廃神暦 3152年 
光星霊ひかり 大地に降りる中頃
天が二つ月に最も近き沙漠にて

夕暮れの広野 砂塵を抜ける騎馬
独りの青年の横行
青年 辺りの景色を感慨深げに見渡す
青年「この星の大地すなは、夜になると銀色に変わっていく……イイね。
きみに かすかにちた 
 白金ぎんすな 
 泪夜よるに埋もれて 荒兵つわめねむれ』っと、言った所か……。
はぁ〜、しっかし、こう荒れ地ばっかだといーかげん疲れるな、
ちょいとここいらで一休み……って、えぇぇぇぇ!?」
馬の足下を観る青年 布に包まれた何かがあり
それを避けようとし あやうく横転しそうになる
青年「だー!!、いったい何なんだ」
布から長い髪が  こぼれて見える
青年「……。見なかったことにしよう」
風が一巻 布がめくれ
それがうつ伏せになった裸体であることが解る
艶やかな白い肌を持った 美しい裸体であることが
青年 馬から飛び降り 急ぎ背中をゆする
青年「しっかりしろ君。私と熱い恋を交わす前に、死んではいけない」
裸体 ゆらりと起き上がる
青年「…だぁ!お前は……」

夜 野営にて 青年 
毛布一枚の長い茜金髪の 青年 と向かい合い 田楽を焼く
茜金髪の青年 どこかしら覇氣のない虚ろな顔
青年「いやー、まいった。まいった。
この星に来るなりいきなり 沢山の魔道士くんに囲まれて
お前は絶禁魔界からの侵略者だ、なーんて言われちゃって、
派手な歓迎をうけちゃったよ…まったく、新調したばかりの服がだいなしさ」
ぱちぱち 
と弾けて焼ける木の音
茜金髪の青年 黙々と田楽を食べる
青年「しかし……なんで、お前がこの星に?……まぁ、お前も、ただもんじゃねえしな。」
茜金髪の青年「……お茶」
青年「わかった、お互いに抜駆けはなしにするか。
よし 俺は手前の街から攻める、
お前は向こうの街から落とすということで……」
青年「第四六次 ナンパ 大戦といこうか」
青年が言い終えると同時に 腰に下げている 剣 が 
がだがた 震える ピクッ と青年
青年「あ、ヤベ。こりゃ明日が恐いな」
といって茜金髪の青年に 苦んだ笑いをかける
茜金髪の青年 黙ったまま
青年 ごろり と横になる そして ぐーすかぴー 
そのあまりの寝付きよさに 茜金髪の青年は微笑う

(コノヒトハ ボクニ ホホエミカケテクレタヒト)

と たき火の中に布で包んだ何かを投げ
火は消え当りは真っ暗になる

その深夜
茜金髪の青年 スゥ とおきる
シルバーの寝顔を一別して
己の両瞼を閉じ

(デモ ボクハ……)

と 唇を重ねる



『ELEMENTAL TEARS 〜 双魂の守護者』 




 剣 に追われる青年
逃げながら
青年「そうそう、そのツラ構えの方がお前らしいぜ。
でも、いーかげんに 喧嘩 はやめて ナンパ にだけ精を尽くせよ。
……よけいな、お世話か……」
と 剣 の動きを見切りてかわし その柄を取って空間を裂く
青年「じゃあな コバルト 」
青年 空間の割れ目の中に入っていく
広野にはコバルトと呼ばれた茜金髪の青年が
一人 たたずんでいる
幾つもの時と 織重なる界を隔てようとも 常に
比色いろなき艶を
比険けんなき剣を背負う
 奴 がひとりで……


