第七番「災難の氷橋」

ディアン( この域場(フィールド)への 瞬転 は あの死黒騎士のもの…でも 恐怖(おそれ) と云うより 寂寞(かなしさ)を 肌で…感じるのは 何故…)

ガイ=ファスピア「…迷い出づれる 銘(な)も亡きものども
沈まる所(とこ)はや 闇の練沌(うねり)のみ…」

ディアン「ニンゲン!……そして 哭(な)いて 佇み居るのは…子供?」

ガイ=ファスピア『螺旋の鎌首…阿鼻の群魂…溟黒が渦の域…其が 霊命(いのち)の 悉くを貪り尽くせ』

ディアン(…!!)

ディアン「ひっ! いややぁぁぁーーっ!!」


がばっ

ディアン「…はっ! そりゃ 夢でしょうけど…」

ディアン「過去からの…成長の無い事…」



ディアン「うーん 例えば 圧倒的な 恐怖… 支配力 で 霊魂をわし掴みにされた様な経験 と云うのはどう?」


リリィ「…そーいえば 引越の時 導師の羽織(マント)の中で 男性型(サイズ)で 生地は高級品だったのですが かなり 煤(すす)け解(ほつ)れている のが 鞄の中に詰め込んで入ってましたよね?」

ディアン「ん…そんなの あった……あ! あれっ……あ れ ね…ひいお爺様の 唯一の形見って伝わってるモノ で もう値段もあって無いようなものだし 捨てると祟りがありそうだし という事で」

リリィ「はぁ…あれは確か 首元に ファスピア皇伯爵の家紋が 縫い込んでましたけど
導師は 御武家さん と 御親類 だったんですか…」

ディアン「 んー んー んー 母方の 御婆ァ様の 御父様だから…そう!」

ラヴィーザ「成程 だから 導師から何(なん)か 独特の
鼻に つん と来る 嫌味(いやみ)な 貴族臭 が すると思ったぜ」


ごすっ



レイミスト「冷氣を 放つ と云うより 
己は 零静 で有りつつ 周囲を 寒氣 に 引き込む事が 氷点の要だ」

レイミスト「…生死に 希望 も 絶望も 持たぬ」

レイミスト「その場に 凍て張ってろ」

レイミスト「その程度では 感動 は興ぜぬ…」

中等道士メリミカ「…と 導師レイム様には 素敵な語録がありますが…」
と 黒板に 楽書らば

チイニア「…さあて その私生活は未だ 謎のままに包まれておりまする〜」
と 合いの手を入れる


リリィ「えっ レイミスト導師の情報(ネタ)って 学院内で懸賞かかってるの?」
アンジェリナ「ええ もう一人 隣の助手さんも同じく ね」


ラス「導師に 日常(プライベート)の話しを問いかけることは まれにありますが 記憶に残らないくらい 普通です
魔法についての質問も(それは この先の授業で解かる)…という一返答で 私も生徒さんと同じく 授業中に筆記をとるしか無いですよ」
ラス「あと…帰宅途中 たまに 誰かしらの 襲撃 を受けているようです ね」
リリィ「ふーん…って おい !」



マンドラゴ「ほっ ほほー 教育 とは 実戦 なり
その件について 問題 無し!」
リリィ「い…意味 解かんなひ」


石壁に 耳 あり
ラヴィーザ「ぜってー 氣になる」


ふと 足を留めつ
フウ「…ん? 例の懲罰で 塗り替えを行なったこの障壁(かべ)…」

フウ「実の所 王位級呪文で 解放の栓が解かれる様
内部の者が 偽装工作した形跡が見受けられる…」

フウ( 放視 はされども…報告は必要だな)


橋を渡る途中
レイミスト「何をやっている?」
と 感づかれ

そして 返答を待たずに 其れは起こった


ラヴィーザ「うわっ 何だよ ありゃ…」


レイミスト「居合わせたか…まあよい 市民を巻き込まない件(ケース)の想定として置こう」


改めて 霊感を凝(こ)らせつ
レイミスト(潜伏を含め 三十六 …)

