Elmental Tears 〜双魂の守護者〜参考資料集

※世界を語りし者

  心の時代は終わりを告げる 感情は力を求め崩壊へと突き進む
  創造の力は破壊の力に 流れ行く時だけが無常のごとく

  絶えなき戦乱に女神は憂いの涙を流す 争いを繰り広げる彼らの様に
  何故傷つけあうのか? 互いにその答えは得られず

  されど女神はその元凶を知る それゆえ神々を裏切った
  悲しき涙は留まらず 女神の心は誰にも解されず

  心は空虚 心は無防備 そして心は繊細なるもの
  隙間に忍び込みしものは 背後の魔影…

  女神は自らにそう言い聞かせた

          "時を綴る者"エイクリューネ


 世界を覆う精霊達の嘆きは大地への哀れみか、はたして彼ら自身か‥‥‥。


※ "エレメンタル=ティアーズ"
 遥か超古代、神妖精達によって創造された"フランティアール"と呼ばれる次元。その世界は人間だけでなく、神妖精達の子孫である数々の妖精達、そして奇怪な魔物達までが存在する不思議な世界です。
 まるでどこか異世界や遠い未来や過去のことの様ですが、実はこの世界は私達のほんのすぐ近くに存在するのです。誰もが持っている、それでいてあなただけの想像力という翼を広げてほんの少しだけ羽ばたいてみて下さい。

 ほら、見えてきたでしょう、あなたの分身の暮らす大地が‥‥‥。


※神の一族〜イスリカリィオ
 
   

(1) クラフレイナ(真の無色) 〈男格〉
 流れ、変化を司る。中性

 (2) ランシェルカイザー(真の金) 〈女格〉
 空間、光、恩恵を司る。動性

 (3) ヴィートリンクフェネン(真の銀) 〈女格〉
 時、陰、月を司る。静性

 (4) アルデミアラ(真の青) 〈女格〉
 調和、海、冷徹を司る。静性

 (5) ハールメニト(真の緑) 〈男格〉
 獣、本能、怒りを司る。動性

 (6) キルギレアンランシスト(真の赤) 〈男格〉
 激情、力を司る。動性

 (7) ファストランファステイン(真の紫) 〈男格〉
 霊、虚、知性、真実を司る。中性

 (8) フロンギス(真の白) 〈男格〉
 生、聖恵、源を司る。静性

 (9) ルーンジェイフェロノウ(真の黒) 〈女格〉
 制裁、死、闇を司る。動性


※  源創期神話 〜 神と古妖精の時代
 今から数万年以上の太古の時代、大陸には神と呼ばれる存在がいました。もはや今となってはその存在が、一体どのようなものであったか、どこから来たのかは知るすべはありません。ただ、彼らはいくつかの"次元"を創造し、それらに明確な境界を引くために自らの力を集めて新たなる意識を生み出したと伝えられています。それが今の世に伝えられている古妖精、神の力を受け継いだ神妖精達のことです。歴史の上ではこの時期を《第一の創世紀》と呼びます。そして彼らによって新たに創造された一つがこの世界、"フランティアール"です。現在ではその"フランティアール"を創造した古妖精達のことを、特に神々が世界の秩序と存在を委託する目的で"始まりの闇"を媒介に自らの魂を分け与えた"源霊の九柱(イスリカリィオ)"と呼ばれています。
 しかし、時空を生み出した神々ですら定まらざる未来の時を読むことまでは出来ませんでした。いままで従順だった古妖精達が突然、自分達に反旗を翻したのです。まず、"真の金"を持つランシェルカイザーが、そしてそれを筆頭に次々と古妖精が神々の元から離反していきました。
 一説には、神々が与えてはならなかった自我を古妖精達に植え付けてしまったことにより、古妖精達が純粋な心を失ってしまったとも言われています。しかし、異なる神話ではこうも伝えています。純粋さを失ったのは神々の方だったと。永久不変であるはずの神の心に、小さな隙間ができたのだと。いずれにせよ、神々と古妖精の間には大きな亀裂が入りました。
 そして、ついに両者の全面戦争が勃発したのです。幾多もの亜空間が生まれるほどの激しい大戦乱は両者とも一歩も譲らないほどのものでした。創造主である神に、本来ならば古妖精がかなうわけはありませんでした。しかし、神々の誤算は彼らに自分達の力とほとんど同等のものを授けてしまったことだったのです。そして何より、絶対数において古妖精は圧倒的に優っていたのです。
 数千年に渡る戦いはついに古妖精側の勝利で終焉の時を向かえました。《神々追放戦争(デスキレーヴ)》と呼ばれる戦いがこれです。
 この戦いにおいて敗北した神々は"世界"から追放され、以後干渉出来ないように数人の上位の古妖精達によって障壁が張り巡らされました。この障壁は神々の干渉を拒むだけのものではなく周囲の歪んで不安定な状態、"混沌の黒霧"から彼らの創造した"世界"を護る役目も果たしていたのです。"次元光壁"という世界の果てのこの壁は、この時代に創造されたものなのです。少なからずデスキレーヴの影響を受けた"世界"の復元と、新たなる秩序の形成を古妖精達が行ったこの時代を《第二の創世紀》と言います。
 しかし、この創世は古妖精だけによって行われたのではありませんでした。失われた楽園を復活させる為に一番力を貸したのは、他ならぬ神の一族であったのです。神々の長たる荒ぶる光の皇神、リ=ランファの義妹にして妻たる大地と慈悲の女祭神、ヴェルラーン=エイクリュリィーネ。女神は他の神々がデスキレーヴで戦う中で、唯一それに加わりませんでした。それどころか戦乱の終期には兄であり夫の皇神ではなく、古妖精側についたとされています。
 女神の助力、そして古妖精の魔力によって世界は形を与えられていきました。そしてこの時代の創造は大きく二つの種族を生み出しました。妖精族と、精霊族です。妖精族とは、"源霊の九柱(イスリカリィオ)"が意図的に手を加え、彼らの正当なまつえいではない新たな系統の種族のことです。その幾つかは現在まで生き残り、フランティアールの住人となっています。
 古妖精の中でも秀でた霊力を持つ"流れ"、"変化"の刻印を頂く"真の無色"クラフレイナが女神ヴェルラーンとの間にもうけた新たなる種が、"アールヴ"、つまりエルフです。また、"力"と"激情"の刻印を持つ"真の赤"キルギレアンは、自らの体を魂ごと真半分に引き裂きそこから幾つかの種族を創造しました。その一つが"ドヴェルグ"、ドワーフです。彼らの役割は、エルフとは対極に位置し、デスギレーヴの歪みによって大地に生まれた混沌を自分の代わりにすべて刈り取ることでした。キルギレアンは自分の消滅の時を察していたのです。新たな種族を地上に生み出した後にデスギレーヴにおいて幾多もの戦神と互角に渡り合い、死の双神の刃の力に蝕まれていたキルギレアンは時を経ずしてこの世から消滅します。死の間際のキルギレアンにとってひそかに思いを寄せていたヴェルラーンの為に出来ることは、その程度だったのです。
 そして精霊族ですが、彼らはイスリカリィオの正当な末裔です。それぞれの象徴を受け継ぐ通りに、精霊族は基本的には10種類("真の青"アルデミアラの力はウンディーネとフラウに分かれました)存在します。
 デスキレーヴに生き残った古妖精達によって、世界は次第に整えられてきました(第三の創世紀がありました)が、ある時を境に、すべての古妖精が忽然と姿を消してしまいました。その時の様子は、天空全域を、時空すら越えるほどのすさまじく邪悪な闇がうごめいていたと、言い伝えられています。今から三千二百年前《滅霊の一夜》が、これにあたります。
 だが、その闇がかつてのデスキレーヴが勃発する直前にも現れていた現象であることは知られていません。これ以後、古妖精の存在が歴史に現れたことは一度たりともありませんでした。
 そして、さらなる時が流れてゆく‥‥‥。


※  霊人皇伝承 〜 真魔と双魂の時代
 三千二百年前の《滅霊の一夜》の後、忽然と姿を消した古妖精達。何故彼らは姿を消してしまったのか、それは未だに不明のままです。世界に残されたのは、古妖精達によって創造された新たなる種族達、そして女神ヴェルラーンだけでした。
 指導者たる古妖精達を失い、世界の秩序が乱れ始めた混沌の世で、各種族ともに寄りどころとしたのはやはりヴェルラーンでした。ヴェルラーンもその霊力を用いて世の中を見守っていました。
 しかし、天空に輝く青白き月、リノーラが鮮血のように染まった不思議な年、地上に真紅の髪を持つ一つのまがまがしき"邪"が出現したのです。"邪"は神と同等か、あるいはそれ以上のおそるべき力を所有しており、その力はただ世界を破滅させるためだけに向けられていました。この"邪"のことは《真魔》と呼ばれています。この頃の種族はまだ古妖精の偉大な魔力を受け継いでいる優れた生物だったのですが、《真魔》は立ち向かうこれら数々の種族をことごとく討ち滅ぼしていきました。
 そして、世界を破滅へと導くものは《真魔》だけではなかったのです。
 地上に住むすべての種族にも異変が起こっていたのです。《滅霊の一夜》の直後より、突然、生き物がまるで混沌に住む悪魔のような魔物へと異形化することが起こり始めていたのです。そして時が流れるにつれてそれは頻繁になり、《真魔》が現れる頃には種族の根元が危うくなるまでに蝕まれていました。今の時代に生息する悪魔や妖魔といった存在はこの時をその起源とします。
 したがって女神ヴェルラーンはこの魔蝕現象を抑えることに手いっぱいで、《真魔》についてはどうすることも出来なかったのです。滅びゆく世界の中、残された僅かな種族は、その命運をかけた最後の戦いに挑むべく、持てる力すべてを集結して《真魔》と激突しました。
 無論、たとえすべての力を集めても《真魔》には勝てないことは判っていました。それゆえ、彼らは各々の"刻印"の霊力の全てを一人の人間に刻み込み、完全なる生命体とすることを考えたのです。その人間は、蝕化した代償に絶対的な力を得た魔人でした。だからこそ、"刻印"の霊力を与え自我を取り戻させる必要があったのです。

