第14番「鈍色の罠」
退神暦 3152年 
大地寒に入る節 
クバンセリンにて

自治都市国 サクソニア共和国 
大陸一の鉱山町 首都サクソニア
この大陸は統一貨幣 クリュー銀貨 であり
 銀塊 の発掘の発祥と云われ
現在でも貨幣銀行組合の本部のある
このクバンセリンという古き都市は
時の神帝ルーンT世により
大陸全土に公平な
貨幣流通を促す目的の為
イスカーナ大皇国の領土にあっても
当時の辺境伯爵アルバスに対して
一定量の献上銀貨を約束に
市井王という 特別な称号と統治権を与え
その都市の市井王の定むる
豪商達による議会で定めた
政治や軍事を治め皇国と
 共和 をもうけた 特殊自治国である

そして金属加工ので有名な
工夫組合サクソニア支部は
小丈夫(ドワーフ)と呼ばれている
妖亥族ベトラスの長 ベルボックが取り仕切っている
鉄器工具協会 サクソニア工具商会長 オムド(ベルボックの三男)
金物細工協会 サクソニア金物細工商会長 ウムベ(ベトラス族)
の五男)
なお、サクソニアは 気炎万丈酒 とよばれる程 きつい酒でも有名

サクソニア共和国 鉱山と貨幣の町 クバンセリン市
酒と娼家と賭博場
ベトラス山脈は北峰ベトラスと
南峰ウグ=ベトラスがある
工夫組合クバンセリン(ウグ=ベトラス)支部 アルザクソン(カサスと癒着)


タンザ傭兵団 バーデライトの連絡拠点の一つ
クバンセリン支屯所長 雷覇 五番隊 隊長 エグライズ=テスムトゥス
タンザ傭兵団の幕営馬車が、同団営業の剣術訓練所前の広場にきて、臨時傭兵拾隊長試験の受付をしている。試験には剣術、馬術、号令術試験等があり、これに互角して証章をもらうと、傭兵募集の際、優先的に仕事が入るほか、大規模戦争の際には馬を支給され、タンザ傭兵団が派遣する現地の部隊長指揮官と、戦場の一般傭兵員と情報伝達の仲立ちをしながら戦って貰い、無論、一般傭兵員と比べ報酬が断然いい。

剣術は木刀で3回戦って1勝1分け以上(2勝した時点で次ぎのテストへ)
馬術は2回競技し1勝以上
号令は試験管が答える3口ラッパ拳銃(拳銃は音だけで殺傷能力があるまでは、開発できていない)が鳴らす三連発の音と発する煙の色を見て(本当の戦場では3つ並べた空砲連続3発の音。どの色を打つかは直前まで極秘)何の合図かを挙手で7通りのパターン全てを完璧に答えると合格(この問題の数が募集人数である)
白煙 黒煙 黄 橙
これで 逃げる部隊 と 逃げる方向が解かる

ラヴィジ「そんなの、解かるかっ、つーの」


鉱山は触の塊の世界で
金属は触化を促す と言われ
動植物の触は 油 瓦斯 と化す と言われている


北通り(サクソニアのドワーフ用)
魚屋 肉屋 八百屋 米屋 酒場


南通り
工夫組合クバンセリン(ウグ=ベトラス)支部
錬金術師協会 指揮下  クバンセリン工場 工場長
錬金博師 プロップス(カサスと癒着)43歳 助博師 シオン
実はプロップスはかつて聖霊七護星の 妙笑鬼 ギル・ヴェルの弟子だった
(弟子のプロップスの方が老けてみてる)


路地裏奥の妖しげな店
押し売り買いの
雑貨工房  プップ=ヒャホイの店(ただ今、夜間営業のみ)

リリィ「このお店、アンジェから教えて貰ったけど
本当に 不思議なお店」

正面のドアは閉まっている
- 夜間通用口はこちら、こちらの大籠に財布を入れ背負い
 そのまま入場してください - の看板
夜だから真っ暗
出口より出ると 財布の中身が軽くなり
籠の中に適当な珍品が
逆に何か道具が盗られ 金貨が増えている場合もある

珍品道具の一例
幻燈石
      燃える土を詰めた竹筒
      燃える水(火蜥蜴の濁酒)
      爆れる霧球 開発者はここの錬金工房のシオン


西通り
得物屋 酒場 娼館
賭博場(ダーツルーレット、カード)
 アルカナ=フェイスの薬指 
名前の由来:古の名女賭博師からとった名前らしい
博徒組合  組合長 サグジン=カスケツォ
賄賂の巣窟  大盗賊 
クバンセリン最大の博徒組合「犲狼寄宿舎」の元締
マホロバ=クロウ(カサス本人)の根城

マホロバ 詩魂に目覚めし「草民」
・ 直通「ダイレクト=コミュ」の使い手
(結界の張られていない、空間どうしでの会話が可能)
・ 対象に触を「眠らせる」詩を唄う能力 催眠の鎮魂符 をもつ

かつて
 潔癖なる 第二期神帝国エル・ラウスの時代
エイクリューネ以外の「詩魂能力者」を
狩る「音止侍(おとしじ)」なる隠密の官吏がいた
その音止侍を創立したのがあの悪名高い
第二期神帝国皇騎士団長
後の 神を欺きし者 ソルボンヌ=ギート
彼女は詩魂の力こそエイクリューネのみに許されし一子相伝の神儀という名目で
その効果の代償を問わず(只のカリスマシンガーも処刑)
詩魂能力者を狩りたてその 恨み を蓄魂せしめようとする
失われし踏轍の伽務夷、初代 ルクセルダン=ギート怨念の継承者
かくして音止侍という役職は
時の権力者達の関心も薄まり
 黒い煙の 第三期神帝国エル・ヴェレニィの時代には
その存在を抹消されたが
近年
音止侍(ハント)の技をもつ末裔が
当事 国家転覆をねらった呪殺会の目に止まる