第1番「館の大掃除」

廃神暦 3152年
陽氣地中染みる節
始まりの女神 シェイ=ラアにて

ここはシェイ=ラアと言う城砦都市
古き言葉で 始まりの女神 を意味なす街
そして この街の朝
街中に学院の鐘が鳴り響き 街門は開かれ 
農作物を抱え大広場へ向かう人達
朝市の始まり
小半(30分)の刻 広場とは少し離れた奥の街道
何某男其の一「お嬢ちゃんよぉ、そっちからぶつかっといて あやまりもなしかい」
一人の少女 四人の破落戸ごろつきの男達にからまれている
新鮮な野菜や果物をつめた袋は転がり 男の一人 その中から転がった林檎を
ぐしゃり と踏みつけ
林檎の一つが ころころ と奥へと向かう
何某男其の二「それなりの態度ってもんがあるだろう」
おびえきった少女 僅かに顔をうつむけると 軽く腕をふるう
それは地の石精に訴え その石を高速で相手にたたき付ける精霊召喚術
見事 一人の男の鼻頭に適打 男 顔をおさえて一人がうめく
少女 その隙に走って逃げようとするが
別の一人に腕を捕まれ 後ろにねじり上げられる
少女 苦痛に表情を歪めるが 悲鳴はあげない
何某男其の二「俺達がたっぷりと礼儀ってもんを教えてやるぜ」
別儀何某「ちょいとまちな」
奥より 林檎を片手に近づいて来る少年
少年 足を止めたと同時に 男達に有無を言わさず指差す
何某男其の一「なんだ、おま……」
少年「チッチッ……細かいごたくは要らない、ショータイムと酒落ようぜ」
少年 男達に林檎を投げる
林檎は空中にて 光を発したかと思うと
 ぼん と煙をたてて割れ
中から木の根が幹が生え出で 林檎の根は男達に絡みつく
が すぐに根は切られて解かれる
少年「……だよね、成長させる呪文しかかけてなかったから」
何某男其の二「な、なめやがって」
と その声と同時に男達
うおお と少年に飛び掛からんばかりに向う
少女 すでにその存在を忘れられ
落ちた野菜や果物を拾うことにいそしむ
少年 にやり と笑い 魔法を招える
少年「が、さざなみも集まれば……こりゃ大変だってことで
植物イキモノに宿りし森の乙精女よ 
緑識おのれいのちを疾く促せ!』」
と少年が唱えると 周囲の全ての緑
結局は 袋に詰め終えた菜果全てが みるみる内に成長・増殖していき
その勢いは男達を押し潰さんとするもの
少女 頭を抱えうずくまる
男達 堪らず 肩をいからせながら
表街道に振り返って逃げよう と するが
今度は街道口より 火の球が飛んでくる
男達 いっせいに伏せる
女性の声
何某女「待ちなさい、君達!」
そして その火の球は化け植物にヒット
植物 めっちゃ めらめら
少年「おい、耐火呪語なんて掛けてねーぞ」
何某女「……… き ゃ ー い や ー 放 火 魔 よ 〜 」
と言いながら女性 退場
何某男達「てっ、てめえら一体 何なんだぁ」
 男達 捨て台詞で同じく退場
少女 唖然としていたが 現実に戻り
地面に転がった果物や 野菜を急いで拾い集め
袋に詰め……る物は 燃えている最中
少年「……んー、ちょっと、持っててね」
と やけに涼しげな口調で少年退場
少女 しばらく時を ぽつねん と過ごすが
火事という現状に目覚め 逃げるようにして表道へと駆け出す

ある小高い丘の上
シェイ=ラアの町並みを見つめる
黒い甲胄をつらぬき 白い長衣マントを羽織る者
街の中に一つの煙が上がる
風が 一つ
そして 一言
黒騎士「……。やっと町に着いた」


先ほど炎を投げた女性 近所の花屋から 桶を二、三借りて
今は人混みのある現場に駆けつけ 野次馬の一人の若者の衿を掴みつ
何某女改め炎の女「見てる暇あるんだったら、水!!」
と言って桶を手渡す
若者その場の勢いにて 広場の協同井戸へ
炎の女「そして、君と君と君!!」
と ぽいぽい 渡す
そして桶を渡された皆が皆 井戸に駆けていく
炎の女「……手のあ・い・て・い・る皆さんは整列!……君は……ここ!君は……ここ!!」
そして たたたたた っと
等間隔に井戸まで整列させていく

先ほどの少年 火事騒ぎで人を開けている出店にて物色中
向こうから人の声
何某青年「おーい、ラヴィーザ」
少年改めラヴィーザ「おう、どーした」
何某青年「向こう通りで火事があったんだって」
ラヴィーザ「ふーん、でも、こいつをみろよ。今がチャンスだぜ。」


先ほどの少女 とある一件の建物の中に入る
入口には『命失せし語り人』と西方の異国語で書かれた看板
店のカウンターにはマスター 風の妖精族
そして カウンター越しに マスターと話をしていた二十代半ばの美女
漆黒の長髪に涼しげな切れ長の目からのぞく
深い緑の妖しい輝きを宿した瞳 ややきつめの感じ
マスター「ああ、リュイス。おかえり、……んっ?」
マスターの喉に醜い傷があり
その為声が低く潰れている 少女の手話の始まり


カウンターの隅 めざとい物は特に何も置いていない
マスター「……そうか、でももう心配はないみたいだ」
と 入口のドアの波璃ガラス張り越しに外の様子をみる
火事場よりかえって来る 野次馬が引き上げる様子が解る
マスター「すると、今日の朝のメニューは……」
マスター 二十代半ばの美女の方をみる
二十代半ばの美女「いいわよ、私、ここに来ても紅茶
……まぁ半分以上はブランデーだけと、それしか頼まないから」
そして 窓に映るは ラヴィーザとその徒党
二十代半ばの美女「おや〜、あれはうちの学院の生徒じゃない」
テーブルを拭いていた少女 マスターと二十代半ばの美女を少し驚いた表情でみる
マスター「………?」
二十代半ばの美女「……なんか騒ぎが元の原因が解ったような氣がする。マスター、ちょっと待ってて」
と 足早に店を出る
しばらくして 店の外より二十代半ばの美女の声
二十代半ばの美女「おはよう、君達」
ラヴィーザ「げっ……お、おはようございます。導師ディアン」

場面は炎を投げた女性 すっかり現場は静けさを取り戻している
結局 化け植物が ごうごう 燃えただけで
少し隣の壁を焦がした程度の被害
炎の女「……ふう、これで一見落着っと……少し、喉かわいたな……
よし!あそこの黒糖粒泡酎ベリィコクハイを飲みに行こ……ってたしか」
炎の女「まっ、いっか……私 成人 しているし」
タタタ とかけていく炎の女
後ろから幾つかの影あらわる が その影は退いていく
炎の女「いっけなーい、それ以前に買物よ、カイモノ」