 かくして極限の力を発揮する"光と闇"の刻印を双の腕に持ち、無限の生命力を司る刻印を命の源にした黄金の髪の青年、額に死の刻印を戴く不死身の冥王、《霊人皇》が誕生したのです。《霊人皇》と《真魔》の激突は、かつてのデスギレーヴにも匹敵するほどのものであったと、現在の伝説は伝えています。
 その戦いに勝利をおさめたのは《霊人皇》でした。《真魔》はその力のほとんどを奪われた後何処かにある聖地へと封印し永遠につなぎ止められました。そして、浄化と眠りの縛鎖に捕らえられて明らかになった《真魔》の正体とは、かつて神々の頂点に位置していた光の皇神、リ=ランファだったのです。しかし、この事実をヴェルラーンは知る由もありませんでした。
 そのヴェルラーンは、異形化を抑えるべくその霊力を解放し、千数百年をかけてついに蝕身化に歯止めをかけることに成功したのです。その為に費やし失った霊力を回復させるため、女神は長い眠りへとつきました。それより少し時を経て、《霊人皇》と《真魔》の戦いが終わりました。
 女神も姿を消し、あらゆる種族が絶滅寸前におかれたその闇の時代で、激闘でいくつかの刻印は失ったものの、未だ強力な力を備えている《霊人皇》は全世界をまとめ上げ、一大統一国家を築き上げました。すべての種族を統合し、滅びの危機を回避させたのです。
 これが、今から約一千八百年前建国されたとされる第一期エル=ミレイセラ=ルーン統一王朝です。以後の数百年、フランティアールは《霊人皇》の統治の元、束の間の平和の時代を過ごします。
 しかし女神が歯止めをかけたはずの魔蝕現象。肉体の異化は確かに起こらなくなっていましたが、その魔蝕は魂へと継がれていたのです。魂が蝕まれていく蝕魂、それは歴史の闇で現在まで続いているのです。存在そのものを現す魂の自我、そして蝕まれた魔魂。そう、すべての生き物は双魂を抱いてこの世に生を受けるのです。

※ フランティアールの通貨
 いまだ文明の未発達な地域を除けば、おおよそこの世界には貨幣経済が浸透しています。国ごとに使われている貨幣が異なると貿易などの交流の時に困るので、基本的には大陸で一番の勢力を誇るイスカーナ大皇国で発行されている硬貨が使われています。それ自体に価値のある銀を材質に造られたイスカーナ銀貨の通貨単位はクリューです。資本主義が発達し、経済がそれほど整っているわけではないので、紙幣のようなそれ自体には価値のない貨幣は存在していません。(インフレーションが起こるから)
 なお、一般の生活においては、通常はその銀貨の下に位置する銅貨の方が小銭として多く使用されます。また、ごく一部の地域でしか産出されない金は貴重品で、商人達が銀貨をまとめて使用するときなどその代わりに用いられます。換金レートとしては金貨一枚、1ピリューが銀貨100枚、百クリュー、銅貨ならは1000枚、千ギリューといったところです。(銀貨1枚で銅貨10枚)

※ 種族についての説明
 ここでは、この世界に住んでいる知的生物について説明します。もともと彼らはその種族間での独立した閉鎖的社会で生活していたのですが、時代の流れが進むに連れて異種族間の交流も盛んになり、今では様々な種族の入り交じった複合国家すら存在しています。その中で、とりわけ有名で探索者(エクスプローラー)としても活躍している種族を上げてみました。
 
 T、人間(儒命人)

 人間は、その起源が唯一謎の種族です。遥か太古の神世紀に、神々が創造したのか、それとも神妖精(現在で言う古妖精)が、他の種族達と共に大地に降り立たせたのか、それとももっと以前から、神妖の戦いの時代以前(大陸すらない混沌の世)に存在していたのか。大陸中には多くの人間の誕生起源の説がありますが、どれも不確かなものなのです。
 外見上の特徴としては、人種によって体格、肌や髪の色、瞳の色が違い一概には言えませんが、どの人種でも平均寿命はおよそ70年です。

 U、ドワーフ(妖狸)
 太古の昔、"神々追放戦争"(デスキレーヴ)後に、"力"と"激情"の刻印を持つ古妖精キルギレアンから生まれた種族の一つ。"力"と"炎"の霊力を引いている。大地に根付いた混沌をすべて刈り取ることが彼らの目的です。
 身長は120センチぐらい。ずんぐりとした体型で髭をたくわえ、だんご鼻をしています。しかし女性にはひげは生えていません。髪の毛はたいてい茶色系統で、瞳も同系色です。体力的にも精神的にもタフで、性格は豪気。寿命は、およそ300年です。

 V、エルフ(妖狐)
 デスギレーヴの後、"風"のクラフレイナと唯一の女神ヴェルラーンとの間に誕生した妖精族。彼らは女神より"生命"(耐久力や体力のことではない)、"森"、そしてクラフレイナより"風"の霊力を受け継いでいます。父なるクラフレイナと母なるヴェルラーンを崇拝し、この大地を護ることが彼らの存在意義です。
 細長く、先端の尖った耳が特徴で全体的に華奢な感じを受けます。身長は160センチと、人間よりやや小柄です。また、男性でもひげが生えません。彼らは、どのくらいの寿命を持っているのかよくわかっていません。一説には、"不死性"すら受け継いでいるのだともいわれています。

 W、ハーフエルフ(狐人)
 人間とエルフとの間に生まれた子供のことをハーフエルフと呼びます。両種族の特徴をあわせ持った彼らは、人間の不可思議な力や潜在能力と、エルフが神から受け継いだ霊力とが混ざり合い、高い能力を有しますが種族としてはすでに進化の終りに達しています。寿命はおよそ500年です。

 X、ホビット(妖鼠)
 彼らも妖精族ですが、エルフやドワーフとは少し異なる系列に位置します。神々の霊力は殆ど受け継いでいませんが、彼らにはそれを補うに充分の好奇心と行動力があります。
 成人しても身長が1メートルぐらいしかないので、耳がやや尖っている点を除けばよく子供と間違えられます。寿命はさすがにエルフやドワーフには及ばず、およそ200年といったところです。

 Y、ピクシー(妖翅栗鼠)
 プチフェアリー。

 Z、サクリス(妖鹿)
 古妖精ギルキースの中指より生まれいでた妖精族がサクリスです。"裁き"、"光と闇"の霊力を受け継いでいます。外見は人間と殆ど変わりませんが、額に一本の角を持っています。人間ほど感情的ではありませんが、妖精族のなかでは一番近い性格かもしれません。体術に秀でて、都市部から離れた山林などで生活をしています。寿命は約150年ぐらいです。

 [、精霊族(妖
 彼らはイスリカリィオの正当な末裔です。大地のノーム(象徴色は濃い亜麻色)、水のウンディーネ(象徴色は深い青)、氷のフラウ(象徴色は薄い青)、炎のメルフィム(象徴色は朱)、風のシルフ(象徴色は限りなく透き通った青)、光のシュレア(象徴色は黄金)、死のリリアス(象徴色は黒)、生命のヴァーチャ(象徴色は白)、精神のヒュレイ(象徴色は 竅j、歪みのサラーネ(象徴色は薄い紫)の10種の精霊族がこの世界には存在しています。基本的に外見は人間と殆ど変わりませんが、髪の色、瞳の色は彼らの象徴色であり、肌もややその薄い色合いを帯びています。また、その血は霊力を帯びています。そして、その生き血を飲んだ者もその力が備わると言い伝えられています。


※ クラス・称号
 世界中には太古の時代に神々や古妖精たちによって創造された不思議な出来事、地域が数え切れないほど残っています。それらのことに好奇心から首を突っ込む者、職業としてかわっている者などのことをまとめて探索者(エクスプローラー)と称します。探索者はそれらの謎を解決したり、降り掛かる危険を回避する為に様々な特殊な技能を持っていますが、特に重要なのが剣の腕と魔法の力です。
 探索者はクラスと称号で細分されます。まずクラスですが、これはその人物の根本的な系統を示しています。つまり、クラスによって探索者のタイプが決定されるのです。クラスは、純戦士、純剣士、魔導戦士、魔導剣士、武術師、狩人、純魔導師の7タイプです。それぞれによって生命力の上昇率、精神力の上昇率、職業(クラス)特典が異なります。
 称号の方は、言ってみれば肩書の様なものです。人に名乗るときに『俺は傭兵の‥‥』とか、『はじめまして。わたくし、社長秘書をしております‥‥‥』とか言う、あれです。
つまり、称号と言うのは本人が思っていれば何だっていいのです。


※蝕魂について
 この世界の特徴となる現象がこれです。
 古えの魔蝕現象の影響によって、この世界の全ての生命体は双魂を抱いてこの世に生まれます。すなわち自分の存在自体である魂の自我と、魔に蝕まれた部分の魔魂です。これはどの様な生命体であれ、古妖精達でさえ例外ではありません。もっとも平生は肉体的な異化を伴わない蝕魂ですが、ふとしたきっかけでその影響が肉体に及ぶこともあります。
 自らの危機にひんした時に、それから逃れようとして無意識に魔の力に頼り、それを呼び込む場合があります。その働きかけによって魔の力は、この世界とは異なる法則による力をその場に発現します。その力は信じられないほど大きな影響を及ぼしますが、その反動によってその人物に対する魔の力の支配力が強まり、魂が更に魔に蝕まれてしまうのです。そして魔の力に耐える限界点が、この世界にあ スえるその人の影響力です。世界と強く結び付くことによって存在と自我とをしっかりと確立し、魂の崩壊を抑えることが出来るのです。もし、世界における存在力を蝕魂が上回ってしまうとその肉体は蝕魂による異世界の力を抑えきれずに異化を始め、魂は破滅へと向かいます。そうなったときには、もはやこの世界での復活は絶対に不可能となります。英雄や上位種族、そして古妖精らも魂を蝕まれていますが、彼らは世界と密接に結び付いているため存在値がきわめて高いのです。