元「詩魂能力者」の「草民」
「命失せし語り人」のマスター(当事傭兵)

マホロバ はこの音止侍の「逆狩り」を企てており
己の命を脅かす この悪魔を生み出した
国家権力の手を借りず 自らの手で握り潰すことを
生き様としている

実はバルシェラも
今のエイクリューネの為に
音止侍を追跡する旅にでている
過去、音止侍は自分達の存在に関し
その純潔性を強調(冷笑)するため
当代の 歌帝 より 能力を持つ者と認めたものがあれば
糾弾自決に追い込み殺害し 
その能力者をエイクリューネに
奉じた事変を知り 音止侍の存在そのものに
危険を感じたが故に

マホロバの参謀  元音止侍大将 サグジン=カスケツォ
触病の冒されマホロバに触を「眠らせて」もらい
以後、身命を賭して彼女の警護をするようになる
ランド=○―級の腕前

サグジン「我々は市井の歯車として公の仕組みには
収まることの出来ぬ規格外の卑勤部品」
サグジン「ゆえにその削ぎ澄まされし殺靭技の
脅威を失えば畜生にも劣りし葬るものなき泥塊」
サグジン「杯友よ 只 暗黒の底辺に潜む技
静寂なる残酷の牙を磨いておけ」

ブリーズ=アングラセン
 割旗魚刀 又は 旗魚刀 と呼ばれる有名な元大盗賊
現在 犲狼寄宿舎 南クバンセリン支部長
和顔だが、目の奥は笑っていない氷の紳士
裏情報組織の一員で自らも出前板前をして、
店員と世間話をしながら情報を集めている

その子分 スカラベ=ドルフ(幻門)
が 親方(おやじ) の指令として、学院にいるラヴィジと
個人的なやりとりを(ノートを使って)交わしている。
くちぐせ
「相変わらず、酔っ払ったうちの親父(仮にフタシロ)が、
また盛り場で変な噂を聞いたらしくてよう」
クロウはヘリオドールの子分

酒場の親父「なんだ、お前」
ラヴィーザ「ここの騎士民権を売ってくれ」
酒場の親父「何がしたいのだ?」
ラヴィーザ「国崩し」
酒場の親父「ハハ、面白れぇな・・・。ここじゃ取引はねぇが…
銘で一万、家付き(第ニ、三子)で三万からって噂だ」

長子は貴族と名乗り
領主としてその地方に在住するか
地方代主を立て自らは皇都の別邸にすむ
領主 夫人は皇都の別邸に済む
   子供は六歳まで同居許可
子女が姫として王宮に挙がると
年 六千G
第ニ,三子は王宮仕え(騎士や宮仕として)
月 二百五十G(二千五百S)の俸給
4子から浪人だが優先的に王宮の傭兵隊長や
衛士の仕事が優先され功績があれば騎士に抜擢もされる
月 百ニ十G(千ニ百S)の俸給

* おまけ
国民平均の平均収支
月  90G(900S)
学院(王立)の授業料
月  25G(250S)
教科書はない、自分で手記あるのみ
借家
月  25G(25S)
食費
月  9G(90S)

バイト代(6時間*日)
1日 3G(30S)
自給 5S

と考えると学院通いも
やはり住み込みか
裕福家庭に限られる


よき子息に恵まれない
男爵、子爵の中には
下級貴族はその養子の名を売っている


賞金首の額
被害総額の20分の1
2500G(被害総額50000G)から死罪人
10000G(被害総額200000G)から全国指名手配

現在 最高額 呪殺妖覇会 会長
覇花・・・ラフレシア
クローゼル=デコーダ
国家反逆 高貴殺害
無差別大量殺人 無差別大量破壊
死罪相当危険思想
国家脅迫 徒党集会 国品爆破 
窃盗 傷害 強奪 誘拐 不法兵器大量所持
密輸 死罪累当禁品所持 脱獄 等多数
被害総額 250000000G以上計測不能

おもな悪業
イスカーナ 大皇国 イスカナウェール州丞
アルトモダン皇伯爵家
長子ロッティーオン誘拐・殺害

ロアカジナ王国 第三王女エスナ
誘拐・殺害

イスカーナ 皇国治癒院
完全全焼
院長 オリオを含む
死者 84名(すべて貴族・騎士階級)

リークレッティ王国 王弟ジルオースタン公
公爵殿宝物館 全強奪 ジル公爵 行方不明

イスカーナ皇領 ランテ州丞 アルバーク皇伯爵
州丞館邸蔵庫  強奪 窃盗

イスカーナ皇領 ウェルド州丞 エステナンド皇伯爵
州丞館邸蔵庫  強奪 全焼
州丞 殺害

イスカーナ皇領 ウェルド州 州都ウェルドピセア精霊召訣語学院 学院長 
兼 ウェルド州 クランタウェルド市司
バーグオスト皇男爵
殺害
納金庫 強奪

等 

報酬
5000000G(日本円で50億)也
但し分割100年(子孫後継)払いで
年50000G

(過去最高金額は偽王
ルクセルダンの12000000G)
で公議にて処置済み
国家反逆 国家占領 偽帝詐王
大戦争犯(無差別大量爆破
 無差別大量殺人等)
他大多数

被害総額 250000000G以上計測不能

各地で悪業を重ねる呪殺会だが
その活動が為りをある日を境に
治まっていく
それは呪殺会の拠点
「霧信列島」への隠密遠征時
当時 イスカーナ先鋒旗士団 壱四號隊長
キーファネラ=キーツより
その首魁 皇魔と称する妖術士ルクセルダンを
討ち取ったからではあるが
その幹部のクローゼルの消息は
行方知れずで今日にいたる