レイミスト『荒ぶる炎の走狗ども 水包む流精が群を前にし 意氣を静めよ』
と 橋を隔てて 河川の水がせり上がらば 球を描き
皆を包みて 火矢の束を防ぎ消す

レイミスト『海帝が銘に於いて命ず 流精達よ氷竜と化し 我が意に応ぜよ』
と 球の中途より 中ば空洞の 氷嵐が縦向きに出現

レイミスト「中に入って逃げろ」
と 皆を促す


河の中から 次々 と 人の影 出現

リリィ「樹液甲兵(ゴム=ゴーレム)?」
レイミスト「…問題は無い」


レイミスト「馬鹿者! こやつらに 火を点けると 
邪な凶風(かぜ) が発生する事を知らないのか?」

一体に向かい 炎槍 を飛ばしながら
リリィ「えっ!?…ですが そんな事 言っていられない状況だと思いま…す!」

レイミスト「…チッ!」


リリィ「 ど 導師向けの 抜き打ち 非難訓練…」

レイミスト「…問題は無い と忠告はした筈だ」



スカラベ=ドルフ「やー 今回の行商は 新行路の開拓だったさかい しんどーて しんどーて…」
ラヴィーザ「…あんた 本当に学生?」

スカラベ=ドルフ「ふーん ここ迄 レイム導師の情報を集まったんなら 上出来やな でも 相場を荒らしたく無いから 取引は慎重に頼んますわ」

スカラベ=ドルフ「でも 本当に特種(トクダネ)抱えてたんは 隣の嬢ちゃん らしーて?」

スカラベ=ドルフ「そいつからの仕入れに拠ると 所属は 四ヶ国連立諜報軍機関…」

エイネレイク「め 盟邦逓信台 の一員 だと云うのか…」

ラヴィーザ「はは…諜報員 一人 の情報とは云え それを 西ウェルドの地下抵抗組織(レジスタンス)へ流せば 値万金 が転がり込むぜ…」

スカラベ=ドルフ「…ここは親方に相談して慎重に事運ぶによって しばらくは 緘口 やな」
エイネレイク「ああ ブリーズの兄貴に 宜しく伝えておいてくれ」
ラヴィーザ「盟邦逓信台 リークレッティ国幹シェイ=ラァ枝令部 か…何か 楽しくなってきたぞ おい?」



数日後…
スカラベ=ドルフ「…と まぁ 詳しくは その部舎の統括にあった保寮所を 民間に引き取らせ そこに住んでるって 訳だったわいな…」
エイネレイク「そうか…しっかし 准導師の給金で よく そんな 高級な所に住めるよな」
スカラベ=ドルフ「そやそや 更に調べあげると 彼女の親父さん ジークマイト衣料商会専属の図案家(デザイナー)らしーで」
ラヴィーザ「あ あの腐れ金持ち集団なら 納得」
エイネレイク「じゃ あの央服は売ってたのかよ(笑)」

ラヴィーザ「まー よーく 考えたら あの嬢ちゃん が
懲々(ゴリゴリ)の 軍服で そこらを闊歩しながら
『祖国の存亡はこの戦いにあり!!』
とか 云うの 想像してみイ?」

エイネレイク「…ぷっ」
スカラベ=ドルフ「…クク」

一同「ひー !!ありえねー!!!」


その噂の広陵の途中にある
元 枝令部の 兵寮 であるはずの施設にして
現 枝令 本営 にて

シェイ=ラアの宮殿 及び 街並みを 豪奢な窓から見下ろしつ
淀む漆黒 に 黄金の刻印(エピタフ)を拵えた 戒鎧 を胸に
豪毅 と 酷烈 の氣迫を外に 装(よそお)いて 妙歳 帯びたる噂の少女は

ラチェイシャ(……現在も 可及速やなる 極判の執隕(ディスカノール)を 投下すに 弭(はず)合いの地点(ポイント)を保持中に 変わり無し……)
と 国家 いや 大陸全土の存亡に拘わる重大を 怜悧 して 無縫 に 云い放った


第七番 栞吟



第八番「サマリオネア悲話」

廃神暦 3152年 
陽気地中染みる節
シェイ・ラア魔道学院にて

ディアン「単式大地門 道師 エイネレイク=リートよ」
エイク 「はい 我 エイネレイク=リートは
大地門が導師たる ディアン=エクサーリィの前に」
ディアン「うむ して 道師よ 我が書き記す
大地門指導書Vの冒頭第9訓項の写しを述べよ
エイク「はい それは 我ら複式大地門は
鉱属召術とは同土が舟中にありても
我ら召訣と卑なり式と知るものなり と」
 ディアン「うむ それは 鉱属は負の性に傾く
因の界律足りえるに 交える事を禁ずるからである
しかして 我ら眷戚 精石属 と一隔たる業為り姿も
己の複式大地門が召導の使士として
それを 知り諭すことこそ
複式導士 エイネレイク=リート の宿であると
我号 導師 ディアン=エクサーリィが使命する
道師よ 使命の答辞を 吾がが前に掲げ示し
それを単式大地門が師の号 準導師 として
汝の名の前に乗結させる卒が約定と同じにす」
エイク「はい 我 エイネレイク=リート
しかとこの約定 承りました」
ディアン「うむ 行くがよし」


エイク「……てな訳で 俺は北西峰ベトラスのサクソニアへ旅に出るから」
ラヴィジ「ふーん、そうかいな。じゃ、しばらくサラバだな」


学院の掲示板に
導師ラムリィが サマリオーネ公国サマイア薬湯殿に
手紙の配達の仕事依頼を掲示
リリィ、これを引き受ける


サマイアの薬湯殿にて
陽門導師格 治湯薬師 アルファム「(手紙を呼んでためいき)はぁ ラムリィ殿なら
あるいはと思ったのじゃが……」
リリィ「では、これにて」
アルファム「・・あっ、ああラムリィ殿によろしく伝えておいてくだされ」

ラヴィジ 大盗賊 マホロバの陣営下の酒場にて
ラヴィジ「ヤバクてもいいから、儲けのイイ話ないか?」
親父「あるぜ、とびっきりの金蔓が」
リークレッティ王国の王子が三日前
南の偏狭の森にお忍びの狩りに出かけ
紫蝕腐尸化した触人鬼に首を噛まれて昏睡
サマイア薬湯殿で集中治療
このタイプはかつて 自力治癒した例も稀で
陽門系癒精霊の召訣による療法も
進行を止めるだけで精一杯
その結果 紫蝕 が全身に回らないように
全身凍眠 を掛けて一時処断したという
よって今朝
効き目のある方法を公布募集
情報提供 千G
成功報酬 二十万G相当の宝石
偽情報  打ち首
シェイ・ラァの城下に一勢に掲げられたという訳