※精霊魔術 
 『陽』、『陰』、『光』、『幻』、『地』、『火』、『風』、『水』、『心』の九つの精霊に現在では封印され、あるいは世界から姿を消してしまった『時間』、『破壊』、『虚無』、『力』の四つの上位精霊を力の源とする魔術です。術者は発動後の魔法のイメージを頭に思い描き、それらの精霊の力を間接的に引き出します。この魔術が一番一般的で、他の魔術の基礎になります。その効果は物質的で、主に現象面に大きな影響を及ぼします。
 なお、精霊魔術は魔導理論さえ把握していれば ゥなりの応用がききます。その顕著な例が複合魔術です。いくつかの精霊を組合せてまったく別の効果を現す魔法を発現させることも出来ます。ただし、その際には各要素の媒介となる物質が必要とされます。その物質こそ、この世界で『エレメンタル=ティアー』と呼ばれている美しく透き通った小さな結晶です。上位の精霊魔術の呪文も、これが必要となります。
 エレメンタル=ティアーの大きさは大抵は親指の先ぐらいで、それが意味しているとおり全部で十三コ種類がありその色が各精霊に対応しています。精霊の『意識』が凝縮されたこの結晶は、その魔力を最大限に増幅し精霊力をまさに『元素』のままの状態で術者の魔法力場の中に引出して、他の精霊力とブレンドすることが出来るのです(通常の精霊魔術は引き出したときには術者のイメージによってすでに『既製品』の状態なのです)。つまり、複合魔術には最低2つのエレメンタル=ティアーが必要となります。
 エレメンタル=ティアーは使用するごとに蓄えられた元素反遡行力(つまりエネルギーを常に反応状態に保つ力のこと)消費されて、使いきると光の粉と化して崩れさります。しかし、凝縮されているエネルギーは膨大なので、使用回数は半無限です。一生を通じてつかい通せることもざらです。その分、非常に貴重で店先に並ぶことは滅多にありません。
 学院で魔術を会得した正式な魔術師は、卒業の試練を見事に乗り越えた後に卒業の証として自分の最も得意とする精霊の門に応じたエレメンタル=ティアーを、その試練の難易度に応じた霊格のものを一つ与えられます。
 エレンタル=ティアーは非常に硬度が高く、加工は超高等な技術を必要とされるので、ほとんどはその形のまま指輪にしたり、腕輪に組み込んだり、杖の先端に埋め込んだりして魔導師達は持ち歩いています。これを学院外の者が手に入れることは非常にまれです。
学院でもこの結晶がどうやって造られたのか、どれほどの力が秘められているのかを研究していますが、未だに殆ど判っていません。

 精霊はイスリカリィオ達の象徴でもあり、この世界を構成している十三の存在のことです。『時間』、『破壊』、『虚無』、『黄泉』はすでに失われていますが、残りの九つを紹介しましょう。

          『風』のフィル        『精神』のビアンサ    『光』のアイマー
(結晶の色) 透明色(限りなく透明な青)  灰色(銀色)       黄色(金色)
(精霊族)    シルフ              ヒュレイ           シュレア

         『生命』のリアンセリ     『水』のラファ       『地』のマドロフ
(結晶の色) 白色(白色)          青色(深青色、淡水色) 茶色(亜麻色)
(精霊族)   ヴァーチャ          ウンディーネ、フラウ   ノーム

         『偽り』のレンスィ      『炎』のヴァン       『闇』のディアス
(結晶の色) 紫色(紫色)          赤色(朱色)         黒色(黒色)
(精霊族)    サラーサ         メルフィム           リリアス

 なお、精霊族達は自らの血の中にエレメンタル=ティアーと同様の霊力を引いています。(彼らの髪、瞳の色は結晶の色の隣の括弧の中の色です)彼らはCLの上昇と共に、自然と自分達の門の魔導霊格が変化していきます。しかし、彼らは自分の属性の門しか修得出来ません。
 人間はあらゆる門を修得することが出来ます。ドワーフは『光』『陰』『幻』『心』は不可。エルフは『陽』『陰』は不可。ホビットは精霊魔法は全て不可。ピクシーは『炎』『陰』は不可。サクリスは『幻』『心』『炎』は不可です。これらの種族はそれ意外は修得出来ますが、学んで霊格を上げなくてはいけません。



※秘紋魔術 
大別して秘紋魔術には二つの流派があります。"動"の刻呪魔術と"静"の呪符魔術です。刻呪魔術は、体にいくつかの文様を刻み、それらの組合せのパターンで効果を発揮するもので、元来魔術を使えない者でも行使することが出来ます。呪符魔術は、符術師が魔力を込めて創り出した呪符の霊力を解放することによって効果を現すもので、呪符さえあればこれも誰でも使用できます。刻呪師という職業はまれですが、符術師という職業はかなり存在しています。なお、低級の魔術を込めた呪符ならば、少し大きな魔導学院などにいけば売っています。

 秘紋魔術 〜 肉体の限界と超越

 秘紋魔術とは、詩魂魔術はもちろん精霊魔術とも系列を異にする魔術です。秘紋魔術の『秘紋』とは呪紋、すなわちそれ自体に意味を持った不思議な力を秘めた文様のことを意味しています。そして秘紋魔術には大別して二つの系統があります。秘紋魔術の《動》的なものである刻呪魔術、《静》的なものである呪符魔術、これらです。しかし呪符魔術は世間ではそれ自体独立した系統として扱われることが多い為、秘紋魔術と言えば刻呪魔術のことを表すというのが一般的です。
 秘紋魔術(以後、刻呪魔術を意味する)とは、『秘紋』と呼ばれる呪紋を身体に刻むことによって、それを媒体にして潜在する肉体の能力を限界まで引き出し、増幅させるというものです。刻み込む文様によって、つまり呪紋の構成によって効果はさまざまですが、いずれにせよその力は使用者の能力を数段高めてくれることは確かです。

 秘紋とは、刻呪師と呼ばれる呪の彫り師によって肉体に刻まれた不思議な文様のことで普段はそれは見ることが出来ません。しかしひとたびその力を発動させた時には刻まれた箇所にその呪紋が輝きをもって浮かび上がり、その肉体的能力を爆発的に高めるのです。精霊魔術のような精神の集中が必要とされない為、一瞬の差で決着のつく戦士たちがその恩恵に預かることが多いようです(秘紋を発動させるラウンドに他の行動が出来る)。そしてその秘紋が引き出す力は、生き物自身が持っている生きる力、つまり生命力によります。精霊魔法は、術者の精神力を代償にしますが、秘紋魔術は生命力を源とするのです。

 生命力の消費は、総生命力の減少として扱われます。結果、総生命力だけが減少して、部位別生命力にうけた損傷値の総計とあわなくなるという事態が生じますが、これは部位別生命力がおもに傷、損傷といったものによる減少を扱い、総生命力が生命へのダメージすべてをうけて減少(毒による外傷のないダメージなど)する為です。そして消費生命力は直接の数値ではなく、パーセンテージで表されます。秘紋霊格(刻呪師の霊格による)に最低消費パーセンテージ数をかけた数値が、秘紋魔術の効果として追加出来る上昇ポイントです。なお、効果を増大させる為に、パーセンテージ数を上げることもできます。その時は、最低パーセンテージの何倍であるか、その倍数をさらに秘紋霊格にかけることが出来ます。

秘紋魔術・紋意と効果
秘紋霊格1〜10(超10霊格は、歴史の中で数人しか出ていない)

《刻呪箇所・全身》
 『力』 能力値の瞬発的的上昇
秘紋霊格数のラウンド間、維持出来る。

器用度の上昇 秘紋霊格×パーセンテージ数のプラス 最低消費パーセンテージ 5%
敏捷度の上昇 秘紋霊格×パーセンテージ数のプラス 最低消費パーセンテージ 5%
筋力 の上昇 秘紋霊格×パーセンテージ数のプラス 最低消費パーセンテージ 5%

『実』 肉体、精神の抵抗を高める
秘紋霊格数のラウンド間、維持出来る。

生命抵抗力の上昇 秘紋霊格×パーセンテージ数のプラス 最低パーセンテージ 5%
精神抵抗力の上昇 秘紋霊格×パーセンテージ数のプラス 最低パーセンテージ 5%

 『時』 1ラウンドの間での行動回数の増加
秘紋霊格数のラウンド間、維持出来る。

攻撃回数の上昇 秘紋霊格回数になる 最低パーセンテージ 10%
回避回数の上昇 秘紋霊格回数になる 最低パーセンテージ 10%

 『解』 自然治癒力を高めて解毒を行う
     秘紋霊格数のラウンド間、解毒魔力は加算されていく
キュア・ポイズン 解毒魔力=秘紋霊格×パーセンテージ数 最低パーセンテージ3%

 『精』 精神力の高速回復
     秘紋霊格数のラウンド間、維持出来る。

1ラウンドに秘紋霊格×10の精神力が回復     最低パーセンテージ 20%

《刻呪箇所・部位別》

 『虚』 ダメージを減少させるオーラの形成
     秘紋霊格数のラウンド間、維持出来る。

ダメージの減少 秘紋霊格×パーセンテージ数の防御点 最低パーセンテージ 1%

 『創』 損傷値の高速治癒
秘紋霊格数のラウンド間、維持出来る。
1ラウンドに秘紋霊格×10の損傷値が回復     最低パーセンテージ 10%


《特殊秘紋・刻んであるだけで常時、効果を発揮する》
 『志』 最大生命力の上昇 霊格×200

 『源』 最大精神力の上昇 霊格×200

他にも『滅』、『正』、『負』、『化』、『偽』、『鏡』、『断』、『斬』、『鋭』、そして『生』と『死』などがある。


※招霊(召喚)魔法
三つの魔術の内において、最も修得の困難とされる魔術。故に「魔法」と呼ばれます。幻霊魔術のように間接的に力を借りるのではなく、時空の歪みに存在する魔霊達をこの世に召喚します。秘紋魔術と同等の強力な威力をほこりますが、上位呪文になると三魔術中、比肩しうるものがないほどの威力を発揮します。今では殆ど使う者がなく(使える者がなく)、ギルドでしか、その方法を確認することが出来ません。また、その極みの大成に天空に座うと言われている、各星々の精霊神王”星霊”と交信する「星霊降霊術」も存在し、現在では"歌姫の帝"エイクルューネがその大いなる詩魂魔術を用いて行うことしか出来ません。

※詩魂魔術 
魔術体系からは外れるが、不可思議な現象を起こすことの出来る旋律をこう呼びます。魔奏師と呼ばれる一部の者は、言魂により様々な現象を支配し行使することが出来るのです。主に代々その家系にしか伝わらないもので、一子相伝の掟が厳しく守られてきています。

詩魂魔術 〜 失われた神々の御技

 詩魂魔術は精霊魔術、呪符魔術、秘紋魔術とは根本的に異質な存在です。他の魔術はある特別な条件(身振り、言葉、使おうとする意志)を満たすことによってそれに応じた無限数の世界の法則が働き、法則に従って力を引き出すという形をとりますが、詩魂魔術にそのようなものはありません。詩魂魔術にあるのは働きかける"意志"と純然たる"結果"だけです。いわば世界法則を超越した、そう、法則自体を造り上げた神(創造神)の技といえます。(神代の時代、世界の創造される前はまさに神の意志が直接結果を生む、言魂〈正確には言葉という概念ではありません。意志の塊のこと〉の支配する"時空間"であり"次元間"でした)
 無論、神々の技を知る者などこの世界にいるはずも(………)なく、それゆえに詩魂のの力は断片的で、ごく限られた者のみが知るにすぎません。精霊魔術に比べればその割合は1/1000以下であることは間違いないないでしょう。さらに詩魂の力にも大きく差があります。
 一般に詩魂を使える者というのは、ある特定の家系に集中していることが多く、血筋と関係があると言われています。(本人が詩魂の使い方を知らなくても、血が覚えています)そしてその家系代々の詩魂の使い方が伝わっている場合もありますが、その技が他に漏れることはありません。(一子相伝というやつです。まあ、そうでない家系もありますが、そういう家風の場合ならなおさら、人が知らないような面白い術のタネを、誰が喜んでバラしますか)それゆえ、詩魂師は代々家系として継がれているのです。
 そういった詩魂師の間で最も使われる比率の多い術が、呪歌と呼ばれるものです。