東通り

大門町
イスカーナ大皇国認下 ベトラス自治市国
アルバス市井王邸

馬屋町
大八商店 店長 ホットン=パスム

クバンセリン金物細工商会所
クバンセリン自警団
魚屋町
肉屋
菜果町
八百屋

穀野町
米屋
酒場

会員制高級酒場「紅梅散桃(眺)楼」
まれに
クローゼル=デコーダ
ガーベワルツ(ズェイクスの裏幹部)
 吸精蛇髪姫 オロクレイア(正体ヘリオドール)や
リジェーラが賭博上の帰りに遊びに来てる
色々な国に下級貴族がカーンゴルム、エシュ
ラピス、ペリドート
クローゼルや
ガーベワルツとヴィップルームで密談
がいる

今 極秘でエシュ(代理人ログホック)とガーベワルツ(つまりズェイクス)が契約を結び
(カーンゴルムはイスカーナ皇国)
*近々、大戦が起こり、ガーベワルツが大陸の政権を握ればタンザ傭兵団の頭領として推挙する。

 吸精蛇髪姫 オロクレイア
蛇人(人化変身)
髪は黒のショート(自在に伸びる)
白い肌
黒光りの海軍帽
泣きホクロ
半透明のグラサン
(透いた、薄微笑いの眼)
紅い唇
銀のとげ付きの紅い首輪(手裏剣になる)
(ナ○スの軍服のような)黒ジャケットを軽く羽織る
黒革の長い手袋
胸元を広く強調した白のカッターシャツ
折りたたみ式の小針がついた(刃を広げると小足の百足のような)
黒鎌の鞭をシャツの上からに×の字に巻きつけ
(鞭が交差した胸の真ん中を蒼紫の宝石で留めている)
胸下胴回りは黒ラバーのコルセット(胴網み絞り)
腰には私刑用(笑)の鞭
白い皮ベルト+前方は黒ラバー製の逆三角状の垂れが膝上まで
腿地が解かるくらい広目の黒編タイツ
(お約束のナイフを仕込んだガーターベルト)
スリットの深い黒タイトスカート
黒ラバーのロングブーツ(側面を黒革紐で網込んだ)+ピンヒール+トゥ=シューズ

オロクレイア「まぁ、一言で云うなら天才かしら?
この美貌も冴能も含めて」

港付近
(呪殺会の残党)



貨幣銀行組合 造貨局 本部局長  兼
           クバンセリン本店長 カサス=サマルカンド

ベトラス市井議会所
議長 市井王 アルバス
副議長 貨幣銀行組合 造貨局 本部局長 カサス
鉄器工具協会 サクソニア工具商会長   オムド(ベルボックの三男)
金物細工協会 サクソニア金物細工商会長 ウムベ(ベトラス族)
工夫組合 クバンセリン(ウグ=ベトラス)支部 アルザクソン(カサスと癒着)
錬金術師協会 指揮下  クバンセリン工場 工場長

ラヴィーザ「ここだよ、エイクが取材をしている所は」

武器防具協会 クバンセリン武器防具商会長

刺客「魔女リジェリア
汝は鐘守役たる銘のみで 生き長らえていることを知れ」


ラヴィーザ「ここは金をより多く詰める奴が、王様なのさ」

しかし、今 エイク はここにいない

ラヴィーザ「そりゃ、そうだろ。アレのシーズンだからな。」

バルシェラ 河川敷でゴロツキと仕合い
酒場でそこのお姉さんにゴロツキがカラミ、バルシェラが手出し
かるく手刀でゴロツキをあしらう
橋の上で
ラヴィーザ「やるじゃん・・」

バルシェラ「報酬は・・・そうだな」
バルシェラ「姉さんの、その唇って所かな」
以後、バルシェラこの酒場で
ただ酒と宿の提供(ここの酒場の長いすでゴロ寝)を条件で用心棒をしている


バルシェラ「あ、ありゃあ七雲地来流戟術の使い手
ズヒート=ボーンまできてやがるぜ」
バルシェラ「腕はいいが、道場の経営能力が無い上に大食酒豪だ
おそらく賞金が目当てだろうな」


イスカーナ皇国未公認の 剣闘地下死合 
クバンセリン第三期予選開始

タンザの幹部(がらが悪い)
こうふ 金稼ぎ 罪人

有力貴族の使用人
ロムス
ロアカジナの不良子爵(趣味:革命)
リークレティの放浪騎士
マホロバの幹部

マホロバのライバル
レミングソート(イロペール)
の幹部 賭博上 よわい、兵隊の数
5、6人の用心棒

バルシェラ「なぜ、未公認かって?」
バルシェラ「代々ここのチャンプは皇国に
7割払いの賞金税を納めないという
素敵な因習があるらしいから」


地下2階から3階は大広間
色々な店が並び
奴隷を肩に返金できる場所も有る
4階は賭博券売り場
クバンセリンの地下5階には
古くから大闘技場がある

主催者 クローゼル
勝利者 覆駿面の軍人エイクリート=ヴェルク(ズェイクス)
ズェイクス名目は騎士修行の旅ということで
皇国を離れている
後にこの優勝賞金を大将軍への手土産にし
先鋒旗士団 壱號隊長への再編成の推薦を得る

決勝後 武台に
飛び降りるラヴィーザ

エイク「(観客席から)…・!あ…」


ズェイクス「・・・辞めたいのか?」
ラヴィーザ「いや、ただヤりたいだけさ」
ズェイクス「フッ・・・」
と微笑いながら長刀を鞘ごと薙ぎ振り
沈座にて右手を柄にかけ応じる
ズェイクス「よかろう、中間成果を検分しよう」