親父「だから、陽の精薛人を一人、里からかっさらって、そいつの肝の……」
ラヴィジ「わかった、ありがとよ」

酒場をでて
ラヴィジ「ふぅ、もう首縄の連中しか、狩れないのはツラいよな……」
ラヴィジ「ま、あいつはそういう噂に敏いから、なんか掴んでるだろう」


香料売りの天秤を担いだ大きな麦わら帽の男
封筒を取り出して
「百G」
ラヴィジ「げ……まぁいいや」と財布から銀粒を出す

サマリオネアの実
陽の精薛人の里 ミク
とある山にある花の実
しかし収穫期が不定(ここ四百年 収穫なし)


ラムリィの執務室
ラムリィ「ごくろうでしたね、では約束の報酬です」
リリィ「(受け取りながら)なにかあったのですか?
アルファムさん 肩を落してましたけど」
ラムリィ「実はリークレッティ王国の王子タイロン殿下が、
紫蝕腐尸病と云う。重い病にかかりまして」
リリィ「ああ それで、導師に相談してきたという訳ですね」
ラムリィ「ええ、しかし、
その病はかなり重い触の病気でして、
私の思うところでは処方は
……ないとしか言えなくて、
申し訳ないという返事を・・」
リリィ「そうなんですか、それでは何とも言えないですね……
じゃ、また私に出来るような事がありましたら気軽に声かけてくださいね」
ラムリィ「ええ、ありがとう」
リリィ退室

そして第三東通路を通る際
リリィ「導師のあの様子。
なんか、引っかかるな……」
とそのまま第二院舎の入り口に入ってゆく


フレスディルス「……まったくワシがあたかも、なーんでも知ってると思っとりゃせんか?」
リリィ「そりゃ、導師は心門の導師にして永遠のヒマ人、フレス老であるからして」
フレスディルス「こりゃ、こりゃ」
リリィ「おまけに幻門にも秀で、その追憶幻像のおかげで、我が学院の落し物、発見率は他の学院の追随を許さぬとか?」
といって
リリィ「ここにある人の羽ペンがありまして、この人の過去の書いた手紙の内容を知りたくて……」
フレスディルス「フーン、この時点で主は泥棒なのじゃが……」
といってリリィを一瞥
フレスディルス「まっ、誰にも感づかれてないようじゃから、(といってペンを持つと)……フム、ワシの気が変わるまでは、主の調子に乗ってしんぜよう」
リリィ「はい。いつも、すみません」
フレスディルス「まったく、すみません なら済みはせんわい……(と ペンを一瞥)ふむ、主の知りたき事の答えを導くに近きもの……それは、陽薛族の里 ミクにすむ、サナリアード=リーケンティなる陽光の精薛人……やも、しれん」
リリィ「ありがとうございます」
フレスディルス「あいや、まて!今回のキーワードはサマリオネアの実、じゃ……」
リリィはフレスディルスを一瞥し
 こくり と頷くと ドアのノブに手をかけた

ばたん

と大きな音がした
そして フレスディルスが
大きなマホガニー製の机の前に
又大きな座椅子に深くも

ほほ〜ん と

腰掛けでいるが

「さて」

と立ち上がると同時に

こんっ と

一つの賞状立てが
頭上に落ちた

フレスディルスの動きは
一瞬
停止した



「お?
差し歯は
洗面台 じゃあ〜」

と一つ 嘆息した



ラヴィーザ
陽の精薛人が里の果樹園を片っ端から荒らす
雌花山の入り口に仕掛けられた
脱力結界網に掛かり捕縛
ラヴィーザ「さすが陽薛族の村、結界が半端じゃねえな……」
里の見張り小屋の牢屋に連行

ラムリィ
姉 サナリアード・リーケンティ
ミクの里長
山にある雌山の卵実を管理
リリィ「すみませ〜ん」
???「(微笑を絶やさず)はい」
リリィ「重要でミクの里長に会いたいのですけど」
???「(微笑を絶やさず)はい、私ですけど」
リリィ「おや……まぁ。コホン、では、里長にお頼み申し上げます」
サナリィ「(微笑を絶やさず)ええ、何でしょうか?」
リリィ「じつはサマリオネアの実について
お聞きしたいことがありまして」
サナリィ「(微笑を絶やさず)おや、それは如何した事でしょう?」
リリィ「はい、それはリークレッティ王国の大事にかかわりもする、
一人のお命の問題でして」
サナリィ「(微笑を絶やさず)まぁ……それは 
ここでは何でしょうから
奥の方へ……

村人「長、変な奴を捕まえたのだが」

ラヴィーザと遭遇

リリィ「まったく、あきれた」
ラヴィーザ「だってよう、サマリオネアの実のこと、ここいらの奴に聞いてもみーんな知らんって言うんだぜ、だからそれらしいものを、全部もって帰ればよう……ついでにキラキラ光るものあったんで・・つい……」
リリィ「ますます、あきれた」
サナリィ「(微笑を絶やさず)では、この里のものをすべて返して下されば、
サマリオネアの実について話をいたしますが……」
ラヴィーザ「OK……乗った」
リリィ「やれやれ、調子のいい……」