『命失せし語り人』亭の店内 客が結構入って来ている
ラヴィーザとその一味
床の上に正座していて 客の注目を受けている
何某青年「(小声)だから、この辺ヤバイって噂、さっき話しただろ」
ラヴィーザ「知らねーよ。ンな事」
20代半ばの美女改めディアン「はいはい、君達。よけいなおしゃべりはしない」
マスター「まぁディアンさん。この少年は、リュイスを助けてくれたんだし」
ディアン「いや、ちょっとこいつらは学院内でもすぐ揉め事を起こす、
問題児達でね(といってラヴィーザを指さす)」
ディアン「特に、こいつ。学院内の全ての事件に組しているという
位の大悪党で、今日だって、どーせ明け方まで……」
ラヴィーザ「まあね」
ディアン「……学院の上の方達も、あと一回問題起こせば、学院を追放するって言ってたし」
ラヴィーザ「だから、今回は俺、悪い事(後ポケットをちらり)……してないって」
ディアン「とにかく、あなたは崖っぷちに立たされているってこと、いい?忘れない」
ラヴィーザ「んなこと言われたって……」
ディアン 少し目を細める
ラヴィーザ「……ハイ、導師ディアン」
ディアン「ならばいってよし、ラヴィーザ以外」
ラヴィーザの連れそそくさと退場。それを見届けてラヴィーザ
「まだ、なんか用ですか」
ディアン「うん、これは私事なんだけど、ちょっと頼みたいことがね」
ラヴィーザ「俺に拒否権は」
ディアン「もちろん、なし。で、要件というのは、前々から引越しを考えていたんだけど、
最近、いい物件が見つかってね。
早速、午前の講義が終わり次第、手掛けようかなっと思って……だから、手伝ってほしいの」
ラヴィーザ「俺、午後は導師が担当している以外の教科も、専講しているんですけど」
ディアン「あ〜ら、じゃ朝から働く君は一体、何時、睡眠をとる事が出来るのかな〜」
ラヴィーザ「……解りました。今日は 貫徹 のつもりでがんばります」
ディアン「あっ、君一人じゃキツイでしょうから、友達を連れてきていいわよ、
もちろん、その子達には給金払うけど」
ドアの開く音 炎の女 入場
ラヴィーザ「おや〜?」
炎の女「まぁ」

カウンターの隅 大きな買物袋
そして その隣に分けられ置いてある菜果一式
場面は六人用のテーブルコーナーに座った一行
炎の女の側にリュイスが近づいてくる
リュイス それは  あのからまれていた少女の名前
炎の女に軽く会釈してグラスを下げる
炎の女 リュイスに微笑んでから 壁の柱時計を一瞬見
そしてリュイスをもう一度見て
炎の女「……もう、こんな時間だということを知らせてくれたのね……
ありがとう。けっこう、長い話になってしまいましたね。
えっと……いいですよ。私も今日の受講は午前中のみですから、お引越しを手伝います。」
ディアン「私も高等科の才女、リリィさんが付いてくれていると安心だし」
ラヴィーザ「けっ」
ディアン「(後頭部をべしっ!!)じゃ、またこの店に、ね」
と その時 扉が勢いよく開かれる
一斉に店内の視線がそちらへ集中する
入口に立っているのは七人
先頭に立っているのは巨漢の男で三十代中ごろ 威圧と風格が備わっている
周囲の客による科白セリフの応酬
何某客其の一「ザジルだ、あのザジルだぜ」
何某客其の二「悪名高いザジル一家の頭領かよ」
何某客其の三「何しにきたんだこの店に」
何某客其の四「あいつににらまれたらもうこの街じゃ暮らしていけねぇ」
何某客其の五「かかわりあいにならないほうがいい」

ラヴィーザ「あら〜?」
炎の女改めリリィ「どうしましょ」
ディアンが疾く ザジルに目をやる
ディアン「あら、ザジルじゃない。貴方もけっこう趣味のイイ店を知っているのね」
あわてるザジル
何某男其の一改めザジル「こ、これはどうも導師。
いや、その……あっしはそこのガキ達に恥をかかされた、手下のおとしまえをつけに……その」
グラスを揺らしながらディアン
ディアン「へぇ〜、それは、私のさわやかな朝のひとときをぶちこわしにきたってことになるかな?」
両拳を口元に当て
ザジル「え゛っ!」
ディアン「ザジル、この人達は私の知合い、なのよ」
そのまま後ずさりながら
ザジル「いや〜ど〜も導師。今日はこの辺で……さいな〜ら」
と ザジル達退場
ラヴィーザ「あいつらも可愛そうに、一人の 酔っぱらい に 組 を潰されかけたんだもんな……」
リリィ「かっ……かっこいい」
ディアン「じゃ、そう言うことでヨロシク!」