 呪歌はもともと神の使っていた言魂(意志の塊)を人間の使える範囲内で使っている、いわば神のやっていたことのまねです。
 たとえ1・エルフ語をしらない人間がエルフの喋っている言葉を聞いても何を言っているのか理解できないし、文法を知らないので聞いたままを記憶することはできません。しかし単語をエルフの喋った中から選んでエルフに向かって喋っても、本人はその単語の意味を知らなくてもエルフには通じます。しかし大部分の場合、きちんと理解していなければ適当に選んだ単語の使い方がその場に適していなかったり、発音が悪かったりして役に立ちません。これが詩魂の原理。一方、エルフ語の通訳の出来る人を引っ張ってきてその人を媒体により的確に相手に意志を伝える、これが精霊魔術の場合です。)それゆえ、人間程度に使えることというのは限界があり、呪歌にはきちんと法則に従って力を引き出す精霊魔法ほど強力なものはありません。
 なお呪歌とまではいかないまでも、弱い詩魂の力を持っている者の歌声はなにかしら人の心を打ったり、悲しい気持ちをわきおこさせたりと、感情を揺さぶるものです。
 たとえ2・素晴らしい歌声を持っていると評判の歌手のコンサートへいって、その歌を、というより歌声を聞いているうちに何故かしらないが悲しくなった、あるいは心に響くものを感じた、など。彼らの歌声の中には、神様の言葉の響きが僅かに含まれているのです。神の言葉は人の心に響くということです)
 そしてその逆も、この大陸には存在します。すなわち、詩魂の極みを身につけた者です。神の言魂を根本から捉えたその者
 たとえ3・神様がものを造るときに使う言葉の文法を理解したので、それを自分の使う言葉に自力で翻訳した人)は、神の言魂の響きを使わずに、自らの使う日常言語の中で詩魂の力を使います。つまりその者は、自らの言葉そのものを現実とすることが出来ます。それが出来るただ唯一の人物が大陸最高の詩魂の使い手、"歌姫の帝"エイクリューネです。

 "歌姫の帝"エイクネューネ 
 現在、大陸において最大の版図をほこるイスカーナ大皇国。一説には歴代の神帝国の血筋を受け継ぐとも言われるこの国において、皇帝ルーンとは異なる存在としてその名を大陸中に知らしめしている"歌姫の帝"エイクリューネ。その起源は今より3000年前の第1期神帝国エル=ルーンの頃にまで遡ります。当時、世界を統治していた"霊人皇"の元にあらわれた一人の女性が、その絶大なる詩魂の力をもって仕え、"歌姫の帝"の名を受けてから以後、最高詩魂の力を持つ女性(今までの3000年間、不思議なことに最高詩魂〈喋ったことが現実になる霊格〉の力を持った男の例は、一つもありません)がその地位と共に初代の帝の名であるエイクリューネの御名を受け継いできました。その地位は世襲ではないが、血筋がかなり大きく影響する(最高詩魂は血筋がいるらしい。直系、あるいは傍系といったこの血族以外から帝の地位を受け継いだ者もいません)らしく、直系血族の多くがその地位を継いでいます。現在の"歌姫の帝"は8年前にその名を受けています。

※ 魔導学院
 フランティアールには昔から発達してきた魔法の研究をする機関があります。それが魔導学院と呼ばれる施設です。魔導学院では幻霊魔術はもちろん、秘門魔術や招霊魔術の研究もさかんです。

学院修学課程

 霊術基礎課程  修学期間 2年
  魔法を習う前の基礎課程です。魔法のなんたるかを習い、魔法の力を正しく理解する為の言ってみれば準備期間のようなものです。はっきりいって余り楽しいものではありません。貴族系の魔術師の家系の子供は早い者で6歳頃から修学しています。もっとも、本当に力のある家系なら親が直々に教えていますが。学院に入れば必修の課程ですが独学の者でも魔術を使えるように魔法を使うために不可欠な課程と言うわけではありません。


魔術専攻課程初等科 修学期間 3年
  数十人が一つの教室で一人の講師について3年間みっちり初歩の魔法を身につける課程です。実は、講師もこの課程を教えている者が学院内で上位の力を持っている者達です。魔法という理解し難い力を何も知らない者が引き出せるようになることは非情に難しいことなのです。結局は魔法とは言葉で教えられて身につくものではなく、自分の感覚で感じ取っていくものだからです。だから、師匠のいない独学で身につけた術師も存在するのです。また、この課程の中で魔法の適性も判断されます。それによって修学課程終了時にこのまま魔術師の道を進むのか、それとも賢者として知識を求め、世界を知る道を歩むのかを決定します。
 なお、この課程では一通りすべての幻霊魔術に触 黷ト自分の好み、その魔法との相性を見極めてこれからの進路の参考にするのです。

魔術専攻課程中等科(精霊魔術九門) 修学期間1年〜最高7年
  この課程では実戦向きで本格的な魔術を修得します。講義はそれぞれ九つの門によって教室が違い、生徒は自分の必要な単科を決め自分でスケジュールを組んで各教室に足を運ぶのです。講師は学院に各門につき一人ですが大抵、数人の助手がつきます。同時に、魔法物理学の講義も行い、魔導法則を理解してさらなる応用、高等科に必要な知識を蓄えます。普通は、この課程を終えると卒業となります。
     ↓

 幻霊魔術専攻課程高等科 修学期間3年〜十数年
  中等課程で各門の個別魔術を身につけた一部の者が、さらなる魔導の追求のために身を置くのがこの課程です。ただし、学院によってはこの課程のない所もあります。なぜなら、この課程の講師を出来る者の人数が絶対的に少ないのです。この課程では、身につけた魔法を応用することはもちろんのこと、魔法物理学によって魔法の根底原理を把握し、それによって複数の門を組み合わせた複合魔術の修得を旨としています。講義は学院内で行われることは少なく、主に野外授業(つまり実戦主義)です。また、この課程で優秀な才能を発揮した者は魔導学院より一つ上の、大陸規模のギルド『眇の魔瞳』に所属することを許されるのです。

 学士院教養専攻課程 修学期間1年〜
・魔術専攻課程初等科を終了し、魔術よりも世界の原理を知る知識の道を選んだ者はこの課程につきます。この際、学士院は完全な王宮の所属ですから魔導学院の敷地内の賢 lの塔と王宮を行き来することになります。彼らは自分の興味の持った事物について研究を行い、その題材は比較的自由です。学士院の上位の者は王宮に出入りを許され、政治や知識に関して王達の諮問を受けています。一人一人が自分の研究が出来、自由度の高い学士院ですが一人一人の賢者を含め、この学院の最終的な命題は世界の構造と蝕魂のかかわり合いを解明することです。


 呪符魔術単科課程 修学期間1年〜
 基本的な精霊魔術を修得した者がその魔法の応用用途を広げる為に進む道がこの課程です。この課程では精霊魔術を発展応用させた秘門魔術、主に呪符魔術の研究がされています。刻呪魔術の方は精霊魔術とは多少構造が異なる上に、世の中にも使える者がほとんどいない為、研究自体は行われているものの学院では殆ど講義はひらかれていません。呪符魔術は基本的には精霊魔術の効果を特殊な呪符に封じ込めておくのが目的で、魔法を使えないものでも呪符を用いれば精霊魔術と同等の効果がえられるという代物です。精霊魔術に魔法物理学上理論的に手を加え、魔法のエネルギーの瞬間放出をとどめ、なおかつそれを一時的な無変化持続性に変換し、魔力を抑える働きを持つ呪符に封じ込めることが出来るようになったこの課程の終了者のことを一般には符術師と呼んでいます。魔法物理理論を理解している高位の術者ならば符術師としての講義を受けていなくとも自分の力で呪符をつくることくらいは出来ますが、符術師達が長年かけてあみだした呪符の封印、制御の秘術を用いない為暴発の可能性もあります。


※眇の魔瞳
 大陸全域に及ぶ大規模な魔術師ギルドで魔導学院の上位の者達が加入しています。その本拠地は大陸の遥か北部、どの国家にも領有されていない吹雪の吹き荒れる凍土の世界にあるとされていますが、その影響力は大陸全国家を脅かすほどの力を持っています。もっともその内情は殆ど一般には知られていません。しかし一つ言えることは、そのギルドは現在の大陸の政治情勢などに関係なくひそかに独自の動きをみせているということです。それはあたかも現世の出来事を逸脱した何かに備えるかのように。

※リークレッティ王国統括 シェイ=ラア魔道学院の場合

 魔術専攻課程中等科 及び 幻霊魔術専攻課程高等科

・魔術専攻課程中等科(精霊魔術九門) 修学期間1年〜最高7年
 修学資格 国に認められた庶民階級以上の成人の儀を終えた男女
      又は 初等科課程一定単位修業者
 本格的な"魔道"というのは一般的に中等科以上のクラスを差す。修得講義はそれぞれ八つの門(陰・陽・風・火・土・水・心・幻)によって教室が違い、生徒(道士と呼ばれる)は自分の必要な単科を決め自分でスケジュールを組んで各教室に足を運ぶ。講師(導師)は学院に各門につき一人いるが大抵、数人の助手がつく。同時に、魔法物理学の講義も行い、魔導法則を理解してさらなる応用、高等科に必要な知識を蓄える。普通は、この課程を終えると卒業となる。
 この課程を修業した者は道師(正式には単道魔術師)という庶民階級の"役人"の称号を得られる。

なお、八つもの門も創設してあるのは 伝統あるシェイ=ラアの学院だけで 通常の市街だと 通常 風・火・土・水の基本四門 そして大きな都市になると 陽門がこれに加わる



・幻霊魔術専攻課程高等科 修学期間3年〜十数年
 修学資格 中等科課程一定単位修業者
 中等課程で各門の個別魔術を身につけた一部の者が、さらなる魔導の追求のために身を置くのがこの課程。ただし、地方の学院によってはこの課程のない所もある。なぜなら、この課程の講師を出来る者(導師)の人数が絶対的に少ない為である。この課程では、身につけた魔法を応用することはもちろんのこと、魔法物理学によって魔法の根底原理を把握し、それによって複数の門を組み合わせた複合魔術の修得を旨としている。講義は学院内で行われることは少なく、主に野外授業(つまり実践主義)である。また、この課程で優秀な才能を発揮した者は魔導学院より一つ上の、魔導師ギルドに所属することを許される。高等科の生徒は、導士と呼ばれる。
 この課程を修業した者に准導師という中等科課程の講師の"見習い"の資格を得られる。