サナリィ「(微笑を絶やさず)
では
サマリオネアの果実とは
このミクの里の向こうに見えます
サマイア雄山、雌山と呼ばれます
双子山の中間に位置したマササ盆畑に
雌山より採りました
レー=サマリオネアの黄色い卵実を埋め、
雄山より摘んだ
アー=サマリオネア水仙の青い種雫を
垂らし実らせた青い果実のことを言います」
ラヴィーザ「ふむふむ」
リリィ「……ん?じゃ、
えーと・・あっ、話を続けてください」
サナリィ「(微笑を絶やさず)
サマリオネアの果実は その純潔性、故
マササ盆畑にのみ
青い実として 実らない上に
そのまま里から降ろすと 黒く腐食しますが
過去 その 干した蒼の実を
里から持ち出した人がいたらしく
人体に軽く回った程度の触素なら
干した実であったとしても 十分
効果あったと聞いています」
ラヴィーザ「大猿鬼には無理ってか……」
リリィ「木門 即乾干果 と言えば……」
ラヴィーザ「へへーん、得意技だ」
リリィ「さすが、かっぱらい」

サナリィ「(微笑を絶やさず)
しかしまたも 問題がありまして
ラヴィーザ「なんだよー」
まず 雄山の管理者
それはシェイ=ラァの陽導師ラムリィ…
私の妹ですが
彼女は 陽光の守護精獣 
雷鬣二角馬バイ・コーンを山に住まわせ
その誇り高き精獣は 心無い侵害者から
山の安全を守っている
と いう訳がありまして……」
ラヴィーザ「なーんだ、
これは人助けなんだから
導師に頼めば 簡単なことじゃん」
リリィ「……いい返事は返ってこないと思うよ」
サナリィ「(微笑を絶やさず)それも御承知でしたか……」
リリィ「いえ、理由までは知らないですけど…
…あっ私の事情の方が後になりましたね(笑)
実はシェイ=ラアの王子さまが
紫蝕腐尸病という病に倒れたことを知り
サマイアの治湯薬師さんが その処方を知るために
ラムリィ導師に相談されたのでしょうね
そして導師は 現状では処方がない
と返事の伝書を出されたという事で
私は導師の伝書を
サマイアの治湯薬師さんに届けた所以にあり……」
サナリィ「(微笑を絶やさず)王国の未来の為に、
あなたは行動を興した、という訳ですね?」
リリィ「はい、シェイ=ラァの召訣道士として」
サナリィ「(微笑を絶やさず)……全て、承知しました
ではあなたはは?」
ラヴィーザ「国の公募で知った」
ラヴィーザ「後は金が絡んで、みての通りさ」
サナリィ「(微笑を絶やさず)……なるほど、では
これからどうします?」


リリィ「……現時点においては、その雷鬣二角馬に……」
ラヴィーザ「ナイフを突き立て」
リリィ「……ことの次第を申し立て」
サナリィ「(微笑を絶やさず)彼は国家の事情と云うような、
人心は解してはくれないと思います」
ラヴィーザ「獣だからな」
サナリィ「(微笑を絶やさず)はい」
山の守護者だからですけど・・」
リリィ「はぁ、事は大事ですし、止むをえないようですから……」
ラヴィーザ「ヤるしかねえなぁ、二人で……」
リリィは ラヴィーザ 
そして サナリィをみる
ラヴィーザ「そうだろ、あんた等。万一、
霊験を積んだ精獣の苦悶の血を浴びちまう
これがどんな後にどんな呪いを受けちまうか
ガキでも知ってることだもんな」
リリィはサナリィをみて
サナリィは微笑を絶やさず

こくん
と頷いた

リリィ「……じゃ、私は個人的に
血生臭いことヤだから
必要以上の殺生をしないこと
を約束して、いい?」
ラヴィーザ「ああ、よろしくぅ」



ラヴィーザ「おっ あそこみろよ」
と 滝の中から二本の角をもった馬が 顔を出し伺っている
リリィ「あっ・・では……あのー」
雷鬣二角馬「我ハ タキノモトモリ ト云フ雷鬣二角馬」
リリィ「あっ、どうも私はリリィと言う人間です」
雷鬣二角馬「デハ、人間。我ガ口ニハ
モハヤ人間ト交エル ソレ以上の言葉ハ無イ
後ハ 我ガ角蹄ニテ答エヨウ」
と雷鬣二角馬は猛ダッシュ
リリィ「心門-催眠支配」失敗
ラヴィーザ「ほーら、そんな甘いこといってると
やばいぜ」
と鞭を取り出す


雷鬣二角馬はラヴィーザへ

ラヴィーザ「…ぐっ」
リリィ「うん さすが」
暫く鬼ごっこ
雷鬣二角馬 木の上でも追跡が可能
リリィ「…あっ!」
ラヴィーザ「(逃げながら)まーそういうことなんだろ」

追い詰められるラヴィーザ
後ろは川
ラヴィーザ「ふぅ、ここで限界かな」

雷鬣二角馬 飛翔する

ラヴィーザ「嫌味な馬ズラ…拝むのはよぅ!」
と地面に手をつけ
ラヴィーザ『木の者よ 急いた背伸びをやめ
もとある姿に戻れ』
と地面から数本の蔓が出現し
ラヴィーザはそれを強く握っている
その蔓は様々な木々に くくってある事が解かり
ラヴィーザ、蔓を手放すと
一斉にゴムのように戻りをみようと
雷鬣二角馬に体当たりし
宙に舞い 地面に叩きつけられる