市場も終了の刻 ぞろぞろと人が引き上げている中
『床屋 兼 歯科』という プレートを掲げたテントが残っている
中にはベールを被った女性
太古の原語で 示沸肉 と書かれた 妖しげな壷を床におき
髪の毛 歯 コップ一杯の 赤黒い液体 砂金を入れていく
そして 手を突っ込み 
その 底 に張り付けてある 封呪の札を外すと
中のものとかき混ぜ溶かす
女性は壷から手を取り出し
今度は上着のポケットから ガラスケースを取り出す
中には虹色に光るなにかの幼虫が入っている
それを壷の中に入れると
ぐにぐに うきょうきょ 
と壷の中から 肉塊 が湧き出てくる
その肉からは血が吹き出て 骨として現れるが
すぐ肉の中に埋もれていく
やがて 黒き鉄の塊が肉の中から現れ 肥大していき
その肉を外から包みながら
甲胄を鎧う 奴 に形取られていく
と 女性はその場に倒れこみ口から白い
もやもや とした何かが出てきて 奴 の中に入り込み動き出す
 奴 は辺りを見回して 椅子の上の掛衣シーツを見つけるとそれを羽織る
刹那 シーツは鮮やかな 純白の長衣マントと化す
 奴 は出口に向い歩き出しつつ 去り際に少し足を止め
倒れている女性を振り向かずに
 奴 『かれだろう、しばらく眠ってな……(字幕)』
と 無言で出ていく
 奴 「おかしーな、声が……出た」
と その場に付け加えて

シェイ・ラア王立魔法局助賛精霊式道呪鉤語学院(俗に魔道学院)
専攻課程中等科 修学期間1年〜最高7年
修学資格 国に認められた庶民階級以上の成人の儀を終えた男女
又は 初等科課程一定単位修業者
 本格的な 魔道 というのは一般的に中等科以上のクラスを差す。
修得講義はそれぞれ五つの門(風・木・火・土・水)によって教室が違い、
道士と呼ばれる生徒達は自分の必要な単科を決め
自分でスケジュールを組んで各教室に足を運ぶ。
導師とよばれる講師は学院に各門につき一人いるが大抵、数人の助手がつく。
同時に、魔法物理学の講義も行い、魔導法則を理解し
さらなる応用、高等科に必要な知識を蓄える。
普通は、この課程を終えると卒業となる。
この課程を修業した者は道師(正式には単道魔術師)という庶民階級の 役人 の称号を得られる。

時は移り昼休み 学院の廊下の一角
ラヴィーザ「この通り、エイクちゃん」
何某青年改めエイク「………。俺も、タダ働きになるんじゃないのか」
ラヴィーザ「そりゃ心配ない。あのオバさん、目ぇつけてるの俺だけだから」
エイク「そうか……家具の搬入出無しの掃除だけなら、銀貨三百枚、悪いバイトじゃないな」
ラヴィーザ「んー、ありがとー(抱きつき)」
エイク「わっ、バカ!!」
ラヴィーザ「フッフッフ……二人がかりなら、あの女を……」
何某少年「おーい、学校下の交差路で妖魔が出たんだってよぅ」
ラヴィーザとエイク「ぬぁにぃぃ〜!?」

シェイ=ラア魔道学院
選択科目 魔道心理学(心門)
導師 フレスディルス 愛称 じじい の庶務室

じじい「ほっほっほっ、
その館、噂ではいわゆる幽霊屋敷とよばれておるぞよ。
なぜなら、そこに住んでおったカーパディア子爵は、
裏で 外道魔器タブウ・アイテム の密取引をしているという噂があってのぉ、
ある日突然姿を消してしまったそーな。
その取引相手先があの 呪殺会 の残党らしく、おそらく……」
リリィ「万が一のため、 処理 されたと」
じじい「(暗闇の蝋燭で じじい の顔アップ)うむ」
すると廊下で がやがや
リリィとじじい「ん?……クンクン……トラブルの にをい が……」

朝市の行われる 例の交差路の広場 野生の羽ペン 通りで
吸精蝙鬼ヴァンピブスが暴れているとこに出くわす

ラヴィーザ エイクのローズウィップ
さらに エイクの鞭は葉が鋭利な刃物となって妖魔を襲う
しかも 飛距離がラヴィーザより長い
ラヴィーザ「さすが、一年先輩って所か……」
低空飛行で通りの人混みをかいくぐり逃げる吸精蝙鬼
追う刃葉の得物ジャックリーフ
はるか向こうに黒ずくめの騎士風の格好をした 奴 
エイク「そこの御武家さん。その妖魔を止めて下さい!!」
 奴 と吸精蝙鬼の間に道を開ける人々
吸精蝙鬼 かまわず突進
 奴  剣を ゆらり と抜き 吸精蝙鬼めがけて横一閃
吸精蝙鬼 頭を抱えてそれをかわし そのまま奴に激突
奴 ブッ跳び 吸精蝙鬼そのまま逃走
エイク「ちっ、見かけ倒しか……」
といって 奴を飛び越えていく
ラヴィーザ「役立たず」
と 奴を踏みつけていく
しばらく ケイレン している奴
復活して起き上がろうとした
その刹那
炎を見に纏って爆走中の リリィの煽りを食らい 
きりきり まいまい
仮面の下から鼻ヂを出しながら 奴 の科白セリフ
 奴 「摂取率 0.0625%……」