ラヴィーザ 
すっぱり 
腹を切られる

ズェイクス「有無、そろそろ頃合いに
入っているな・・・」

倒れているラヴィーザにナスタリアを投げる

ズェイクス「何時まで、転がしておく氣だ?」

エイネレイク登場
 ズェイクスを黙ったまま、にらみつける
 が ズェイクスそのまま武台出口へ去る



上階のVIPの個室にて

クローゼル「血を啜り 肉を削ぎあうとまで言われた 剣闘地下死合
既に 舐められているのか
それとも 略に傾いた役者のみが徘徊する つまらない時代になったものか」
ズェイクス「(畏まって)私の浅慮では測りしないことです」
オロクレイア「貴殿も水臭い 次の舞闘会にこそ
是非 私のお手を取りて お誘い願えかねないかしら?」
ズェイクス「(微笑)私はその剣先もまどろむ 美しき貴婦人を前にしての
勝負の作法を学んではおりませぬ故」
リジェリア「(いつのまにか後ろの長ソファーで後ろ向きに寝転んで)
そうだね、そのどさくさの
あっと 云う間の隙間から
現われるは細目馬男のスッ裸なんていう のもアリだったかねぇ?」
クローゼル「我の正面に現われろ 何処向こうの魔女よ
さすれば会得したての 閉塞冷獄域を馳走してやる」
リジェリア「(嬉しそうに)えーん、負け犬に手を噛まれるぅ
唾臭そ〜」
と言い放って
暖炉に甘芋を投げると同時に
プッ
と消える

オロクレイア「(笑いながら)噂によると 豪蓮閻傀どのは
大層な
役作りを背負い込んだとかで
(注:クラフェットの尊師就任のこと)
ちと手を外すらしく遊ばされるようで・・・」

歯軋りのクローゼル 手になぜか焼き芋
無言のズェイクス 横に顔を背けている

クローゼル「それは上々
あの方の無尽蔵な破壊力では先ず
客席からの生還を 苦慮せねばならんからな」

盗賊のカラザーク 
殺人を厭わない「急ぎ働き」で有名
そんな悪名高きもので その命も多々狙われているが
きまぐれに金銭をばらまいたり 全てオゴりの大饗宴を催したりして
この界隈では人気者でもある
戦士は大会の前に「平等」が暗黙の了解
義賊のサクジンと仲が悪い

カラザーク「かの御剣リマジオはイスカーナの六觝会と
この地下死合で両方優勝しているから 表裏無双の号を得たんだぜ」

地下6階と7階は選手の控え室

ラヴィーザ達 カラザークの後をつける

さらに地下を3階降りると立ち入り禁止

ここからは 永い永い下り階段が 角螺旋状に続くと

鉄扉の部屋に

中央には移転結界

結界を潜ると

そこは異様な妖氣漂う洞窟

集められた奴隷の生氣を摂取し 魔人復活の贄に捧げる
奥の広間には
更に奥へ進む洞窟の入り口に
その中央には奇麗な水飲み噴水
「やっぱ、まだ誰かがいるんだぜ」
噴水は 人魚の像の手から水が流れる仕組みで
その下で壷をもって 水を受け止める少年がいる


エイク「中に入るのはまて・・・」
ラヴィーザ「たしかに、少し寒気がしてきた」


羅焔霊(イフリート)の豪腕
と呼ばれる壷
カラザークが それを採ろうと手を伸ばすと
結界が現われ
石化する

ラギ様の声「すまねぇなぁ〜本当は領域とやらには
こだわっちゃいねえんだが
入って来た奴は 殺って喰うことにしてるんでね」

そして矛鎚が回転しながら
洞窟の天上(ラギ静養中)から飛んできて

「止(ヤ)めるって
言うまで
殺らなけりゃ・・」

石像にヒット
「宗主鬼王としての筋が
ねぇよな?」

石像は

ぴっ

きいいいん

と音立て

がらがら

と崩れ
霊魂は天上の 穴 に
吸い込まれて逝く


「ふーん」
「お前達は運がいいんだな」
「まぁ、楽しませてくれるんだったら
水闘技の間に入ってこいよ」
 
という声

耐えも
臨界に達しつつ
あった
 

エイク「はぁはぁ・・・あれが朔妖の蛇宗鬼王、ラギ・・・」


朔妖の蛇宗鬼王 ラーグレオ=ドレス 通称 ラギ
 妖魔刀“慕黒 を手にし2900年代大陸中に暗黒時代を撒き散らし、2987年に女竜帝アカリネカを殺害し、その地底竜人帝国を壊滅させた“虐殺鬼 。そのラギの捕虜となって、のちのに地上へ追放されたアカリネカの娘、 イザリネカ=ドレス、女性格の精霊人の継承者である。イザリネカはその胎内にラギの子の身篭りを知るとその赤子を転生。赤子はあるクバンセリンの奴隷工夫の娘として誕生、ラギは 2998年、その根城としていた地帝国にふらり とやってきたリクワイゼル一団に襲撃され、その洞城は“恨みの狭谷  にある“象牙の魔洞 と呼ばれ、現在は禁入区に至る。

第14番 栞吟


第15番「金色の獣塊 ゼル」

これは、ある浪人が獣塊(リッパー)と呼ばれた刻の話…。

時は、3129年。クロスウェルドの盟主にして 太師 だったイゾルディオは、具現した 蝕海 (すべての衝撃を無に帰す反生物)の対処に苦慮。ギルド側の力(魔力系)では手の打ちようがなく、当代の憑翳流宗主リクワイゼルに助力を乞う。リクワイゼルはイゾルディオの差し出した代償と引き替えに協力。