リリィは雷鬣二角馬に歩みより
リリィ「ふむ、気絶なら上等。じゃ、二角くん。今は、ごめんね」
と指から一閃の紅い線炎を召還し

すう

と二角馬の角の一つを切り取る
その角は 純白から灰色に変わる

ラヴィーザ「ん?」
リリィ「雷鬣二角馬は 人間を嫌うと言うけど
さすが高貴な妖獣ね……
ラヴィーザくんすまないけど
この角をもって 滝の下に飛び込んで」

ラヴィーザ「あっ なんだ……
そういうことか」

折った1つの角をもって滝の下に飛び込むと
角を手放すと
角の示す方向に水仙の花を発見
ラヴィーザ その花と摘み
花と角を掴みながら 陸に上がる

ラヴィーザはリリィに花を渡すが
角を眺めながら
ラヴィーザ「チャーンス……
うっ!!
?……!!あち、あちぃ!!!」
リリィ「……ほら、それも渡しなさい」
ラヴィーザ「なんだ、いったい?」
リリィ「私の意にそぐわない 邪心 が起こると
角が熱をもつように 呪文を仕掛けておいたの」
ラヴィーザ「ふーふー
この角なら めちゃくちゃ、高く売れるのにぃ〜」

ラヴィーザが手放すと角の熱はおさまる

リリィは 角を滝の水に浸すと
その角は 灰色から純白に戻り
その角を 横たわる二角馬の頭につける
リリィ「あなたの力は
また復活するから安心して」


作業を終え
ラヴィーザ「……で、いつ実がなるんだ」
サナリィ「(微笑を絶やさず)実は自然に成せば通常12歳瀬かかります。」
ラヴィーザ「……ちょっとまてぃ」
リリィ「やはり、それが
頭に引っかかっていたのよ」

サナリィ「(微笑を絶やさず)
はい
これが最後の問題ですが
サマリオネアの実の
いいつたえにはこうも……
その山守りし一族が
血を引くものなれば
命魂をば贄とし
その成長が糧とする処
小半刻にて芽は這い出て
木となり実をば一つを孵し、
実をも採るとすば
木も又即ち枯れ
土に還りし一つと過ぐる
劇果が術も道の一つ。
只 一つが命
洗い浄よめたいが為に
一つの命
犠牲とする処たれば
とあります」
そして
サナリィの手首からは 純白の流血
卵実を埋めた場所に
引き込まれるかの様に 注がれていく

「……」
「……」

サナリィ「(微笑を絶やさず)みなさん
あとのことは よろしくお願いします」
そして
サナリィは
リリィを
じっ と見つめる

「妹はあのとき
処方は知るが、
口に出来ないと
薬師どのに 伝えられたのです」

サナリィは徐々に消えていく
「(微笑を絶やさず)
最後に……
これを妹に伝えて……」
リリィは
はっ
と気が付くと一つの幻燈石を出す
サナリィは石の表面を親指で擦り
二、三言を石につぶやくと
にこり と微笑み 
霧となって散った



リリィ「……」
ラヴィーザ「……くっ!」



リリィ、ラムリィに幻燈石を渡す
サナリィの幻像出現
サナリィの幻像「愛しき妹よ 
我ら陽光の精薛族の本懐
他が希望が為にあるこそ我らが霊命
だから貴方は
私の分まで
陽光ひかり祝福めぐみ
受けて生きて……」
といって精泪石は砕ける

ラムリィ「……解かりました
貴方にはいろ……色々
お世話になりましたね」
リリィ「・・いえ、では……・」
とリリィは早々と引き下がる


大金袋を受け取り、城から出てくるラヴィーザ
「しかし、たかが国家とやらの為に捧げるほど、
個人の命は軽いのかねぇ……」
腕を組み待ち受けるリリィ 
ラヴィーザは口笛一つ吹いて
袋の一つをリリィに放り投げる
リリィ袋を受け取らず 
その前で落ち リリィは立ち止まる
リリィ「それは、サナリィさんがしなければ
導師が身代わりにした事だから……
サナリィさん、導師がより
陽光の精霊の恵みを受け
多くの人の命を救う力が あるから 
そのためにも……」
と組んだ腕を降ろし 視線を下に落とす

ラヴィーザは歩き出す
そして リリィとすれ違う

ラヴィーザ「……そういう、
自己犠牲って奴
永遠に
解かりたくないから」

と 一瞬 空を見上げ
また
沈む夕日に向かって 歩いていった



第八番 栞吟




第十番「闘いの群雲」

退神暦 3152年 
光気立つ節
シェイ・ラア魔道学院にて


グラニード「……ということで この例にも解かるように
 陰門の習得こそ 風 雷 鉱 海の各門と同じくして
 四季門 木 火 土 水 の要を
 会得しなければならず 複合門 としての
 質を問われることにはなるが 
発源は 夜が精霊リリアム 昼は物影ダルグィン   と
月光の・・」

ここは陰門の研究室横の講習室
壁の説教師とアダ名される
陰導師グラニードの講習を左耳で受け流しながら
エイクの視線は窓の外の木門の講習が一つ
 樫人形 の創造と使役の実習にあった
その瞳は
数年前の自分を重ねているのか
面白興味 深くといった所

樫の棒を十字に重ね 実のついた稲穂で縛った材媒に
己の血で書いた木門の紋章札を 髪の毛を巻いた石釘でさし
ラヴィーザは
『樹に連なるものよ 枝のものよ 
我が風火を帯びた骨肉を 鍵となし 
かりそめのものに 目覚めよ』
と招え 頭大の煙霧 が発し
思惑とは異なる人形が登場
それは 人 の形というよりか
いびつな 頭でっかちな いが栗球 を創造し
周囲を沸かせる
「いつも 思うけどよう 無理に
人型にさせる意味が解からねぇ」
ととぼやきながら
『我が息吹を再び』
と今度はまともな
小さき自分が似姿の人形兵が現れた
上師ディアンは言う
「じゃ、命令を与えないで 
今 この場所から 詠召無き疎通のみを使って 
あの塀の上を渡らせながら 学院を一周させてくること」