場面は代わり 吸精蝙鬼をコテンパンにした御一行
衛兵「この街は岩砦で囲まれているから、怪物が現れる訳はないんだが……」
エイク「ふぅ、いい小遣い稼ぎになったな」
ラヴィーザ「おっ、このムラのある火力は……
あの ねーちゃんがこっちに向かって来てるな、でしゃばり年満が……まっ、都合はいいか」
リリィ「はいはい君達、忘れ物ですよ」
と 縄で縛られた吸精蝙鬼達を放り投げ
リュックから ぶ厚い書典を取り出し
リリィ「この妖魔・・・要、チェックっと」
と何やら書き加えた

酒場にディアン
ディアン「さあ、行きましょうか」
所持品 たわし、雑巾、ほうき、はたき、洗剤2種類(混ぜるな危険)


宮廷直下の御殿通りには 直参の上位貴族の屋敷があるのだが
ガパーディア男爵というのは元々地方の豪商で
いわば 金で貴族の位を買ったようなもので
住居は商工人同等の居住区にあった
そして その居住区の中でも特に人氣の亡い
最東北部に位置する山岳部にあり
彼のうさんくさい噂に輪を掛けていた
と いうのも彼には 例の呪殺会の残党疑惑や
北方の海洋の群島に居をかまえる海賊を手引し
密輸や密入を行っていたという疑惑も噂されていた
たしかに 外洋未開拓で未だ沿岸貿易が主流の現在
海商を行うにしては船底が高く 
運行人数も多く 大砲を異様に積み
まるで 軍艦の様な舟を何隻か港に止めていたのは事実だし
棚屋であるならまだしも 私物である住居自体が
山向こう隔てれば湾口にそう遠くはない場所に立てられている

そして今 このいわくありげな建物を 一台の馬車が訪れている
車は止まると後ろドアが開き ラヴィーザとエイクが降りると
前ドアからリリィとディアンが降りてくる
「これよ」
風なびく長髪を押えながら ディアンは屋敷を指さす
屋敷の壁はひび割れ 蔦はそれを覆い隠す様に生えている
築十数年は経過する古びれた館であった
しかも 辺りは開拓の計画も進み だいぶ開けてきたたらしく
真新しい物件が ぽつりぽつり 建ち始め
この屋敷だけが妙に浮いた光景となってしまっている
ラヴィーザは(新しい家がこうしてわざわざ建っているのに、
こんなの買うなんて……やっぱ このおばさん うさんくさい 魔女 だよ)
と口に出さず 心にとどめる
門扉は錆びれ 鈎もかかっている様子もなく風で カタカタ 揺れていた
敷地内に入ってみると 水巻用の噴水には苔がまみれ
立ち木や植え込みも野生化しているのが解る
一行はそのまま進み 石造りの玄関前まで来ると
ディアンはポケットから ホルダーの付けられていない鍵を取り出し
ノブの下にある鈎穴に差し込んでノブを押す すると 
ぎいい と扉の少しきしむ音がした後に 扉は開かれた
中から少しなま暖かくいやな風が差し込んできて
ディアンはそのままノブに手をかけながら
ディアン「人が二年も住んでいないと、こうも変わるものなのね」
と いいながら中に入った
ラヴィーザもそれに続こうとしたのだが
ディアンの声「わかった、ラヴィーザ?これが、自然な緑の精霊エントの力なのよ」
と中から聞こえてくると
ラヴィーザは さも つまらなそうに
ラヴィーザ「はい、生きた教材として胸に焼き付けて置きます」
と 言葉を返しながら建物の中に入った
リリィは そのやり取りを聞いて プッ と笑みをこぼしながら入ったが
エイクだけは 暫く屋敷を観察し
エイク「まったく、主屋根を円井になんてすんなよ…
…実家の 杜殿ヤシロ を見てるみたいだぜ……」
と 一言吐き捨てて立ち入った
玄関口は吹抜けの大広間になっており
画廊や美術品の陳列場になっている所が いかにも貴族のソレであった
そして ガパーディア男爵一家の謎の失踪より
まったく手付かずのまま公営競売会オークションにかけられ
ディアンが学院預かりの積み立て金の範囲内で落札したのだから
そのいわくの事を考えなければ 結構な買得物件である
その美術品の中には 宗教史学の教材として高い作品もあり
得にみなを驚かせたのは天井一面に古代紀
時にして五千年は前の出来事と言われている
聖魔戦争『黒天決斗』の波璃モザイク画が描かれている事にあった