おまけ 導師になる条件
・博師に認められた者
・高等科の一定単位を拾得したのち卒業し、五人以上の導師に"適正"と認められた者。
・中等科の一定単位を拾得したのち卒業し、教養専講課程の"学士院"を卒業して"学師"の称号を得(この時点で准導師の資格を得る)て、五人以上の導師に"適正"と認められた者。

さらに おまけ
 この国は法家の役府的な地位にあり、貴族階級の嫡子に地位の相続権がなく、権力と財力と実力の三拍子そろった国の宝子のみに国役を任せる様にしてある。それは魔道学院、学士院を"王轄"にして、魔道学院初等科(初等科入学の資格には、一定納税額民で、大抵は親が士族階級以上の有力者の子女)を卒業し"志士"の称号を得たものだけに"国役科"という課程を(騎士の称号)卒業後、最低、地方の街の副領主クラスにして、士族階級の最高称号"尉士"を得る学科"国役上等科"課程を選択する権利が与えられ、本人の希望により従来の魔道中等科との併講を続けることも可能としている。シェイ=ラアの道士・学士・尉士ともなれば、どの国に赴いても将軍クラスのあつかいを受ける、といわれている。
爵士

 尚、博師というのは、"法家(ビルダー)"と呼ばれる、現代に浸透した魔法(ルーンクラフト)の原典たる"樹の書"を記した一族。今も王候達の裁き手に位置し、国家よりも高き階級にあると世間に謡われ、その要(よう)は機密の存在。
 その法家の総本部(マスト)、銘は"眇(すがめ)の魔鐘(ましょう)"より御印を受けられた名誉号が博師で、その意見は"法家"の代理であり、全大陸に強い権現を持つ。

シェイ=ラア魔導学院中等科導師

大地門 ディアン=エクサーリィ
風門  シレーヌ=ニキフェント
"初代御剣"アルサイスを始祖とする、発勁と柔術と蹴術の総合格闘技、風舞武演(ルムブン)の使い手"舞闘家"。元々は霊人皇に統合されて滅ぼされた古妖精の血筋で、霊人皇の暗殺を目論見、失敗したシレーヌの先祖がなぜか当時、筆頭騎士だったアルサイスから"素質"を見込まれルムブンを伝授されたのが始まり。シレーヌはこのルムブンを一度みただけで"覚醒伝授"し一族の王よりその実力があるのを悟ると、里をさり俗塵となって消えていく覚悟をする。森の狩人として生活していたある日、

水門  レイミスト=ラヴァルディーン
 父オリオストは、イスカーナ建式官で降雨の儀式を行う"御降役"。レイミストは皇立フィク=イスカーナ学士院水学および風学と、幻霊魔術学院の風門と水門を併学して風と水の道師号と学師号を修得。シェイ=ラア魔導学院専攻課程高等科では風水総合門を修得。オリオストの勧めでイスナーナ首都工部の水路総監に就任。やがて時は御剣公爵リマジオの「天変疑惑」の時代、父があやまって腐蝕の雨水を都に入れてしまい千人近くの人に被害がでると、その責任を取り自殺。また、レイミストの恋人も病に侵される。レイミストも総監を自主辞任をして「真実」の追求をするため、クバンセリンの諜報屋に席を置いていたある日、眇の瞳塔よりの使者がきて"導師"の称号を得ると同時に、当時、反リマジオ派だったロムス=ニーヴェルセン皇侯爵との執り成しを得て、リマジオを「天変戦犯」をもって、ラヴァルディーン家の潔白に繋ごうと約束をとりつなぎ、ギルドの隠密として当時のウェルド魔導学院に導師として潜伏。リマジオに付こうとする魔道者を調査することとなる。冷戦終結後、ロムスの取り計らいで恋人の病は回復、正式にイスカーナの導師として学院に就任も決まった、その始めての授業、黒板には、精神と魂を壊され、身体には屈辱を受けた跡が、禍々しく浮かぶ恋人の姿が平面的に張り付いていた。

炎門  リジェーラ=クレンティス

光門  "破邪の聖騎士""キーファネラ=キーツ (陽・光・風・火)
 もとイスカーナ皇国 近衛騎士団のキーフェは呪殺会のルクセルダンを首魁とする、叛乱軍を壊滅した功績(遠征時は先鋒旗士団 壱四號隊長 実際は壊滅逃走中、不信人物として捕縛していたギアフェルグが倒した)によって、2年前、学院会議より学院長に任命を受ける。当初は、学園内の色々な規律を解禁して、院生に好評だったが、魔法による商店襲撃等(ラヴィーザは貴族や上流商人専門)の、内外のモラルや治安が下がっている。おまけに、副業として中央歌劇団の花形俳優を営んでいる。スケコマシで、気に入れば自分の学院の生徒だろうが、おかまいなしで口説く。反対に、気に入らない生徒を自分で見つけると、容赦なく退学に陥れる。24歳、チェリオの7つ上の兄。マンドラゴがイスカーナに帰還した後の学院長

副学長  エヴァ=ネフェーシュ(幻・陽・陰・地・水)  キーフェと同じくして、キーフェの推薦を受け副学長となる。学院内でもマント黒の覆面(まれに発光した骸骨が浮き出る)の上に蝙蝠の半透明のアイマスクを纏い、しぐさも、うさんくさい(じつは正体はヌゲムルブ。キーフェ、タナボタの恩人、ギアフェルグと思っているが、当人はエンスの研究室のあぶないくすりびんに幽閉中)

前任  イスカーナ"骨太将軍"マンドラゴ=ウィーゴライダー

 イスカーナ武術会の際、足の自由を失い引退して後、彼の親友にして若かりし学院時代の競争相手であった、前学院長"仕込み杖の雲使い"アルカトス=フォートランの推薦を受け、光門の導師として、しばらく教壇で鞭をとっていたが 百鬼夜業 の最中、ある一妖魔が学院内の陰門導師研究室を襲う事件が発生、構内を張り巡らせた幾結界を、何儀に無く すっ と越翔する相手の"魔力"をアルカトスは疾く察し 駆けつけた相手の妖魔の脳天に剣戟一閃するも、相手が鬼神技な後先の掬い挙げを返り受け その傷胸ごとアルカトスは魂身を喰らわれてしまい、次駆けるマンドラゴの一閃"光武鵬衡(クラウザー=デュリアース)"を妖魔の背に中てつけ霧退ける。マンドラゴは辞表を提出しにきた筈の、同学院導師会の席で、満場一致で魔導学院長就任の辞令を受けることになったというこれは一つの噂話

※憑翳撥流剣法

 魂の蝕化現象によっては、特殊な力を得たものもいます。そのひとつに憑翳撥流剣法(以後、憑翳流と省略)とがあります。この翳撥流を行使する者は、魂を蝕まれた悪魔達が使う邪法とみなされ、法を守護するもの達の手で見つかり次第抹殺されてます。これによって望まなくして邪術を身につけてしまった者達の悲話が沢山存在します。蝕魂によって生じた「破壊衝動」「闘争本能」「愛染情念」を心の中に蓄積し、発動後のイメージを思いえがき言葉、もしくは刻印(身振り)を通して体外に放出し発動しますが、精霊魔法ではないので「無色」であり、詩魂魔法に近いものがありますが、その力の源は個人的な情念によって生み出されたものであり、他を汚す力として現れる邪法、死霊魔道だといわれるのも、必要ならば他人の精氣を吸い取り生命の力を極限にまで酷使する闘氣功発勁だからです。
 とくに「剣」との併用で翳撥流を使う者達を「黒飯綱」といい、数十種の流派にわかれていて「極天」「極霊」「極水」「極炎」総して「四柱」とばれるSクラスの文武両道の上仙達と、頂点には「宋主」と呼ばれる謎のヴェールに包まれた闘神がいると言われておりますが、詳細は解りません。


                      宗主
                       ↓
         極天                           極霊
                       ↓
       (活殺流)                        (極流四注)
         
         ↓                極閻(朱雀) 極氷(白虎) 極風(青竜)海(玄武)
         ↓                "焔鎖"    "零仙"     "御剣"     "如水"

壱   双    連   炎   聖   妖   七   八   霧
                              
巧   義    将   激   仁   覇   剛   勇  浮

等 多種多銘


※《世界を守護する運命の瞳−眇の眇の魔瞳 魔導師ギルド》

その瞳は いかなる時代にも変わらず
絶禁の扉が開かれぬ限り

その瞳は いかなる権乱へも関せず
畜王の沼の虚混のみ見つめる

その瞳は いかなる人心をも解さず
ただ生まれ来る"奴"のみを映す

その瞳が最期に映すものは

滅びを告げる"奴"の姿
不滅を司る"奴"の心

  ギルド、その由来…
 今から約2700年前、第1期神帝国エル=ルーンの滅亡とほぼ同時期に、大陸の稀代の魔導師達が集いある一つの組織を結成しました。それが、現在の眇の魔瞳の先駆けとなるものです。彼らの結成目的は不明で、それ以後ギルドは大陸のあらゆる権力争いや戦乱とは無関係に、独自の動きをみせています。しかしその勢力は、すべての国家を脅かすほど強大で、大陸中の力のある魔導師が数千とも数万とも、所属しているとされています。

  ギルド、その所在…
 大陸の極北部に近い、氷雪の吹き荒れる凍土の地にギルドはあるとされています。しかし、大陸最北の街ジェンガイから数十日北上したとしても、ギルドにたどり着くことはできません。ギルドの本拠地はこの物質界はない、いや正確にはこの物質界には留まってはいないのです。物質界と九つの精霊界、虚現洞、烈滅の冥地、源の極泉、時の大河、すべてが現世と接する唯一の次元点−絶禁門の入口に存在します。そのポイントが存在するのが、この世界において大陸極北の地なのです。それゆえギルドの物質的な形は物質界では見ることが出来ません。
 ギルド内にはいる方法は"次界翔魂の指輪"と呼ばれる特殊な指輪を用いるしかありません。そしてこの指輪の力によりギルドの者は大陸のどこからでもギルドのある次元へと移ることができるのです。指輪をはめ、術者は自らの使う精霊門のゲートを開き、指輪の魂力を次元通過の媒体としてそこを通り、ギルドへと到着します。どの門であろうと通じているので問題はないが、通過して来る門によって現出時間に差があります。もっとも、一番速いとされる風の精霊界の場合で1/30万秒、また一番遅い炎の精霊界では1/25万秒と、超ナノセカンドの違いに過ぎませんが。(実はこれも正しくないらしく、虚現洞の場合は1/200万秒とも言われています)
 ギルドより出る場合は一旦、極北の地に現れるしかなく、そこから転移魔法で大陸全土へと散るのです。(共通門の中距離転移魔法を身につけていなければ、極寒と吹雪しかないこの地ではそれ以外の門は苦労しますね)
 次界翔魂の指輪
 ギルドに所属している者のみが有する特殊な指輪。術者(指輪を使う人)の魂を裂いて造られている為、本人にしか役に立ちません。ギルドのある次元点へ精霊門のゲートをつなぐ媒体の役目を果たします。