徒党は塀の上に向かって人形を投げる
人形は皆 
一部 危なげに 塀の上に乗る

一刻が経とうか 
生徒のあちこちで歓声が起こる
皆 憤慨 の表情で 辺りを見回す
ラヴィーザは何時の間にか 並び木の上に潜伏している

しばらくすると 縄でぐるぐる巻きにされた
ラヴィーザの人形と 
それを誇らしげに
しょっ引いてくる
いやみな天才 フローネの操る人形が塀の上を
どうどう と歩いてくる
その後 チョボチョボ 
と 彼女の従兄弟の
チェリオ の人形が従う
ディアン
「はい そこまで ……まぁ 皆も複雑な運動への訓練と
おもってくれればいいけど……」
と ディアンはブーメランを一投
助手のアンダーソンは地面にネットを
落ちてくる ラヴィーザ
ネットはそれをつかまえる
町から聞こえる時の鐘
「じゃ この時限はここまで アレ 以外は……」

とエイクも黒板の方へ向き直ろうとするが
何かに気付き また 校庭に向き返る

リリィが学院内に 炎武翔で入ろうとする 刹那
校門で炎の網にかかり爆発
リリィにとっさに対幕を張ろうとするも
真っ黒焦げのボロボロ
多少 火傷
次に 紅 革鎧の女戦士が 馬で登場
「ふん、どうせ合理的なあんたのことだから
 帰りも火だろうからね 
 あらかじめ 誘い球 を仕掛け
 発火前の霧油網を張っておいたのさ」
リリィ 起き上がりながら
「 流石 賞金稼ぎ屋さんだけあって
  狩りの仕方はお手の物という訳・・
でも もう授業は終わっているから
得点の加算にはならないわ……・」
革鎧の女戦士 せせら 笑いながら
「知っているさ……点取りお嬢さん」
と馬の腹を軽く靴の内で叩き 廓まで走らせながら消える
リリィも生徒玄関に向かって歩く
すれ違い様に妖しい二人連れの男達と遭遇

グラス  蟷螂のお面 黒套衣 隠し鎖鎌
イージス 蟻のお面 黒套衣 隠し長針

リリィ「何あれ?趣味悪……」

リリィの背中越しに グラス
フッ とそれは卑しい笑み



グラスのその一瞬の隙が
イージスの注ぐ
前方の警戒視線に対して
一歩 遅れる

校庭には黒い甲胄の男

一行は無言で通り過ぎる
校門で
イージス「今の男の死合いに入っていたな……」
グラス「ふっ 我らこの体である限り滅びとは無縁・・」
イージス無表情で
イージス「忘れるな
身体からだの進化 
精神こころの退化につながるや……」
グラス「留めておこう」
といいつつ額から一筋の奇妙な汗


玄関にて黒い甲胄の男
「幾つかの虫……
魂は……二矮……
物の数に非ず」

そして妖しい二人は道筋で
とある 氣の強そうなお姉さんに
手に持つ帳面を何か記しながらも
言い寄り小踊る青年には
氣にも留めず 只すれ違う

「だ〜か〜ら〜せめて 名前だけでも〜」

翌日
リリィに高度火門魔法 膨雷球スパークボムの研究の許可
念願の単門最高召訣道への研究も 実験壕の使用権はルカが先ということ
「導師 失礼ながら あの試し合いは結局 私の方が得点は上の・・」
リジェーラ笑いながら
「先ずは本当の闘いを知りな 壕 が空くまで
実践格闘訓練の許可 だしてやるよ」
リリィ「遠慮します あのハチマキがダサいから……」
リジェーラ「じゃ じかに額に刻んでやるさ」
リリィ「えっ……・いーーやーーーー!!」

実践格闘訓練
高等科の実施訓練の一つで
この訓練を受ける生徒は俗称「喧嘩上等」の鉢巻と呼ばれる 
ものを導師の許可する間まではめていなければならず
会得した精霊召訣道の実践訓練を希望する学院生が任意で
指定範囲外(時間制限)でこの鉢巻をしている生徒を見かけたら
精霊召訣での戦闘を挑むことを許可している
ご意見無用 高等科とは 更なる招法を追求していくもの
(役人 出世コースは 通常中等科を卒業すると別の学門に進む)
実施訓練そのものに 命の安全などないと言われる が
訓練を修め 院を卒業したものは 有名人 が多く
この訓練を受けられるのは学院でも実力者であると
認められたということである(素行はともかく)
ごくまれに自習と称してずっと鉢巻をしてる生徒もいる……

しかもこの刻印
「体武剣術も又上等……これ、最悪バージョンじゃない!」

食堂ににて
情報屋スカラベの知人
マホロバ=クロウ派、
義賊商人ウヌロスケスの息子カルバトス「……という訳らしい」
ラヴィーザ「(ナポリタンを大口に放り込みながら)ふーん、じゃ、さっそく版刷り屋のアナギロに、お祝いの
ポスターでも作ってもらうか……」

各一階の院生用掲示板に血糊風の飾り文字で
「火事場のリリィ 只今 喧嘩売り出し中」といった内容の張り出し 
またたくま 学院内中の噂

アンジェリナ リリィ 一緒に下院しながら
アンジェ「ふーん、まっ、ヌルい相手ばかりで
退屈してきたら私とバトルしてみる?」
リリィ「招法においては僅差の実力
無駄な消耗戦の末、最後には貴方に組まれ、後ろを抑えられると
締めを頂戴して終わりって所かしら」
アンジェ「……まったく……
あなたも、 拳技場 で体避くらいは習っておいたら?」
リリィ「私 そういう汗くさいの 好みじゃないから
窮地に追い込まれないよう 頭の方を鍛えることにするから」
アンジェため息一つ
リリィはアンジェと別れる