それは歴史を遡ること始源の時代
幾星の王として天に君臨し
良人おっとたる陽光ひかりの星霊 太羅ティラ と共に
いきある大地と体ある生物を創造するも
或る突然の狂氣に触れ 太羅を大地の底に堕としめ 
暗黒やみの時代を歩ませた月光かげの星霊 真魔 
その暗黒の時代の中 昼の再来を掴み未来を望もうとした
古の聖人達の群魂で創られた盟主 霊人皇 
霊人皇は天上の真魔に挑みこれに打ち剋ち
魔王の霊魂を月の中へ封じ その影響力を押さえると共に
地底の太羅を再び天に擁し日周期サイクルを復興させ地に陽光をとり戻させた
一方 地では生物の霊長 人類ヒト を統率し 封建国家の祖を構築し 
現代まで その歴史は紡がれてきたと言い伝えられている
これは その栄えある英雄と真魔軍団との戦さぶりが描かれているものであり
かつて 歴代の宗教画家達が この逸代の聖戦の再現に挑んできたが
みな霊人皇に対し多少 誇大妄想的価値観で描いてある為
かえって俗貧に見えるものばかりだったが
これほど万の鑑定家も一致納得させ得る氣を興させる様な
真実味が浮き立った大画があっただろうか
幾万の兵数におよぶ魔の兵団 その頭領 真魔は
人の霊魂を 暗黒やみ に落とす悪鬼と言えど
畏れ多き 太陰つき の大王
その面猊には才と色を漂わせ
周囲を取り巻く閣僚の駄言の中 眼孔は只独り霊人皇だけを凝視する
そして 太陽の神とまごうほどの黄金の威光をおびながらも
魔の兵団を孤軍ひとり で立ち向かい
幾万の傷をおびる霊人皇大君も 亦
久遠の彼方に座したる真魔だけを猊みすえる
この天井を埋める大群の中
中央に位置する黄金の奮雄はともかく
絵の隅方で雑列にまみれるも
見る者全てに 魔王 はここに イル と直感させる
やみ と云う面妖にして了魅の存在
それは 正に平面を超えた 現実の反映の君臨世界であった
ラヴィーザ「すげえな……」
芸術の世界とは明らかに縁のない様なラヴィーザさえ息を飲む
リリィ「これが、ガラス細工の作品なのでしょうか、絵の様に細かい……」
リリィもそれに見入っていた
ディアン「本当に、ここまで明細に描かかれているなんて…
…それに、ガラス粒一つ一つの形が完全に統一されている…
…だから、ここまで完成度の高い作品に仕上がってしまうのね」
過去様々な宮神殿を廻り 種々の作品を観賞してきた 
道通のディアンにさえ感慨の息が漏れる
一方 エイクだけはそんな天井からの圧氣に捕らわれず
ある一つの作品の側に寄って それを無言で見つめていた
それは壁際にある鉛色の柱で
黄泉よみの精霊フォーシスの紋様があつらえたオブジェであった
フォーシス それは天界と下界の間守
無風の 空  知恵での勝利 生活の上での狩猟
己を見つめた上での 他人を守るための力
そして 死神
エイクはそのオブジェを 半ば嫌悪に近い表情で見据えていたが
はっ と周囲に目を配せると やがて
ふう と息を降ろし 
自分も天井画の鑑賞組に加わることにした
そして 誰ともなく視点を正面に戻し 先ずディアンが口開く
ディアン「さて……五つ刻後に家財が運ばれてくるので、
それまでの掃除の方法は、各人に任せるから、後はよろしく」
リリィ「あれっ、屋敷の中を見て行かないのですか?・・・それに、その服装」
ディアン「そうなの、突然、急用が出来たから。本当は手伝いたいのだけど・・ごめんなさいね」
ラヴィーザ「いーえ、ごゆっくり!(どさくさに、汚水入りバケツを掛けてやろうと思ったのに・・・)」
ディアン「それと、ラヴィーザ。この家の屋敷精霊ブラウニーは、最近、何かを 怖がって いるの・・
そう、人手を必要としたのは、こういうこと、この原因をレポートで提出!」
ラヴィーザ「は?・・・はぁー!?」
ディアン「あ、それと、明らかに処分してしかる護美類は一つにまとめておいてね」
リリィ「それならば、外の適当な場所に結界を作り、燃やしときます」
ディアン「まったく、貴方がいて本当に助かるわ」

ディアンが居なくなり 皆は 相談が情景へ
リリィ「さて、どういう風に掃除をしようかしら」
ラヴィーザ「はいはい、提案がありまっス!」
リリィ「はい、ラヴィーザ君」
ラヴィーザ「全員が同じ場所に固まって ちまちま やりたくないので、
俺は二階、エイクは一階、先輩は地下を担当し、
終った所から他所にフォロー。ってのはどうですか?」
リリィ「とくに、文句はないけど・・・君は?」
エイク「それでいいっスよ」
リリィ「じゃ決まり。・・・それじゃあ・・・
あれっ?そうなると、雑巾、洗剤以外の道具が足りないわね・・・」
ラヴィーザ「自分とエイクは適当な棒と小枝があれば、道具に換えれるんで、
裏山で探してきます。先輩が道具を使ってください」
リリィ「そう?じゃ、そうしましょうか」