  ギルド、その組織…
 ギルドへの所属を許される者は、魔術師の中でもかなりの力を持つに至った優秀な者のみです。(最低10霊格。なお、共通門単独のみの者は賢者と称せられ、ギルドへの所属は認められていません)所属の方法だが、その大部分は学院において成長してきた魔術師の力を導師が見極め、所属に十分な魔力を有すると判断するとギルドの式部へと上奏する形となります。それによってその者の元へギルドの式部よりの使者が訪れ、簡単な審査を行った後、使者の特殊次元転移(この魔術は式部の者が太師より直々に"付与"されたものであるので、ギルド内においても使える者は式部の者達と太師しかいません。鐘守でさえ使うことができない、極上の禁呪です)によって資格者ごとギルド内へ転移します。ギルド所属の儀式を済ませた後、分魂の術により"指輪"を創り出してその者のギルド所属が正式に決定します。
 後、自分の使う門、性格、求めるものに応じてギルド内での所属(鐘守以下の魔導職制、いわゆる派閥のようなもの)を決め、中位導師の元について研究にいそしみ、魔導の技を磨くのです。その努力と功績が認められれば上へと昇進することが出来ます。中位導師の元にだいたい14、5人がおり、その中位導師9人を統括するのが高位導師、その高位導師6人の上に立つのが、鐘守直属の仙導師です。(この計算だと3万人以上いることになりますが………10霊格以上が)
 そのため、中位導師から、あるいはその上から"上意"をたまわることもあります。"上意"は絶対であり、すべてにおいて優先させなくてはなりません。もっともその強制力は"上意"を出した者の性格次第ですが。

ギルド、その制裁
c  ギルドの掟に背いた者、ギルドに対する反逆を企ててた者は発覚し次第、処罰を受けます。その制裁もさまざまで、体罰、記憶消去、追放、幽閉といったものから、その罪が余りに重いものは命をもっての償い−すなわち死です。制裁を加える者もその罪によって異なり、行政関係においてはイージス以下の刑部、魔導職制においては"法の断罪者"を率いるクラフェットなどはギルドの中でも恐れられています。

ギルド、その現在……
 数十余年前の先々代太師イゾルディオ=クォーテスの引き起こした"絶対権力者の大乱"の際、ギルドが擁した"百人会議"と呼ばれる高位導師クラス百人がイゾルディオ抹殺の為に派遣されました。しかし太師としての力を持つイゾルディオは自らの死の間際までにその"百人会議"を壊滅させ、そしてその"百人会議"唯一の生き残り会議長リクワイゼル=ギートによりその命を断たれたのです。この絶対権力者の大乱で仙導師、高位導師が命を落し、魂を滅ぼされた(鐘守はその立場上、参加していません。彼らにはさらに大きな役割があるのです)為に現在のギルドでは仙導師の力を持つ者が極端に減ってしまっているのです。それゆえ、高位導師、あるいは中位導師の成長が強く願われています。





                      太 師
                        ↓
評定会議 (構成員は"老"と呼ばれる)
     "太政"            "獅尊"            "議奏"
    ジェネリラ           クラフェット        レーシリティリ
                       ↓
"若政"      "若政"  "若政"    "若政"      "若政"    " 若政"
マファーレン ルシャード ヴェルハイム  ルキフェル  シャスティニー ノービス

    ↓                             ↓
執政官−陽                        執政官−陰
ルギナウス                        ウェザーラ
                      
蔵部    式部   宮部       学部   学部   刑部
責任者  責任者  責任者     責任者  責任者  責任者
メルニク  イーラ フィフォーニ  ウリエラ  ヒエリガ  イージス

太政…若政の上に立ち政務の総括を執り行います。評定会議では会議長の役割をつとめます。先代のリクワイゼル=ギートが"絶対権力者の大乱"の後、太師へと選出された為、空席となったこの地位に前、若政のジェネリラが就任しました。

獅尊…太政とほぼ同地位にある獅尊は、正式な行政組織からは外れた存在です。この地位には太師の信頼のおける者が選ばれ、主に太師の意志の代弁を行います。現在の太師の就任と同時に、極炎の鐘守であるクラフェットに任されています。

議奏…太政、獅尊とは異なった意義と役割を持つ議奏は、評定会議の為というよりは主として太師の相談役としての役割を担っています。現在の議奏であるレーシリティリはここ200年近く、この地位を任されています。

若政…政務を執り行う、評定会議の構成員。決まった人数は定められておらず、通常7、8人おかれます。

執政官−陽…蔵部、式部、宮部、学部を管理監督する役割を持ちます。また、若政へのつなぎを行うこともあります。

 蔵部…お金に関すること、また魔力のこもった武器防具、道具を管理するとこです。

 式部…ギルド内の執政官以下の人事、あるいは大陸全土の学院の導師の任命なども行います。

 宮部…各国との外交を司ります。もっとも、こちらからの一方的な場合が多いのですが。

 学部…大陸の知識、地理、歴史、政治などの情報を処理します。

執政官−陰…学部、刑部を管理監督する役割を持ちます。また、若政へのつなぎを行うこともあります。

 学部…ギルド内の情報、禁忌のお話などの情報を管理します。

 刑部…行政関係での罪に対して処罰を加えるところです。




 § 魔導職制 §(絶対権力者の大乱〜現在)

                 太師(マスター)
               先々代イゾルディオ=クォーテス − 抹殺
               先代 リクワイゼル=ギート   − 自殺
               当代 フレニキス=ニアストロテス
                     ↓
"闘魔の鐘守"                  "護法の鐘守"
リクワイゼル=ギート − 自殺      リマジオ=クォーテス − 公開斬首
   (死断門) (生命門)
    ↓                          ↓
ギアフェルグ=ニアストロテス − 死去     空 席
   (天魔伏門)
     ↓
  空 席

《魔導剣聖》                    《護法童子》
ルシャード=ウィラ=マイアー       シャステニー=フェルン
リフィレン=バーニ              セルゲネード=ギレニカ
メザリエ=カーウェイン           イザリネカ=ドレス − 抹殺
                         エフト=スペルドニルス


"時鳳(とききざみ)の鐘守"            "界境の鐘守"
リジェリア=ウェレセリアーミラ         ジェネリラ=ウェレセリアーミラ
   (時獄門)                  (苦獄九烈門)

《天翔大鳳》                    《聖霊七護星》
ルシュラン=ニキ                メルティーナーグ=イージス
エイチェ=テイミス               ギル=ナイツァジオ
レム=テイミス                クレンティエス=マファーレン
                          クィーン=ベイリス
                          エクトマイズィリー=ラン
                          サキュリフィークァ=ヴィダン

"海鳴の鐘守"                   "天幻の鐘守"
ミニヨン - 引退                ウィズ=ウィラーネ
   (命水門)                  (天地門)
   ↓
ベラミア=ムーン
   (命水門)

《海仙騎》                    《皇(すめらぎ)》
ルギナウス=リーチェル          メルニク=ラゼッタ  
ザイレンドラ=アイシャ          ルミ=フィフォーニ
ピクト=エウタール                


"聖羅の鐘守"                   "禁界の鐘守"
マヤ=フローレン                  空 席       
   (至炎門)

《聖者を追う者》                  《死門》
ルキフェル=ミザド              ファー=イーラ 
ウリエラ=シリーン              シオン=フレアネク
セラフ=マーキア              


"星神の鐘守"                   "極炎の鐘守"
レーシリテイリ=クーティン          クラフェット=ルースレス
   (不明)                    (極炎門)

《運命の標(しるべ)》               《法の断罪者》
ルクセルダン=ギート−抹殺       ヴェルハイム=ゼウザー
シュクレクト=ネリア             ザーディラ=ネルシュ
ウェザーラ=ザイン


"紫陽の鐘守"
ノービス=デュリアート
   (裏心門)

《淵衆》
ガーランド=リィズ
ヒエリガ=ランダン
ケイ=シュトラス
ラナン=ハート


※イスカーナ大皇国 組織図

蓬密院      奉君 エイクリューネ

イスカーナ皇宮廷
ルーン神朝大元帥 神帝  ルーン
1カ月に1度
(卿内の幕僚前会議
 御前四卿定
 卿内の幕僚後会議)

        御前四卿定
1 建式卿・・・朝廷の式典を統括(建式官 独選権)
* 建式とは建設式典の略
属 "窶代(ヤツシロ)ヶ祇"イスカーナの神帝を国葬
省 内弁 
内務納言
   詔勅文を受理し、命令を下達する役目
   御前四卿定の書記
   従 各内弁撻

2 外務卿・・・国外の外交を統括(外交官 独選権)
   省 外弁
     外務納言
従 各外弁撻

3 国務卿・・・国内の政財務を統括、執政長官
     皇国蔵を監視
        皇衙巡撫輔を推薦する
府 皇衙巡撫輔(州丞達の監督、侯爵位)
皇侯の称と三州国領を所持
皇国直轄領(皇衙州)を
管理する州丞を推薦する 州丞は皇伯爵の称
      従 徴税督撫(県単位)督撫は皇子爵の称
副 目代(皇男爵)
下 集役
   テナント料 1年600G/戸(一家族)又は1年の兵役
*12歳で兵役対象となり 成人すると強制に独立
      従 徴税督撫
副 目代(皇男爵)
下 集役
   テナント料 1年600G/戸(一家族) 又は1年の兵役
*12歳で兵役対象となり 成人すると強制に独立
      従 皇荘督撫
副 目代(皇男爵)
下 穫役
   一家族につき収穫の40% 又は1年の兵役
*12歳で兵役対象となり 成人すると強制に独立