 象牙の洞で、無限に広がり続ける 蝕海(実はなんと真魔の影)に対して、次元跳躍にて八又の矛『捌餓巳』を召喚、それを擬似 核 として 存在 に収束した。生み出された存在−八の魔王−は、しかし蝕の本能(蝕み滅ぼすという概念)のままに、リクワイゼルに攻撃。無限の拡散の力が一つの形(ベクトル)を持ったことで、その圧倒的な力(なんせ本体は蝕の塊−真魔の影−で、武器は『捌餓巳』−鳳凰フェニックス=レジェンド、皇龍カイザー・ドラゴンと同様の神獣、オロチを宿す八種類の特殊能力を持つ武器−という、最狂の組み合わせ)がリクワイゼルに向けられる。すさまじい死闘を繰り広げる両者だが(リクワイゼルはゲーム的に言うと生命力、精神力、存在値を削られ、蝕魂値を増加されられた。前、存在値を削る武器と言ってたけどやめた。存在値を削ってくる武器は 罪滅 だ)、そこにたまたまフレニキスが姿を現す。 蝕海 はフレニキスに反応し、襲いかかる。リクワイゼルはその 蝕海 の隙に『百蛟槍』をたたき込む。しかし、一瞬遅く 蝕 がフレニキスに向かって放たれた。が、なんとフレニキスは持っていた短剣に 存在(値) を乗せた一撃でそれを弾く(リクワイゼル、驚愕。フレニキスは当時若干九歳)。

※枝葉のエピソードその1 『百蛟槍』
リクワイゼルの手にしていた『百蛟槍』は『毅断槍』とも呼ばれる特殊な存在。のちにリクワイゼルはこの槍でイゾルディオを貫き、絶対権力者の乱を終結させる。ゼルミオン、そしてイゾルディオと、蝕の強い影響を持つ存在に対して強い力をもつこの『槍』は、今は存在の失われて久しい時間の精霊族、その精霊神の力の宿る神霊刀。『槍』は3本存在し、それぞれが【過去】【現在】【未来】の意味を持つという。 変化 という本質を持つ蝕に対する抑圧―停滞―をもたらすことから、ギルドの仙導師ウェザーラ=ザイン(ザインの家系は神話や魔儀道術、英霊刀などに詳しい。ということは、かつてのザインの家系の中には当然、あのフィレアン一族と関わり合いを持った者もいる。ウェザーラは神霊刀の歴代の所有者とかが最近の一番の興味対象)は、イゾルディオを葬ったその『百蛟槍』を、【現在】の槍だと推察している。ちなみにウェザーラの推察によると、あと2本の『槍』のうち一つはおそらく、ウィズ・ウィラーネの持つ『輝虹槍』とのこと(これが未来)。もう一つは確証が持てないが、クィーン・ベイリスの『黒蝗鎌』ではないかと考えているらしい(こっちが過去)。あるいは【現在】と【過去】は逆かもしれない。ちなみに絶対権力者の乱の後、『毅断槍』はウィズが受け継いでいる(ギャー、ウィズさらにパワーアップ!!)

 ともあれ、 蝕海 の動きを止めたリクワイゼル(すげー、あの組み合わせに勝つなんて信じられん。さすが宗主と太師を歴任する稀代の存在。リクワイゼル激強だな)は、神器『笈杯王』に封印し、人の形を与えた。そしてその存在の 強さ に賞賛と皮肉を込めて侍大将(ゼル)の名を冠した名を与えた。これがゼルミオン誕生の逸話である(ちなみにこの時の戦いで、リクワイゼルは身体的精神的魂的に、かなり力を削がれている)。

 生み出されたゼルミオンは、しばらくはリクワイゼルの元に置かれる。もともと 蝕む という 衝動 しかもたないゼルミオン(まあ、蝕の塊だからね)には感情や思考は存在しないため、リクワイゼルはゼルミオンを人 として活動させる為に多くの事例をもって思考や反応を 学ばせ た(反応を学ばせるってのは、FSSでアマテラスが生まれたときに学者が同じ様なことを言っていたね)。それでも学習には限界があるために、周りから見たときにこの時期のゼルミオンは「感情の起伏が少なく口数の少ない青年」に見えたのである。
 そして、次期影流の宗主候補としてリクワイゼルの元に留まりつつも、やがてルーンの剣筆頭騎士 赤の一番(ルージュ) の銘を得ることになる。

 宗主候補としてリクワイゼルの元に留まるも、憑翳流の生き方には縛られたくないと、3134年、その元を去り流浪(この時期のゼルミオンは銀髪で口数の少ない青年。ハーフプレートに大剣(【捌餓巳】は封眠。放浪の途中で手に入れた英霊刀『凪響−イナビキ−』))。3146年にはイスカーナにて蘇った七又の狂龍と、成り行きで戦い、調伏。これによりイスカーナ大皇国神帝より、ルーンの剣 赤の一番(ルージュ) の銘を受ける。が、狂龍の咆哮により出現した螺旋界が世界を侵食。それを消滅させるためにさらに螺旋界へと赴く。最終的に螺旋界を消滅させるが、その戦いで『笈杯王』に亀裂が生じ、安定していたはずのゼルミオンの破壊衝動が噴出、再び蝕の獣と化す。それ以後、世界をさまようゼルミオンは各地で数々の悲劇を引き起こした(この時のゼルミオンはまばゆく輝く黄金の髪に人形のような表情のまったくない顔。鎧はまとわず、身体の表面には常にたゆたう、空間そのものを変質させる暗黒の蝕の歪み。手には八の魔王【捌餓巳】―八の魔王のうち、特殊能力6つまで覚醒。生命力精神力減衰、斬った相手を無条件で蝕魂増加、振るうだけで発生する蛇の様に波打つ衝撃波、身に纏う衝撃を無効化する黒い陽炎、八分魂八刀八分裂攻撃or八分魂一刀八重攻撃などなど。ちなみにリクワイゼルが戦った時は5つ覚醒状態。最期の能力が霊滅神滅―)。イスカーナ大皇国北部辺境のサルバニクスの街で、住人すべてが一晩で蝕化し、街が全滅した サルバニクスの悪夢 や、大陸東部の小国の乱立する未だ戦乱の絶えない地域の戦場に出現し両軍関係なく殺戮をもたらし、その平原一帯を蝕の沼と変えるなど・・・。纏う雰囲気のあまりの異質異様さにゼルミオンであると認識されることはほとんどなかった為、この時はただ、蝕の暗さのなかであまりにまばゆく輝くその金色の髪から『金色の獣塊』あるいはただ『獣塊』と呼ばれていた。各地で蝕をまき散らすその様に、ギルドもこれ以上のゼルミオンの 存在 の危険性を認識し、処分を決定する。極限までの侵蝕 衝動 を放つに至ったゼルミオンに、クラフェットが名乗りをあげるが、太師はそれを却下。
クラフェット 「奴が何をしようと知ったこっちゃねぇが、あれだけの 衝動 を散らされちゃ 芯 が疼く」
太師 『万丈気炎が鬼王魂、純絶なる 祈衝 に悦律するも必思。されど大命、楚を遣わすは許絶するものなり ―あなたなら、あれだけの衝動を感じて戦いたいと思うのはわかります。しかし、太師としてそれを許すわけにはいきません― 』
クラフェット 「・・・・なに?」
太師 『響天溢淵たりし獅孔と燭晒、共に絶魂衝響たりて極慟を齎すが故 ― 衝動 により際なく高まるあなたの魂と、無限の衝動を持つゼルミオンの本性、両者の激突は、この世界の法則すら危うくする力を生みかねません― 』