二人屋敷外へ 供に歩きながら
ラヴィーザ「なぁ、エイク・・」
エイク「ああ、この辺の緑の息吹・・・かなりキてるから、
剛物ツワモノに遭えるか楽しみだったんだろ?」
ラヴィーザ「ああ・・・(ニヤリ)」
二人は裏山に到着
大木に巻きついている蔓をみて
エイク「すげえなここのつる、登攀ロープに仕えそうだ」
ラヴィーザ「絞殺にもか」
エイク「まあ、それは少し付与エンチャントする必要があるけどな」
ラヴィーザ「まっ・・いずれ、出直すとして柔物シナモノはと・・・おっ、これだ。よーし・・・」
と 棒は手に持ち 小枝を地面にかき集める
ラヴィーザ『山の乙なる木もの 好奇なる作り手よ 
我が息 我が素振りに応じ 奇しき品を編み出せ』
と ラヴィーザは軽い身振りをこなし招える
小枝は帯の如くしなりを覚え
手に持つ棒枝は地面の小枝を巻き絡めると 枝は疾く回転し始める
そして治まる頃には立派な箒が出来上がっていた
エイクはまだ 奥に入って捜索中らしい
ラヴィーザは先に路地へ戻りながら
ラヴィーザ「屋敷のガラクタに硬物カタブツぐらいはあるだろう。
後で、この箒の先を大旋回板タケトンボに変え、エイクにぶつけてみようかな・・・」
などと企てながら屋敷へと足を運んだ

さて、掃除もたけなわ

エイク、1Fの勝手口間の窓ガラスが割れているのに氣付き、ラヴィーザを呼ぶ。

エイク「これ、不自然だと思わないか・・・」
ラヴィーザ「何が?」
エイク「この窓ガラス、外にも中にも散らばってる」
ラヴィーザ「あっ、ほんとだ」
エイク「そして、内に散らばったガラスと床の埃の付き具合い。比べてみろよ」
ラヴィーザは床の破片、そして、窓側に残るガラスを観察する
ラヴィーザ「・・・どうやら最近、割れたみたいじゃん」


 館1F

1F  A.ホール(アトリエ)
    B.応接間
    C.主人の庶務室
    D.執事の庶務室
    E.台所
    F.食堂
    G.召使用の洗濯場
    P.螺旋階段

エイク「ふう・・・」

BF  物置・酒蔵(あやしい薬品、撤去済)
地面に鍵付き(新品)の扉
リリィ「よし、鍵を焼いちゃえ!」
扉を開けると そこは階段に
そして小半刻
リリィ上がってくる。
リリィ「いったい、あの広間に何があったの?」
本当は転送の間と会議室です(上の者、調査済)

こちら1F
リリィ「もう、地下は終ったから、私は西の方からやるから」
エイク「うい、たのんまス」

2F  H.バスルーム
    I.主人の寝室
    J.客の寝室
ラヴィーザ
なんと3Fを既に手をつけ
浴室と主人の寝室を掃除し終えると
仕事に飽き始め適当に客の寝室を済ませると
残されたベットに ごろん と横になって
ラヴィーザ「ぐーぐー」

    K.執事の寝室
    R.召使用の浴場


3F. 主に召使の寝室

別室  M.農工具置き場
     N.奴隷小屋
     O.(隠し通路)

主人の庶務室 
まだ 大きな家財は残したままで(ディアンがリストをみて保留した高級家具類である)
リリィは色々な(年代物の)杖が束ねて置いてある箱に興味を持ちつつ
既に書籍のとり除かれた本棚へ向かう
リリィ「この本棚、中の奥行きと見た目の寸法が・
・・フッ、やはり隠し扉があるじゃない・
・・げっ。しかもこれ、発禁リストの奴
・・でも、見ちゃお(と、とある本に興味を示し目次を見る)・・・
・・・・なるほど・・・・・プッ・・
・・・そうか!これだ!!しかし、なんてラッキー!(笑)」
隠し戸棚に隠された書類には
呪殺会頭領クローゼルが准導師時代の
手記の写し 通称 蔭の聖典アンホイル
全二十四巻あるうちの 三冊が隠し間に立てかけて置いてある
表紙には首なしの十字架(T字架)「忌国皇魔呪殺会」の紋章
第一巻 我等が遺書(呪殺会のメンバーの血判状の写し)貴重度 ☆☆(既に他の場所で発見ずみ)
第十一巻 闇における儀式の要点 前編(第四章「使い妖魔 総論」を含む)貴重度 ☆(既に他の場所で発見ずみ 問題の後編は未発見、後半はあの伽務夷の調査文を掲載、このまま研究が続いていたらヤバい代物・・・後半☆☆☆)
第二十二巻 捕虜改心における解呪リムブカースの要点 貴重度 ☆☆☆☆(過去、呪ったもの達の解呪暗号を掲載)
を発見

がばっと 起きるラヴィーザ 辺りを見回し 頭を掻き起き上がる
そして 部屋を出ようとドアに向かおうとする
が 途端 外窓に注意が趣き下の裏庭を眺める

ラヴィーザ「ほほう、 蔵 か・・・・。」

と 1Fエイクを密かに呼び 二人は土蔵へ向かう
が 運悪く掃除を終えたリリィが
窓越しに駆けてゆく 二人の姿を発見するのであった


二人はしばらく物色していると
土倉の床の一部分が壊れ(雨漏りで床が傷んでいた)ラヴィーザはそこに落ちる
ラヴィーザ「いっ・・・てェ、バロチクチョイ!・・・おっ(笑)」
その穴が横にも掘られているらしく 奥に続いている
無論 ラヴィーザはエイクを連れて進み
高さは2メートル程度 幅3メートル程度の岩窟に出る
直線でしばらく進んでいるが ゆっくりと左へカーブを描く
そして上り調子 岩肌にぶちあたり
そこに人ひとりがやっと通れる裂け目がある
裂け目を抜けるとそこは洞窟の奥らしく 広い空間に出た
そして 洞窟の天井にぶら下がった 吸精蝙鬼の集団が集まっている
数は7匹 こちらに氣付いてはいる が 皆 眠たげ