府 徴都蔵(皇子爵)
徴都蔵総監 首都の市民階級の徴税を仕切る
      従 都工部筆頭(皇男爵)
下 都徴役
   テナント料 1年600G/戸(一家族)又は1年の兵役
*12歳で兵役対象となり 成人すると強制に独立
      従 都商部筆頭(皇男爵)
下 都徴役
   テナント料 1年600G/戸(一家族) 又は1年の兵役
*12歳で兵役対象となり 成人すると強制に独立
      従 都農部筆頭(皇男爵)
下 取立役
   一家族につき収穫の40% 又は1年の兵役
*12歳で兵役対象となり 成人すると強制に独立
     
4 文武卿・・・国内の(主として)騎士階級の生活・教育を総括
  府 魔識代弁(皇子爵)・・皇立フィク=イスカーナ幻霊魔術学長(皇男爵位イスカナルーグ州 フィク=イスカーナ市司)を推薦
府  諸問
軍規帥夫(皇子爵)・・・皇国騎士級裁判を仕切る
府 騎衛府(皇子爵)・・・皇国騎士軍への詔勅代理
  兼 大将軍(皇子爵)・・皇国軍総騎士団長を推薦
      近衛騎士団(近団)
要六旗士団 東旗 西旗 南旗 北旗 先鋒旗 帖絡旗
先鋒旗士団 壱號隊長 エイクリート=ヴェルク(変名)
 (要団)
(金でヴェルク男爵家の養子となり、辺境亜人統征、数々の勲功を立て頭角をあらわす)
支二十四騎士団
(支団)
下 義兵団
(義団)
下 傭兵団
下 警民騎士団(皇男爵)・・皇都の国民奉行様
     属 巡回兵



国親逓信台 国内外の諜報道の統制(ギルドに委任状態。国務からは独立)


※《タンジェル=ザイン傭兵騎団》

 大陸南西部に位置する都市クリソプレースに本拠地を構える大陸最大の軍人派遣組織タンジェル=ザイン傭兵騎団、通称タンザ。約15万人の傭兵をその管理下に置いています。傭兵部隊の草分け的存在であり、諜報、特殊工作といった他の傭兵部隊にはない多くの特殊部隊を抱えています。最高責任人は稀代の戦略家ジェネラル・カーンゴルム。
 その上下関係は『クラス』であらわされています。Aクラスが最高ですが、それすら足元に及ばない実力の持ち主達がいるSクラスも存在します。組織はほぼピラミッド式で構築されています。

Sクラス
 戦略王−カーンゴルム、王−エシュ、死神女王−ヘリオドール、自由人−ラピス、騎神−バーデライト、幻想姫−オリシャラ、影−ペリドートの7人のみ。彼らの名は大陸的にも有名で、傭兵仲間はおろか一般の者達でも知るものは多い。その技量には恐るべきあり、また、数々の特殊な能力を有するとも言われています。彼らと剣をまみえて生き残った者は、皆無に等しい。

Aクラス
 大陸でも屈指の力を有する傭兵に冠せられる。その剣の冴えにより、彼らは数々のタンザの戦さ伝説をあらゆる戦場で築き上げてきました。彼らの中には、太古の昔にこの世界に具現した英霊刀を持つ者もいるといいます。
Bクラス
 王国の精鋭騎士団とも互角以上の戦いを繰り広げる事が出来るほどの腕を身につけた者達。通常、これより上のクラスへと上がる力を身につけられるものはごく一部です。
Cクラス
 このクラスを持つものならば、各国の騎士団に仕官する事も出来ます。事実、その腕を認められ王国の騎士へとなる例は少なくありません。
Dクラス
 いくつかの戦場を生き抜いた者、武勲を上げた者がいる反面、戦いの中に死す者もいます。自分の力を信じれる者のみこれより先、血の道を歩むことが許されるのです。
Eクラス
 最も数の多いクラス。しかし、戦場での伝説をつくりあげる者はこの中より生まれます。




 § 組織 §
                戦略王(カーンゴルム) 
                 クラス:S
              直属近衛"御影"
               近衛将軍 ベロウラ
                クラス:不明
                    ↓
                王(エシュ)
                 クラス:S
               戦将部隊"帝騎"クラスA 1000人
                    
ォ 死神女王(ヘリオドール) ・ 騎神(バーデライト) ・ 幻想姫(オリシャラ)
クラス:S             クラス:S         クラス:S
魔剣士部隊"彩刃" ・    騎兵部隊"雷覇"     諜報部隊"流"
クラス:A   500人 ・ クラス:A   500人 ・ クラス:A   500人
クラス:B  1000人 ・ クラス:B  3000人 ・ クラス:B  2000人
クラス:C  3000人 ・ クラス:C  7000人 ・ クラス:C  4000人
クラス:D  8000人 ・ クラス:D 10000人 ・ クラス:D  9000人
クラス:E   数万 人 ・ クラス:E   数万 人 ・ クラス:E   数万 人
・ ・
自由人(ラピス)   ・    影(ペリドート)
特殊工作部隊"残嘘" ・  暗殺部隊"濛骸(けむのむくろ)"
クラス:A   400人 ・   クラス:A   200人
クラス:B  1200人 ・   クラス:B   800人
クラス:C  2000人 ・   クラス:C  1000人
クラス:D  7000人 ・   クラス:D   数千 人
クラス:E   数万人 ・

傭兵部隊"戦靭"
クラス:A   300人
クラス:B  2000人
クラス:C 10000人
クラス:D 20000人
クラス:E   数万 人

戦略王−カーンゴルム
 大陸全土へ数千単位で傭兵の派遣を行う最大の軍人派遣組織タンザ傭兵騎団の最高責任者。すでに三十を過ぎているにもかかわらず、戦場での伝説は留まることを知りません。そして彼は希にみる戦略家でもあり、幾多もの名のある宮廷参謀達を数々の計略により翻弄してきた事でも名をはせた天才的軍人でもあります。
 所有英霊刀 :迅応

近衛将軍−ベロウラ
 常にカーンゴルムの側に控える近衛(インペリアル=ガード)の長。年は二十代半ばらしいが、彼も多くの謎を持つ、不気味な人物です。実力も不確定でクラスでは表されていません。
 所有英霊刀 :不明

王−エシュ
 カーンゴルム同様、王−エシュのふたつ名で呼ばれる彼もまた大陸に恐怖伝説を築き上げてきた人物です。彼は有角の鬼族であり、すでにその名は十数年前より知られています。しかし僅か十年程前、カーンゴルムが現れてからは彼はその元に付いています。カーンゴムルとエシュの間に何があったか知るよしもありませんが、修羅のごときその強さは、数十年前より優れども劣ることはありません。剣の力よりも、むしろ剣を手放した時の方が危険で、その肉体にはすでに種族を越えた力が秘められていると言われます。配下に1000人のエリート、Aクラスの戦士の部隊"帝騎"を従え、彼らはみな一国の将軍クラスの武力と策謀を身につけています。
 所有英霊刀 :なし

死神女王−ヘリオドール
 彼女は長年にわたって変わらぬ美貌を持つゆえ、人間かどうかも疑わしいとささやかれています。そして戦場では常に血にまみれた巨大な片刃の鎌を振るう姿から死神女王との名を持ち、自身も好んでディアスの魔法を行使することからも、その配下はみな剣と魔法の力を備えた魔法剣士です。それゆえ長距離的な機動力があり、彼女はしばしばその部隊"彩刃"と共に疾風のごとく戦場へあらわれ、軍勢を翻弄する切込みの様な仕事をこなします。私生活においても、いろいろと浮いた話が絶えることがない人です。
 所有英霊刀 :死化粧=呼冥

自由人−ラピス 
 風霊族の青年である彼の生き方は、雲の様に自由に漂い、風の様に自由に振舞うことであり、彼を束縛するものは何もない、気まぐれな性格をしています。その配下"残嘘"は様々な特殊な技能を有する者が集まった特殊工作を行う部隊を構成し、彼らに出来ない工作はないとまで言われる程です。が、彼自身はそんなことにも興味を持たないのか、それに関係なく自分は一人で気ままにさすらうことが多いといいます。彼がタンザに留まっていることの方が不思議で、いつ出ていっても不思議ではないほど、不安定な存在です。
 所有英霊刀 :不明

騎神−バーデライト
 かつてはどこかに騎士であったとまことしやかにささやかれる彼はカーンゴルムより年を重ねており、すでに50の域に届こうかという程です。立派な黒馬を駆り、戦場を駆け抜けるその姿と、老練な剣さばきに人は"騎神"とたたえ、また恐怖してきました。配下の"雷覇"は騎兵部隊で戦場では破竹の勢いをもって軍勢を撃破します。
 所有英霊刀 :なし

幻想姫−オリシャラ
 諜報部隊である"流"を統括するエルフの女、それが幻想姫−オリシャラの名を持つ彼女です。その名の通り、幻術、心術系にたけており、それこそ日常的な噂話から国家機密まで、あらゆる情報が"流"を通じて彼女の元へと集まって来ます。戦いにおいては剣を手にするよりは多くの場合、詩魂魔術による呪歌と呼ばれる技を使います。これは聞く者すべてに影響を与えることから通常の魔術に比べ効果範囲が飛び抜けて広く、彼女の呪歌によって戦況が逆転したというエピソードは数多くあります。
 所有英霊刀 :不明

影−ペリドート
 闇霊族の女であると言うこと以外、彼女について知る者は殆どなくその姿も謎に包まれています。しかし"空骸(うつむくろ)"と呼ばれる彼女の配下の部隊は、闇の中で戦いを左右してきた精鋭の暗殺部隊です。他の傭兵部隊とは異なり、大規模な戦乱で派遣を要請されることは言うまでもなく水面下での国家紛争にもしばしば暗躍をみせる影の集団です。
 所有英霊刀 :不明




※三柱一葉の刻紡ぎ

 わずかの光すら得られぬ"界"
 かけらの闇すら見いだせぬ"淵"
 かすかな刻すら許さぬ"宮"。


 二つとなきそが域々に、三柱あり。一柱、光斗の英霊魂"太師"。一柱、黍黒の影霊魂"宗主"。一柱、飛飄の詩魂"帝"。いずれも、世を形成す不可欠なる要素たらんが為、我を捨て去り積石とならん。故、世においては外魂の縁、軸理を結び、内魂互いの彩志と交わり星姓(さがな)を駆ける。されど、世、暗領の中にあるは必定。
 いま、形無き創世の言魂、蝕満つるが然るに、醒する。三柱、魂の悲叫をあげん。
 そは、非知(しられざる)が掟。不知(しりえぬ)は、絶なる神範。
 以下を語るが、星(さが)のきわとせん。



