」
エイク「で、あれでいいのか?」
ラヴィーザ「ああ、あのお宝のかわりに
以後、俺と連れがあの村へ寄る度に
御神酒をあびるほど喰らってやるからよ……」
スカラベ「(舌なめずりしながら)
いいね、いいね。オイシイねぇ〜」

と、一向は
イスカーナへ向かっていった


第18番 栞吟





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