 注:螺旋界の時にゼルにクラフェットが興味を持ったのは正解。が、当時 捌餓巳 はまだ覚醒しておらず、またゼルミオン自身も 笈杯王 によって本性が封じられた状態だった。故にクラフェットの興味はその時点でより強大な存在力を持つビッグ八に向いていた。クラフェットは今のゼルに、その時のビッグ八以上の 喜悦 を感じるが、太師は両者の際限の無い力の激突は世界法則を超えてしまうことを 理解 する。ちなみに、螺旋界のような特殊な空間(ただ異次元というだけでなく、螺旋界は力を 引き込み 力を 逃がす 特殊な次元構造をしている為)でなら、太師もクラフェットを止めなかった。

クラフェット 「…俺の 楽しみ を奪うってのか?」
太師 『ルス……』
クラフェット 「……あぁ、従ってやるが…しかし、俺以外に誰がアレを止めるってんだ?」
太師 『我が極霊真魂を以ちて―私がやります―』
クラフェット 「…!!」
太師 『異衝を処現せし願意、先々代が英霊が因。異衝を顕在せし罪技、先代が影霊が果。されば我が断つが相当―あの存在をこの世に許したのはもともとは先々代太師、先代宗主の招いた結果。ならば、現太師たる私が決着をつけます―』

 が、ゼルミオンと太師が戦う 時 は訪れることはなかった。蝕としての、滅ぼし、蝕み、穢すという衝動に突き動かされるままに大陸をさまようゼルミオンは、やがてこの世界で、最も蝕と遠い存在に惹かれるようにしてたどり着く。すなわち、-純魂祈妃-エイクリューネの血族、歌姫の帝。当時、帝は3年前に若干14歳という幼さで帝の御名を継いだエスメレーテ。
ある日、 シェイ=ラアの 窶代(ヤツシロ)ヶ杜 へ参拝した帰途の帝エスメレーテを、ゼルミオンが襲撃。お付きの衛士や文官女官はゼルミオンの放つ蝕圧だけで一瞬にして異化(帝自身はいつも纏っている正装−霊衣【十二季衣】と懐刀【麒麟】の霊力にて護られている)。


護衛についていた詩聖騎士(エイクスナイト)フラベルト、かろうじて動ける女官アイネスに命じて帝を連れて逃げるよう指示。ゼルミオンの前に立ちはだかる。

 フラベルト 「ゼルミオンか・・・・。まさか『獣』がお前とはな。筆頭騎士のお前ですら、 堕ち てしまったのか」

 ゼルミオン 「これがオレだ。 堕ちた のではない。 目覚めた だけだ」

ルーンの剣 緑の3番 フラベルト=ラグアニア
(神速の剣閃―ブラインド・ソード―の使い手。『蒼の剣聖』の銘を持つ。イスカーナ皇領ランテ州レルランテ府の貴族ウィンザス=ラグアニア皇伯爵の次男。現ルーンの剣の中でもその太刀筋の速さは最速。かつて鞘から剣を抜くのを見せることなく、六法会で優勝という前代未聞の出来事をやってのける。先代の帝ロシエンの時代に詩聖騎士の位を授かり、帝の護衛を務める)


※枝葉のエピソード その2 ブラインド・ソード
 神速の剣閃、または無走剣と称される、剣聖極技。一言で言ってみれば居合いだが、太刀筋はおろか剣閃、刀身が疾る一瞬の光すら見えないという神業。だから会得者が柄に手を置いて何もしていないのに相手が斬られるという現象が起きる。うーむ・・・恐ろしい。ゲーム的に言うと、見えないのでもはや受け回避ロールは出来ない、としてもよいぐらい。ブラインド・ソードに耐える手段としてはゼルミオンの様に異常な防御再生能力か、永続型防御魔術を張るぐらいしかない。ちなみにフラベルトは二十代前半にかつて一度だけリマジオと仕合った(死合いではない)事があるが(年で言えばフラベルトの方が二つつ下)、リマジオは何とこのブラインド・ソードを見切る(ルール的にはありえん!おそるべし御剣・・・)。リマジオにも太刀筋やその剣閃、光は見えなかったが(ちなみにブラインド・ソート発動の際にはフラベルトの呼吸やら手、指の動きにすら変化はない)、フラベルトの剣気の流れやら視線に宿る意志の光の変化、打ち込んでくる 必然のタイミング やら、常人では理解不能な領域で無い太刀を意識に捉え、それを捌きつつ自らの太刀をフラベルトに叩き込んだ。