アンジェの得物は大きな半球笠鍔の刺剣

交差路 第三大広場
ラヴィーザ「掲示を見たぜぃ 
俺と格闘に洒落込もうじゃねえか?」

その頭上を炎武翔で通過

ラヴィーザ「……シカトとは面白れーじゃねーか……」

次の日
リリィ ベレー帽をかぶって通院 しかし
なんらかの招法を招えると帽子にも浮かぶ
リリィ「ご、極悪……」

掲示板の張り紙を剥がすリリィ
よっ と 軽く肩を叩き
沢山 張り紙を脇に巻き持っている ラヴィーザ
逃げるラヴィーザ 追うリリィ
リリィ 交差廊下でスパークと激突

スパーク「……お前を殺す」
リリィ「あ……え、えーと、さいならー」


その帰宅時
掲示板に「火を吹く女 あの スパークと対決」

リジェーラ「知ってる?スパークの逃亡者に対する必殺技を」
リリィ「そんなムサイ話、覚えにもないです」
リジェーラ「まったく……学院書見房に置いてある最新武闘者
書禄でもみておくといいわ」



ラヴィーザは あの肩を叩いた際
リリィの衣服に 追跡棘種 を仕込み
帰り道を 羽根タンポポで追っていた
リリィ ある建物の裏戸へ入っていく
ラヴィーザ「成程」
と一旦 退場
その夜
ラヴィーザ 湯屋の煙突に登り
ラヴィーザ「レンガ造りか……まったく上等、上等」
と穴の中に土門 砂化雲 の召綴文を込めた
 粘土 の袋を煙突の穴に放り込んで退却する

暫くして 
煙突が砂塵と化して 崩壊

リリィ 暫く 欠席


ここは陰門の研究室奥にある 見えない部屋
壁法師とあだ名される陰導師グラニードにさえ
氣配を感じさせない壁の向こう
暗室の中に紫色の魂が二つ
(只 天井には幾つもの配管が通っている)

「そうか 向こうがその氣なら あれは 斬られていたのだな……」
「はい」
「そして、私を直に呼んだということは、お前より実力が上でのこと」
「はい」
「……解かった。この件、お前は手を出さずともよい」
「……はい」
「……そして あれは
私の命を聴く前に 先に動いた という訳だな……」




馬車での帰宅 エイク
命 失せし語り人亭で
荷車で酒樽を運ぶ手伝いをしているリュイス リリィ(銭湯修理中)
エイク「それは稼ぎ生きるもの われ働かざるもの ・・か」


学院書見房(書物庫)
拳闘大会 青年の部 ハズギカンド辺境国代表
 喰人触鬼ゼクガ 殺しのスパーク
得意技 ストレート嘗底
    飛翔ラリアート(腕に光装武付加)

    腕が4つに見える
    高速「正拳釣瓶突き」+発勁
  
余談:逃げようとする相手に
   天誅彗星投げ(角を広げて背中に体当り
兜のクワガタ風の角で捉え 飛翔 
余った腕で相手の両腿を抑え込みながら 
脳天直撃の裏投げバックドロップ


リリィ「……汗臭さが漂ってきそう」


鐵拳館拳道場シェイ・ラァ支部にて
スパーク「おう、お前が顔を出すなぞ 珍しいな」
エイク「あの火ふき女とやるのか?」
スパーク「ああ、俺はあの屈辱は忘れもせんからな。
あれはフィク=イスカーナ市フラベーウ河川敷公園 
相手はフィク=イスカーナの精霊召訣語学院
総番ウェルダイナモとの決闘中 
熱中してとはいえ 俺の背中から奇襲し 
変な邪霊で踏み潰したあげく 
河へ放り落とされた 無念 忘れはしない」
(複合門の怒涛精霊バルゼルクの召還練習)
エイク「(笑いながら)たしか、その時 その女は「ふーん、良民の憩いの場でそんな物騒な武器を構えて 馬鹿騒ぎをしている人たちなら 頭が冷えて丁度よかった じゃ さいなら」といって逃げたらしいなぁ・・奴っコさん 覚えている様子も みえなかったぜ?」
スーパク「知ったことではない」
エイク「まぁいい、スパーク。それよりも、俺も最近平和なせいか闘魂が疼いていたんでな、……
と、いって例の鉢巻
それとも俺が相手じゃ(キュと結んで)退屈かい……」



そして帰り道  リリィの後ろ頭上で声
アヤメ「勝負」
リリィ「わっ ビックリした で あんた誰?」
浮遊している黒袈裟 黒小手 脛に甲を当てたロンググーツ 黒ベールの女
アメメ「鐵拳館才山派 タウベージ支部 師範格……アヤメ=デュリアート」
リリィ「略してアヤメさんねぇ。アヤメ、アヤメ、アヤ……・
まっ まさか、ここの 学院主席 の貴方が!!」
(注意:実力no.1のグラスが成績も一番とは限らない)
アヤメ「無論 私怨なきにして、
仕事上、故 逢って お命……戴く」
リリィ「はぁ?何よそれー?」
といった瞬間に目の前に肘鉄
リリィ「ぐっ……!」
まま 裏拳
リリィ「はっ・・!!」
まま 右裏襟を掴まれたまま
相手の左手で腕を摘まれ
ぶんっ と体が回転するように投げ落される
リリィ「!!」
地面に叩きつけられたまま 腕をとられ 
ぽき っ
リリィ「ぎゃ!・・ふーん」
リリィ 氣絶 アヤメ ブーツからナイフを取り出し
留めを刺しに首を狙いを定めるが