 "太師"語るは源創の周期。そは千歳を遥か那由他の積跡とす、神と神妖精の神話。


 遥か古え、時の概念すら変異なる周期、全界にテオステレミィと称される神在あり。もはや今の周期、その存在がいずれなるものか、何処より来たるかは知られず。否、我らは知るべからず。唯、そはあまたの"次元"を創造し、彼に確たる境界(きわめ)を刻むべく、そが力を集いもち、新たなる意識を生じさせたり。これ、今の世に言う古妖精、神の理を継ぎし神妖精なり。暦跡の上、この大周期を《第一の創世紀》とす。神々が全界の秩序と存在を託するべく"源創闇"を媒介とし、その魂を分かち生す神妖精。
 全界を"創造"せし神々が全界を"完成"させるべく、この全界に生ぜし精によって多数の次元、空間が細かに造形され、秩序、法則が与えられん。中でも、際に優れし源初の九柱は全ての元なりし"元素"の存在なり。その九柱こそ、後に精霊神−イスリカリィオと敬呼されし神柱なり。
 されど、神よりいづる精、やがて神に対し乱を生む。"真の金"、そしてそを筆頭に次々、神妖精は神々の元から離反す。
 ある神話は言う。神々が与えることまかりならぬ自我を神妖精に持たしたが故、神妖精は純粋な心を失う。また異なる神話は言う。純粋さを失いしは神々なり。永久不変が常の神の心に、小さき隙間ができたのだと。いずれにせよ、神々と神妖精の間に大きな亀裂が生ず。
 やがて、両者激突す。幾多もの歪みが生ずる激しき大乱、いずれも劣らず。創造主たる神に古妖精かなうはあたわず。が、神々の誤算、そと等しき力を授けしことにあり。何より、数において神妖精に神、遥かに及ばず。
 幾多の千歳に渡りし戦、神妖精の勝利にて終焉の時を向かえる。後、《神々追放戦争》と呼ばれし戦なり。
 破れし神々、"世界"から逐われ、以後干渉あたわざる旨、数柱の高位神妖精により"世界"に障壁が張り巡らされる。かの障壁、神々の干渉を拒むのみならず周囲の歪み不安定なりし状態、"霧"から、かの創造せし"世界"を護る役目をも果たす。"次元光壁"なる世界の果てのこの壁、この周期に創造されし産物なり。少なからずも神々追放戦争の影響を受けし"世界"の復元、新たなる秩序の形成を神妖精が行いしこの時代、《第二の創世紀》と称す
B  この創世、神妖精だけにより行われたにあらず。失われし楽園を復活させる為最も力を貸せしもの、他ならぬ神の一族なり。そは神々の長たる、荒ぶる光皇神の義妹にして妻、大地と慈悲の女祭神。女神、唯一かの大乱に加わらず。さらには乱の終期において神妖精側に立つ。
 女神の助力、そして神妖精の力によりて世界はさらに形を与えられん。
 また、源初の九柱、その力で次第に物質界を完成させていく一方、その力が物質界の中で安定すべく、元素の集合点となるべき存在をつくる必要を悟る。異なる世界より元素が安定すべくよう支える、物質界以上に元素の密な空間、すなわち元素界なり。そのため満たされし元素を閉ざす"ふち"が必要とならん。が、自分達の存在根源ともいえる元素自体を物質界以上に密な状態にし、自身が造り上げた程度のものの中に閉ざすことなど不可能と九柱は知る。物質界のふち、そは神である創造神がつくりしものなり。九柱、自分自身を各々の元素の器となる"世界"へと化するを決す。神がつくりしふちと同等の、否、元素を満たすにおいてそれ以上の確固たるふちとなるべくは疑いなき。九柱、元素界へと変化を生ず。
 しかるに元素界がいずるにいたり、後に精霊界と称が移るが、精霊神、その存在を精霊界へと転化す。精霊界の元素に意識が宿り精霊となり、元素の安定をはかるべく肉体を持った精霊族、精霊界より物質界へと降り立つはこの周期なり。
 ある期を境に、物質界よりすべての神妖精消えゆ。その様、天空全域を絶なる邪な闇がうごめくと伝える。そが《滅霊の一夜》なる異業なり。
 その闇、神々追放戦争の予兆に酷似せり。後、神妖精の存在が歴史に現れしこと皆無となる。
 時は、次なる大周期へと世を運ぶ。


 "宗主"語るは霊人皇の周期。そは幾歳(いつせ)を願う御魂の蝕罪、真魔と双魂の伝承。


 《滅霊の一夜》の後、忽然と姿の失せし神妖精。その由縁は未だ不明なり。これにより世界に残されしは、神妖精により創造さる新たなる種族、そして女神のみとなる。
 指導者たる神妖精達を失い、世界の秩序が乱れ始めし混沌の世において、各種族ともに寄りどころとせしは女神なり。女神もその霊力を用い世を見守る。
 時の流れの後、天空に輝きし青白き月、鮮血に染まりし年、地上に真紅の髪を持つ一つのまがまがしき"邪"が出現する。そは神と同等、あるいは以上のおそるべき力を所有し、その力、ただ世界を破滅させるためのみに存在す。この者は史において《真魔》と記される。当時の種はいまだ神妖精の偉大な力を継ぐ優れた生物なりしも、《真魔》、刃向かいしこれら数々の種族をすべて滅す。
 さらに、世界を破滅へと導くは《真魔》のみにあらず。
 地上に住みしすべての種族に異変が生ず。《滅霊の一夜》より、突如、生き物が混沌に住まいし悪魔のごとき姿へと異形化することは数知れず。時を経てこれ盛んに、やがて《真魔》いづる頃には種族の根元すら危うきに面するにいたる。今の世に生息せし悪魔や妖魔の類はこの時をその起源とするものなり。
 女神はこの魔蝕現象を抑えるに追われ、《真魔》には手を打てず。滅びゆく世界の中、残されし僅かな種族はその命運をかけ最後の戦いに挑むべく、力すべてを集わせ《真魔》と激突す。
 しかしながら、すべての力が集いても《真魔》には非力なりは明白。物質界を維持せしため、最後の手段をこうじるは精霊界と化した精霊神なり。
 精霊神は各々の"刻印"、精霊神の根源の力のことであるが、その霊力の全てを一人の人間に刻み込むことにより、完全なる生命体とすることを考ず。その者は蝕化した代償に絶対的な力を得し魔人なり。ゆえに、"刻印"の霊力を与え自我を取り戻させる必要をもつ。が、これにより精霊神は以後の物質界へ介入するすべを失う。
 かくして極限の力を発揮する"光と闇"の刻印を双の腕に有し、無限の生命力を司る刻印を命の源にせし黄金の髪の魔人、額に死の刻印を戴く不死身の冥王、《霊人皇》が誕生す。《霊人皇》と《真魔》の激突、唯双者にてかつての神々追放戦争に匹敵すると伝説は伝える。
 戦いに勝利をおさめしは《霊人皇》なり。《真魔》、その力のほとんどを奪われし後、何処かにありし聖地へと封印され永遠に封縛を受く。以後、浄化と眠りの縛鎖に捕らえられ、今もこの大地に眠る。
 他、女神は異形化を抑えるべく霊力を解放し、千数百の小周期をかけ蝕身化に歯止めをかく。失いし霊力を回復させるべく、女神は長い眠りへとつく。後、少し時を経、《霊人皇》と《真魔》の戦いは終焉を迎える。
 女神すら姿を消し、あらゆる種族が絶滅寸前におかれしその闇の時代、激闘によりいくつかの刻印こそ失ったものの、未だ強力な力を備えし《霊人皇》は全世界をまとめ上げ、一大統一国家を築く。これによりすべての種族を統合し、滅びの危機を回避さすこととなる。
 これこそ第一期統一神王朝なり。以後のいくつかの小周期、世界は《霊人皇》の統治の元、束の間なりしも平和を過ごせり。
 されど女神が歯止めをかけしはずの魔蝕現象。肉体の異化こそ確かに起こらなくなりはしたものの、その魔蝕は魂へと継がれる。魂が蝕まれし蝕魂、そは歴史の闇で現在まで続きしものなり。
 存在そのものを現す魂の自我、そして蝕まれし蝕魂。
 双魂は、以後歴史の命運そのものを左右することとなる。


 "帝"語るは精霊の周期。そは、刹那を紡ぐ脆弱なりし魂の慰息、開始と終始の伝説。


 平和の崩壊は突如としてやってまいりました。それはあまりにもあっけない、霊人皇の死という形で。そう、間違いなく不死であるはずの霊人皇が崩御なされたのです。何故なのか、その理由を知るものは誰もおりません。しかしそれが変えようもない事実であったことは確かなのでございます。これにより、霊人皇の無限ともいえる御力は物質界から消え失せたかに思われましたが、その御力は新たなる命へと継がれておりました。それは霊人皇側仕えの、初代の歌姫の帝の身ごもっていた双子の赤ん坊へと。生まれた赤ん坊は男の子と女の子でございました。そして二人は生まれながらにして精霊に対する強い影響力を有し、その瞳の色は霊人皇とも歌姫の帝とも似ていない真紅をしていたと言います。霊人皇の御力を二分して受け継いだこの二人こそが精霊神の人格的存在である初代の精霊人、エレニオンです。
 数多くの物質を構成する精霊達、そしてそれらを『支配以上の力』で操り、自分の力の一部とすることの出来る存在、精霊人。男の子の方は、外的精霊を司る"終結"、女の子の方は、内的精霊を司る"開始"とそれぞれ称されております。しかしこの双子の精霊人の死後、精霊人の力は精霊人そのどちらの子供にも受け継がれませんでした。精霊人の力は、血筋で受け継がれるものではない、突然変異によるものなのでございます。各世代に一対しか存在せず、一対が両方消滅するまでその力は次の世代には受け継がれることのない精霊人は、いままで歴史の舞台に様々な姿で現れております。しかしみな共通していることは、その瞳が血の様に真紅であったということです。いずれにせよ、その精霊力は、霊人皇の御力を受け継ぐだけあって秀でて強力なものでございました。余談になりますが、精霊人の寿命は媒体となる種族のそれです。しかしこの双子は人間でありながらも400年以上生きたとされております。このことから歌姫の帝は人間ではなかったと言われているほどです。
 そしてここ数百年は歴史に名を刻んでいない精霊人の話は、伝説化され知る者もほとんどいなくなりつつあります。
 神々から神妖精、精霊神、霊人皇そして精霊人。これらが、わらわ達の語れる歴史の趨勢でございます。それ以上は知らぬが、位界断希を有せずにすむというもの。苦絶の命涯を受けるは、わらわ達だけで十分です……

 更願されば、三柱なお一葉を返さん。

 語るは、ただ全魂、双者の顔を有する義。

 これ、唯我にして独尊(すべて)なり。





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送