フラベルト 「さすが、御剣殿。噂以上。私がかなう相手ではなかったか・・・」
リマジオ 「相手に意識を向け続けることの出来る、仕合いの場であったがゆえの一度の勝利。貴殿の太刀は、私にも見えなかった。次にその 技 を見た時、同じ結果とは限らぬよ」
フラベルト 「剣を交わす者はその一度がすべて。あなたが本気なら、私はここで死んでいた」

 憑翳流とは違う 技 、そしてこのような強者がまだいたことにリマジオは驚嘆する。
リマジオを驚嘆せしめた技、その剣聖極技を伝えるのが、もはや伝説にしか語られない 剣聖教主 サイオン・グージェンス。おとぎ話とまで言われ、その存在すら怪しまれているこの人物の正体は、 黒の13番 。ファースト=ルーン最期の人物とも言われる。かつて第1期神帝国の崩壊の時期、ジェネディスと魂を削る死闘を幾日も繰り広げた剣憑きマルフレニーザ。その 技 は想像を絶する、というか常識を超越した剣 業 であったという。マルフレニーザはジェネディスに破れるが、その業を受け継いだのがルーンの剣、 剣聖 サイオンであった(マルフレニーザとサイオンは同一人物であるという異端の説もある)。皇国騎士の剣技とも、そしてヴェルネス、ジェネディス(のちの憑翳流)とも異なる 異質 な業をもつサイオンは、マルフレニーザの敗北の後、野に下りその行方をくらます。そしていつの時代からか、 剣聖 の銘と共にその超越した 業 をごく限られた者に授けてきたという。マルフレニーザ、剣聖、剣聖極技などについて詳しくは増刊号にて。

 場面は再び森の中。

フラベルト 「お前であっても、これ以上は進ません。止めるぞ」

ゼルミオン 「やってみろ」

 ゼルミオン、矛を構え間合いへ踏み込む。

フラベルト 「その先は、ない」

 と、それを迎え撃つフラベルトの太刀筋の見えない斬撃。フラベルトの持つ剣とゼルミオンの八又の矛では明らかにゼルミオンの間合いが先なのに、その外からフラベルトの無走剣が飛ぶ。

―ブラインド・ソード(剣聖極技なので本当は受け回避不可能・・・だとあまりにエグいので、受け回避1/2にして判定かな)―。

 ゼルミオンの首筋が一瞬で裂ける。
が、首を飛ばしたつもりが、纏う蝕がその衝撃の大部分を無効化。
それでも首半分近くまで切り裂く。
人間なら頸動脈断裂で即死だが、ゼルミオンには関係なし。
傷口から蝕霧が噴き出るも気にせず、ゼル、矛を構え袈裟に振り下ろす。
周囲を木々に囲まれたこの空間で振り回すにはあまりに長すぎる矛だが(3m以上)軌跡上の木々に触れるや木々は一瞬で溶けるように朽ちる。
間に合わないと感じたフラベルト、蝕による代償で受けと防御力を増加
が、【捌餓巳】の特殊能力により蝕魂による増加判定ロールは無効化(!)。(でも使用した蝕魂値はそのまま増える)
イメージ的には、速くなった受けの速度に呼応するように、その蝕に呼応してゼルの一撃も速さを増すといった感じ。
それでもフラベルトの受けはかろうじて間に合う。
が、受けた英霊刀(なまっちょろいモノではなく、祭器クラス)をなんと 蝕み 砕く(英霊刀の蝕魂値を増加させる)
そのままフラベルトを両断。
蝕を纏ったその一撃で身体は両断され、その魂は一瞬で蝕魂異化。


逃げながらも女官のアイネス、背後の蝕気が消えないことからフラベルトの敗北を感じる。エスメレーテにこのまま逃げる様に言い、自分はその場に留まる。ルーンの剣を倒すほどの相手に立ち向かおうとするアイネスに、エスメレーテは一緒に逃げるように言う。が、アイネスは悲しそうに自分も剣であることをエスメレーテに告げる。そして帝を護るという剣の勅命ではなく、数年間側に仕えて感じた、自分個人の感情としてエスメレーテを死なせたくないとの想いを語り、足を止めたエスメレーテを叱責。再び走らせる。

アイネス 「早く行って!」
エスメレーテ 「・・・・ごめんなさい!」
 (後ろを振り返らず、走り出すエスメレーテ)

ルーンの剣 赤の6番 アイネス=リフェルデ
(無数の極細の鋼糸を自在に操る女性。孤児だった所を『契約の殺師』ペリドート麾下の『背中なき(その存在が謎に包まれている。ファーザーにしてゴットマウスみたいな感じだね。正体が知れないがゆえに、背後をとられる事がないという意味が込められている)』イロペールに育て(鍛え)られた。ペリドート麾下とあるが、ペリドート自身も幼い頃はイロペールによって鍛えられた暗殺者である。イロペールに言わせれば、『あの娘(ペリドート)は最高の宝石―自分の技術の粋を身につけさせた完成形―だ』とのこと。話が逸れた。アイネスもイロペールの元でその 儀術 を仕込まれ、無数の鋼糸を操る技を身につけた。そしてある 事件 がきっかけでイロペールの元を離れ、四卿の一人の元へ引き取られることになる。そこで四卿に従者であるワスト・リフェルデと養子縁組をさせられ、リフェルデの姓を受ける。ちなみにワスト夫妻には子はなく、アイネスの生い立ちを知らされてなお、彼女を実の子の様に愛してくれた。そしてエスメレーテが帝を継承した際、秘密裏に四卿よりその能力で帝を守護する為遣わされる。本人は幾ばくかの詩魂の力を持つことから表向きは歌姫として帝に仕え、また侍従として身の回りの世話をする。エスメレーテより4つ年上。アイネスが剣であるというのを知るのは遣わした四卿だけで、帝、神帝すらその事実は知らない)。