アヤメ「不覚!」
と煙幕で退散


時空の隙間から 手帖と羽ペン
シルバー「今度こそ、おね……あれ?ゲホゲホ!!
なんじゃ、こりゃぁ〜!?」


陽の導師 ラムリィ 教修堂
風の導師 シレーヌ も同伴


ラムリィ「具合はどうですか?」
リリィ「……ええ、有難うございます 両導師」
シレーヌ「私は通りがかりだけど 
貴方の目の前に
私と目が合うと「妖狐エルフは ゲンが悪い〜」
とかいいながら ぴゅ〜 と去っていった妖しい奴がいたから 
これは……と思ってラムリィの所に転送した訳」
ラムリィ「これは、例の訓練ですか?」
リリィ こくりと頷く
シレーヌ「ほんっと リジェーラリズの奴 この荒授業を周囲の迷惑考えずに
平然と発令をだして、どういう氣……」

リリィ「大業の積石 よく傾風に逢うものなり
当たる時も又 延劫は必試
といいますから」

シレーヌ「ふふ、いまの言葉 私に言わせれば
遠いとはいえない前の昔 かつて……」
いいかけて シーレヌは
「あ……っ えっと 名前は忘れちゃったけど
 私の知り合いから同じような事 聞いた氣が」
リリィ「まぁ これは 諺ですから聞くも珍しく
はありませんけど」
シーレヌ「あ…あ そうだったの 諺 ね……」

ラムリィ 「正しくは諺ではなく
 不浄の御剣 と呼ばれたあの方の語録だけど」
シレーヌ「(少し赤らめながらハイに)あっ……あらっ……しかも、あのお方の言葉だったの?」
ラムリィ「……コホン。ともかくとして、我ラムリアード=リーケンティは生命を守るものの銘として、今一度、この訓練が生徒の身を案じた内容に改められるまで、中止にしてほしいと願うものです」
シレーヌ「まぁ これが高みに等しき学生が宿門だからねぇ」
ラムリィ「私は反対です」
リリィ「(すこし苦笑い)私も嫌です……しかし、これを
超えないと 卒業も出来ませんし なにしろ
将来 今の苦労に似合った 格好良い役職に 
晴れて就くために ですから頑張らないと……」
3人は笑った

退神暦 3152年 
光気立つ節
ある水神を奉る祠洞にて


ミニヨン「いくら私に要があるからって この辺境くんだりまで
要職の二大尽が この 畏れの竜宮 にまでやってくるなんてね(笑)
ほら、貴方の姿見て平氣を裏返した巫女が、伏し転がってるじゃない」
クラフェット「……。誠氣が足らん」
ノービス「お主の性分 答えは一つ
地上のたわむれ 海が与公一同 知るよしに非ず
じゃが お前の銘がもつ 我なる水勢が剣命ある限り
その鬼魂 朽ちるまで斗い抜くは
憑翳撥流司柱が 極海 ウイル=ヘル=マイスターの定刻さだめじゃて」
クラフェット「フン 面白くはないが
お前が海では一番だから
そのヤりカタで シキるのは仕方ねー
だがよう、翳流の衆生、葉はともかく
幹がここまでヤワいんじゃ
もう その銘にぶら下がって連れる意味がねぇ
かったるいし もう バラけちまった方が いーんじゃねーか
ちゅー ことを 既に じーさんと決めてきた訳だ」
ミニヨン「ふーん
別に 陸上には興味が元から無いし
初めから眇方の召法ルーンとか
私達(苦笑)忌方の妖術ソーサルとかの拘り
私にはどうでもいいことだから
我らの砂域を踏み越えなければ 勝手に戯れていて結構」
ノービス「ふむ……偲えば 宗主グランマスタはおろか
天睨帥枝ディーパシスタさえ不在
嵐派ルバ 果派シドン の主幹ウィルシスタ も亡く、
主ら憑翳の中枢たる焔派 海派二柱の意行なら
宗が主芯 しばし地の根に散るがよいやも……」
ミニヨン「表面上でも平穏自体は結構
しかし その結がここにいる三人
が全員 ビル 側に付いてしまうとね……」
ノービス「人 それは 愚かにして歯痒い生き物
解かってはいるが ついぞ 
皺枯れし このお節介なる触手が出てしまうものだわい」
ルースレス「ち 暗黒は過ぎ 法治の時代来たれりって奴か…
解かっちゃいるが……あー つまんねーの……
じーさん 次の戦いの為に 活きのいい奴の育成 期待してるぜ」
ノービス「わしは お主と違い撥義イズナの内
乱世の技 梹義 は伸ばさず、治世の伎 材義 を育てるだけじゃ……」
マイスター「それは 平和にて上々」
クラフェット「益々 つまらん」
と 
招法の威
剣術の堅
拳技の敏

威は堅に克ち 
堅は敏に克ち 
敏は威より先に克つ掟
三巴法の妙より出でたる粋
憑翳撥流格闘義の法
余に云う 鬼技 妖魔が憑翳撥流の化法
その 飯綱(何銘)が参妖柱斗鬼王達は 
亦 周草と散っていった



第十番 栞吟




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