ラヴィーザ「あっ!・・・・へへ、ちょうどいいや!!」

と ラヴィーザは例の大旋回板(竹トンボ)を取り出し 回そうとすろ
すると エイクが
エイク「おい、それ刃の向きが逆・・・」

ラヴィーザ「はっ?・・・・・・はい〜!??」

と 大旋回板タケトンボはラヴィーザに向かって旋回してくる
ラヴィーザは横に滑り込み倒れ 旋回板は回転しながら床に向かう
が 棒が地面に当たりつけ根から折れる
羽根は地面に立つ様に転がり 壁をある程度昇ると動きは治まり
 ぱたん と床に落ちた
それが 吸精蝙鬼達を目覚めさせる十分な騒ぎであることは確実
吸精蝙鬼達は羽根をばたつかせ 臨戦に入ろうとする
その刹那!

リリィ「お待ちなさい おまちなさい オマチナサイ・・・」
と音を響かせながら リリィ出現
ラヴィーザ「何だー? なんだー ナンダー」
エイク「なんだ ナンダ・・・」
リリィ「さーて(サーテ)蝙鬼(バンプ)ちゃん達(チャンタチ)。これを(コレヲ)見なさい(ミナサイ)」
吸精蝙鬼A「▼◎×?」
吸精蝙鬼B「○■△・・・」
ラヴィーザ「よ(ヨ)、呼び鈴?(ビリン)」
そう リリィは庶務室のデスクに置いてあった人呼び鈴を

リリリリリリリリ・・・・

とけたたましく輪唱する
吸精蝙鬼は目を見開き 体を
ぶるぶる 震わせ しばらく震えていると
やがて いい塩梅に酔いが回り
ぽとぽと と地面に落ちてゆく
ラーヴィザ 止めを刺しに近づくが 
一体の吸精蝙鬼は
プルプル と体を揺らながら
空に ピュー とゲロを吐く
ラーヴィザ「うわっ!?きったねー!!!」
と 跳びずさる
リリィ「はい、そこまで」
とリリィは火球を召還し
へべれけの吸精蝙鬼達を燃焼していく

洞窟を抜けるとそこは 岸壁に穿たれたものだとわかる
数十歩先の草むらがざわめく
近くの村の狩人達が九人いる
ゲンさん「ぜひ村へ」
ゴンタさん「祝いの宴を」
アルファロメオさん「今から夜中まで盛大に」

リリィ「いえ、ご好意はありがたいのですけど、私達はこれから急ぐ様もありますので・・・失礼」
と 帰りの道路を選択し そそくさと去っていく
ラヴィーザ「そーいう事らしけど、俺は報酬としてなんかモノを明日取りくるから・・・
(と、紙と石綿巻きの墨棒を取り出し)・・・明日そこに来てくれよ。それじゃ!」


時は夕暮れ ここは屋敷

ディアン「この館、昔はカーパディアという貴族が住んでいたんだけど、
数年間誰も使ってないの、
その貴族はこの街でも有力な貴族だったんだけど、
その権力を利用して密貿易をしているという噂がたってしまったからか、
ある日突然姿を消してしまったのよ。
そのことは一時期王宮でもかなり噂になったらしいわ。
有力な貴族が姿を消したという上に、ここは城砦都市でしょ?
街の外に出る箇所は正門と港口の2箇所しかないのよ。
それなのにある日突然、煙のようにこの街から消えてしまったの。
結局、密貿易の確かな証拠も掴めなかったからその件はそのままになっていたの。
屋敷は国命を受けて一応私の管理に置かれてたから、
荷物の増えた最近ここに引っ越そうと思ってあなたたちを雇ったの。
だけど、本当に隠し通路があったなんて……。これは早速王宮に届けなきゃ」
リリィ「つまり、導師は報酬として」
ディアン「そ、本当は国から屋敷をそのままいただいたと言う訳。
競売の時はあらかじめ上の方からの根回しがあったという事」

残りの掃除を一通り終える 
と 応接間にあった年代物のワインを何本も持ってきて 豪華な食事を振舞ってくれる
ちなみにディアンの手作り
食堂の真っ白なテーブルクロス 並ぶ豪華な食事の皿
銀の食器 花瓶に活けられた美しい花々
ディアン「妖怪退治までやってくれてありがとう。これは私からの感謝の氣持ちよ」   
こうして部屋から漏れる蜜蝋の暖かな明りと
楽しく談笑する声が 夜遅くまで館から聞こえていた
と いう所で一先ずは この番吟が 仕舞いにしたく御座候



第一番 栞吟



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