 走り去るエスメレーテの背中をじっと見つめるアイネス。視界から見えなくなるまで見送ると、ふと空を見上げる。木々の間から見える空は厚く鈍色の雲がたれ込め、今にも雨が降ってきそうだった。
 アイネス、自らの鋼糸を無数に周りの木々の間に張り巡らせ、ワイヤートラップを巡らせる。ひとつ大きく息をつくと、そのまま立ちつくし、待つ。
 ゼルミオン、現れる。ゼルミオンと対峙するアイネス。その距離、20m。

アイネス 「これ以上は、進ませない・・・!」
ゼルミオン 「・・・くだらん。オマエも、使命とやらの為に命を捨てるのか」
アイネス 「違う」
ゼルミオン 「ならば、なぜ勝てぬとわかっていて、立ちふさがる」
アイネス 「自分の命を捨ててでも、守りたいものがあるから」

 ゼルミオン、表情を変えず歩み始める。
 
と、周囲の景色に 擬装 したワイヤーが
地面から無数跳ね上がり、ゼルミオンの身体を切り裂く。
常人ならこの時点で肉片。
ゼルミオン、意に介さず歩み続ける。
傷からは蝕霧が吹き出すも、やがてそれもふさがる。

空中から 擬装 したワイヤーが出現しさらにゼルミオンを切り裂く。

アイネスとの距離は10m。

歩みの止まらないゼルミオンに、
周囲の木々から 擬装 のワイヤーが疾り、
大地と空のワイヤーと織り合い、ゼルミオンを捕らえる。

ゼルミオン 「これで動きを封じたつもりか?」

アイネス 「もうあなたはその 糸 からは逃れられない。これが 織姫 と呼ばれる私の力」

アイネスの指がしなやかに動く。その動きに反応するようにワイヤーが生き物のように動き、さらにゼルミオンにまとわりつく。しかしワイヤーはゼルミオンの身体に食い込む直前で、蝕の膜に阻まれる。

アイネスのその唇が 想い の 詩 を紡ぐ。

糸が、虹色に輝きだした。

ゼルミオン 「・・・・!」

虹色の糸は蝕の膜を中和し
ゆっくりとゼルミオンの身体を切り裂き、食い込んでいく。

これこそが、 織姫 のふたつ名を持つアイネスの秘技。
自らの武器であるワイヤーに、 詩魂 の力を重ね、織り込む。

そう、 詩魂 の波動は、 蝕 の力を 中和 する。

柔らかな光を放ちつつ、ワイヤーが黒い身体に沈み、その身体を切断していく。

ボトッ

左腕、肘から先が地面へ落ちる。

 ドサッ
右腕、二の腕が切断され、巨大な八又の矛が大地に転がる。

ゼルミオン 「・・・驚いたな。こんな 技 があるとは。少し見くびっていた」

ゼルミオンの首に筋が走る。

アイネス 「おしまいです」

ゼルミオン 「ああ」

 奥儀 − 虹華燎散  −

ザンッ!!
ゼルミオンの全身がバラバラに切り刻まれ、肉塊が舞う。

アイネス 「!!」

 同時に驚愕の表情を浮かべるアイネス。
ゼルミオンがワイヤーに切り刻まれた瞬間、
その周囲に7人のゼルミオンが出現。

7人のゼルミオンから同時に 斬衝 が放たれた。


 ポツ

 ポツ

 ポツポツ


 ・・・・・ザアー

 重苦しい空から、雨が降り出した。
 動きにくい重ね着の着物がたちまち水を吸い、少女の動きと体力をあっという間に奪う。
それでも背後に禍々しい在圧を感じながら、必死に逃げるエスメレーテ。
が、水溜りに足をとられた拍子に木の根につまずき転ぶ。
急いで起き上がろうとして、その身体がビクリと震える。

膝をついたまま、背後を振り返った。

そこに金色の獣がいた。
魂を締め上げる圧倒的な存在感、死を強く連想させる禍々しい巨大な矛。
そして何よりも、身に纏うその 蝕 。

一瞬にして、エスメレーテの全身を恐怖が支配する。
雨に濡れた寒さとは違う魂の震えが、心の底から抑えようもなくわき起こる。
立ち上がることも、額に張り付いた長い髪をかきあげることすら出来ず、エスメレーテはただゼルミオンを凝視することしかできなかった。



ゼルミオン「説得か…俺には 感情(こころ)と云うものが無い…芯に 殺意の起伏 が有るのみだ」

エイクリューネ「芯(カムノイ)を顧(かえり)みたのですね…では 更に自個我(おのれ)を観念(みひらいて)下さい 芯には 多様なる面(こころ)…

ロシエン『多様なる方向(いしき)が…』」


そして 音声 は 志念 と 変化 する

ヴェルラーン【… そして 更に深い場所で … 球(いし)でもある真実を…】


ゼルミオン「始めての発見だ …」

そして 彼の様相 が 変化 しつつあった
バルシェラ「…だったら 俺は 感情を既に有する 存在でもあるのか?」

エイクリューネ「はい…只 魂(いしき)が 外部の衝激 や 自己解析 によって 霊(こころ)として 派生(うま)れた 事例である為に…」

バルシェラ「…つーか お前 今 笑った だろ…」

エスメレーテ「…えっ?……ええ 私も貴方の様な 薄情な人 に 出会ったの 始めてのことだったから…あっ…あれっ?」


バルシェラ「おい…お前 国の貴賓だろ?…言葉の使い方を…
その前に 俺が ヒト だと ??
…ああ これが 笑える って事なんだな…」


エスメレーテ「…(万面の笑みで)そうよ」


バルシェラ「チッ! 溜まんねーな…こりゃ…」



 詩 により 器 を癒され、 心 により 魂 を癒されたゼルミオンは、以後その 銘(ゼルミオン) と 能力(捌餓巳) を封じた。

そして再び、 人 として生きてみる為に、放浪に出る・・・・。


第15番 栞吟

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送